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ロータス、オールエレクトリックハイパーSUV新型「エレトレ」国内初披露 価格は2332万円から
2023年9月1日 22:09
- 2023年9月1日 発表
- エレトレ S:2332万円
- エレトレ R:2585万円
ロータス(エルシーアイ)は9月1日、ブランド初となるオールエレクトリックハイパーSUV新型「エレトレ(ELETRE)」の日本導入発表会を実施し、実車を初披露した。グレードは「S」と「R」の2つが用意され、価格はSが2332万円、Rが2585万円。
エルシーアイはロータスの輸入会社として今年で設立21年目を迎えるが、これまで5000台ちかくのロータス車を日本へ輸入してきた実績を持つ。そして今年の7月にはロータス最後のエンジン搭載モデルとなる「エミーラ(EMIRA)」を発売している。
現在ロータスは、中国の自動車メーカー「ジーリー(吉利汽車)」傘下となっているが、2032年の創設80周年に向けた戦略「ビジョン80」にて、ブランドを電動化へと舵を切ることを発表していて、エレトレはその戦略の最重要モデルともいえる。
エルシーアイの取締役管理部長である大谷氏は、「当初日本は2024年4月のデリバリー開始を予定していましたが、先行予約しているオーナーさま分は、1月へと納車が3か月ほど早まりそうで、2024年の夏ころには試乗車も全国に配備できそうです」とアナウンスした。
続いてロータスカーズの日本と台湾を担当する寺嶋正一氏からは、エレトレの性能に関する説明が行なわれた。
寺嶋氏によると、最上級モデルの「R」は最高出力675kW(905HP)、最大トルク985Nmを発生し、0-100km/h加速は2.9秒をマーク。また、ロータスのハイパーカー「エヴァイヤ(EVIJA)」にインスパイアされたデザイン言語「ポロシティ(多孔性=多くの穴がある)」により、車体の周囲を吹き抜ける空気にえぐられたようなデザインが採用。このデザイン言語は、エヴァイヤやエミーラから継承されたもので、フロントまわりやCピラー、リアバンパーに空気が通過するベンチュリートンネルが設けられているという。
また、ロングホイールベースかつショートオーバーハングにすることで、ダイナミックさをさらに強調しつつ、快適な車内空間も両立。そして美しいビジュアルを生み出すルーフウイングレットは、高速走行時の安定性を高めるとともに、リアゲートに内蔵されているアクティブスポイラーによってさらに安定性が向上するという。
横長のヘッドライトはさらなるワイド感を演出し、リアの左右につながるLEDテールランプは、高い視認性を誇りつつ外部充電時のインジゲーターとしても機能。またフロントバンパー下部にはアクティブグリルシャッターを搭載し、自動的に空気抵抗と冷却効率を最適化するという。ドアハンドルもボディ格納式となり空気抵抗低減に貢献する。
インテリアは15.1インチの大型ディスプレイを採用。ステアリングに備わるスイッチ類の一部にはメタル(金属)を採用しつつ、カラーも選択可能とした。ルーフはすべて大型ガラスとなっていて、すべての乗員が自然光を楽しめる環境を用意。標準は5人乗りだが、4人乗りも選択でき、4人乗りの場合は専用キャプテンシートと後席中央の肘置きに専用ディスプレイが搭載される。サイドミラーもデジタルカメラタイプをオプションで設定。空気抵抗や風切り音を低減し、良好な視界を確保するとしている。ラゲッジスペースの容量は688Lを確保。5人乗り仕様であれば後席を倒すことで1532Lまで拡張可能という。
サウンドにもこだわり抜いていて、「S」グレードには老舗スピーカーメーカーKEFのリファレンスオーディオが備わり、23個のスピーカーを2160Wのハイパワーで動かし、ドルビーアドモスにも対応するシネマサラウンドシステムを提供するとしている。また「R」は1380Wの15スピーカー仕様となる。
新型エレトレは、前後車軸にモーターを搭載する全輪駆動(4WD)で、アルミとハイテン(高張力合板)で剛性を高めた新しい800Vのモジュールプラットフォーム「EPA(Electric Premium Architecture)」を採用。床下に収められている800V、112kWhのリチウムイオンバッテリは、350kWの出力であれば20分以内でフル充電可能とした。また、従来の400Vのシステムと比較して、同じ出力で動作電流を半分に削減でき、これにより小径ケーブル使用による軽量化、電力効率の向上、熱管理の改善、高速充電を可能にしている。サスペンションはリアに5リンク式を採用したほか、連続減衰力制御式エアサスペンションを搭載している。
なお、「S」は最高出力450kW(603HP)、最大トルク710Nmを発生し、最大航続距離は600km、「R」は最高出力675kW(905HP)、最大トルク985Nmを発生し、最大航続距離は490kmとなる。
また、最先端のデジタルコクピットキャビンとまったく新しいオペレーティングシステムロータスハイパーOSを採用。これにはゲーム業界で使われる「Unreal Engine(アンリアルエンジン)」を自動車に世界初採用し、クラス最高のパフォーマンスとインタラクティブなフィードバックを提供し、ドライバーや同乗者にシームレスなインタラクティブ体験を提供するとしている。
さらに世界初となる4つのLiDAR、6つのレーダー、7つのHDカメラ、12個の超音波センサーを含む合計34個の最新センサーを搭載。これらの膨大なデータは、毎秒500兆回の演算処理能力を持つDual NVIDIA Orin X Chipsが処理することで、常に360度を監視できるほか、ADASをいつも最新の状態にアップロードしてくれるという。
最後にエルシーアイのPR&セールスプロモーション担当の中村康宏氏から、戦略について語られた。
中村氏によると、ロータスの戦略「ビジョン80」は、ロータスが80周年を迎えるまでの間に、ロータスの売り方、ブランド、すべてを変革していくことで、このビジョンとエレトレ販売はそれと密接に関わっていると語る。また、「これまでロータスは、サーキットで走るレーシングカーや空力を最大限に活用したグランドエフェクトを活用してきた先駆者であり、軽さの恩恵を受け卓越したハンドリング性能を武器に、最高のドライビングエモーションを提供することで多くのファンから愛されてきました。そして、テクノロジと伝統を兼ね備えたブランドとなるべく、ロータスならではの方法でより速く革新し、ドライビングの醍醐味を味わえるクルマ作りを実現することで、未来を見据えた人たちに選ばれるパフォーマンスブランドを目指す」とこれまでのブランドの位置付けと、今後の目指す方向性を説明した。
そのため今回、拡大するSUV市場への新規参入を果たすエレトレは、ロータスが英国の少量生産のスポーツカーブランドから、グローバルなパフォーマンスカーブランドへ変革するための最も重要で野心的なマイルストーンになるという。
エレトレはハンガリー語で「命を吹き込む」といった意味があり、それはロータスの歴史の新たな幕開け、初のEV、初のSUVの始まりを示す適切な名前であると同時に、中村氏は「これまでは万人向けではなかった2シータースポーツカーが多かったブランドでしたが、エレトレの誕生により、ロータスのハンドルを握るという素晴らしさをより多くの人が体験できるようになる」と期待を示した。