ニュース
プジョー・シトロエン・ジャポン、最新クリーンディーゼル「BLUE HDi」発表会
アイシン製新世代6速ATと組み合わせ、高効率で力強い走りを実現
2016年7月12日 23:13
- 2016年7月12日 発表
プジョー・シトロエン・ジャポンは7月12日、同日からプジョー、シトロエン、DSの各ブランドから搭載車を発売した新しいクリーンディーゼルエンジン「BlueHDi」に関する記者発表会を都内で開催した。なお、発売となったそれぞれのモデルについては、関連記事「プジョー、299万円の『308 Allure BlueHDi』など3モデルにクリーンディーゼル導入」「シトロエン、279万円のクリーンディーゼル『C4 FEEL BlueHDi』日本導入」「DS、『DS 4』『DS 4 CROSSBACK』にクリーンディーゼル搭載モデル日本導入」をそれぞれ参照していただきたい。
記者発表会でプジョー・シトロエン・ジャポン 代表取締役社長のクリストフ・プレヴォ氏は、2015年10月の東京モーターショーのプレスカンファレンスで「PSAの成長サイクル」「DSブランドの正式発表」「日本市場にBlueHDiを導入する」という3点を強調していたことをあらためて語り、これまでに発表した約束を成し遂げてきたとコメント。「今年の初めからPSAの日本における販売台数は、前年比で15%増という成長を遂げています。DSブランドのすべてのラインアップ車はリニューアルされ、新しいフロントマスクに生まれ変わっています。そして私たちのBlueHDi技術は、日本市場で求められるすべての規制を満たしました。これにより、日本でのディーゼル車販売を始められることになったのです」と語った。
BlueHDiの詳細な技術解説は、仏グループPSA パワートレイン&シャシーエンジニアリング研究開発部長のクリスチャン・シャペル氏が担当した。シャペル氏は1935年にメルセデス・ベンツから世界初のディーゼル乗用車が発売され、次いでプジョーからも1938年にディーゼルエンジンを搭載した「402」が発表され、世界で2番目にディーゼル乗用車を発売したPSAはディーゼルにおける革新的な長い歴史があるとアピール。さらに1979年に欧州初のディーゼルターボを搭載した「プジョー 604」、1987年にディーゼルエンジン搭載車の世界速度記録を「シトロエン CX」が樹立したことなどの歴史を紹介した。
今回、日本導入が開始されたBlueHDiは、2013年秋にSCR(選択還元触媒)を採用するテクノロジーとして発表され、PSAの全モデルで搭載する戦略によってこれまでに100万台以上の乗用車でBlueHDiが搭載されたとアピール。2015年には1.6リッターBlueHDiモデル120万台、2.0リッターBlueHDiモデル20万台で、合計140万台を生産しているとのこと。
具体的な技術では、ディーゼルエンジンからの汚染物質の排出を減らし、低燃費で気持ちのよい走りを実現するため、燃焼室でのスワール(気流)を最適化し、インジェクターでは燃料圧力や噴射孔のサイズや形状、1行程内での噴射回数などを検討。さらにターボチャージャーやインタークーラーなどエンジンルーム内でのエアマネージメントを突き詰め、EGRシステムはハイプレッシャータイプとしてエンジンの信頼性を確立するという。しかし、深いレベルでの最適化を目指してはいるものの、NOxとCO2の削減をどのバランスで妥協するかが問題になり、燃費というディーゼルエンジンのメリットを有効に使うためにはCO2排出の削減が必須となる。
この相反するNOxとCO2の関係を断ち切るため、NOxを後処理することが非常に効果的であるとシャペル氏は説明。このための技術としてSCRを使い、これをコンパクトカーから大排気量モデルまですべてのディーゼルエンジンに導入することを戦略的な選択として決断していると述べた。尿素を使ったSCRシステムでは、排出ガスの温度が180℃を超えた時点から「AdBlue(アドブルー)」と呼ばれる尿素水溶液をエキゾーストパイプ内に噴射。アンモニアがNOxと化学反応を起こして窒素と水に変換する仕組みを解説し、同様のシステムを採用する他社とPSAの違いとして、SCRの選択還元触媒を微粒子フィルターであるDPFより上流に配置していることを挙げた。PSAではDPFで煤を燃焼させる温度がほかより100℃低く、これによって選択還元触媒を先に経由して、NOxを90%削減することが可能になっているという。
このほかにシャペル氏は、2017年に新しい次世代ガソリンエンジン、いかなる厳しい規制にも対応できる新たなディーゼルエンジン、さらに高性能なドライビング性能を持つ次世代8速ATを登場させるとコメントし、2019年にはモジュラーガソリンエンジンによるプラグインハイブリッドの4WDモデル、Bセグメントの燃料電池車などを出していくと明らかにした。