ニュース

スズキ、“3つの顔”で幅広いユーザーに対応する新型「ワゴンR」発表会

マイルドハイブリッド搭載で燃費33.4km/L達成し、モーターだけでの走行も実現

2017年2月1日 開催

新型「ワゴンR」発表会でフォトセッションに立つスズキ株式会社 代表取締役社長(CEO兼COO)鈴木俊宏氏

 スズキは2月1日、軽ワゴン乗用車の新型「ワゴンR」「ワゴンRスティングレー」を発売し、都内で記者発表会を開催した。それぞれの価格は、ワゴンRが107万8920円~147万960円、ワゴンRスティングレーが129万3840円~177万9840円。

 新しいワゴンRシリーズでは、初代モデルのイメージを現代に受け継ぐFAやHYBRID FXで採用する「新定番スタイル」、水平基調で上下2分割のグリル&ヘッドライトでスポーティさを表現するHYBRID FZの「スタイリッシュワゴン」、フェンダーラインまで連続する縦型ヘッドライトで個性と存在感を演出するスティングレーの「ストロングワゴン」という3種類のエクステリアデザインを用意。

 エンジンにはスズキの軽自動車で幅広く採用されている直列3気筒DOHC 0.66リッター自然吸気の「R06A」型を基本に、このエンジンに2.3kW(3.1PS)/1000rpm、50Nm(5.1kgm)/100rpmを発生する「WA05A」モーターを組み合わせるマイルドハイブリッドを設定するほか、スティングレーのHYBRID Tでは自然吸気からVVTターボに切り替えた専用エンジンをマイルドハイブリッドと組み合わせて搭載する。

 このほかのグレードラインアップや車両概要などは関連記事「スズキ、マイルドハイブリッド搭載で燃費33.4km/L達成する新型『ワゴンR』『ワゴンRスティングレー』」を参照していただきたい。

左からHYBRID FX、HYBRID FZ、スティングレー HYBRID T。
スティングレー HYBRID T
スティングレー HYBRID T
FAのエンジンルーム。最高出力38kW(52PS)/6500rpm、最大トルク60Nm(6.1kgm)/4000rpmを発生する直列3気筒DOHC 0.66リッター自然吸気の「R06A」型エンジンを採用
HYBRID FXのエンジンルーム。FAと同じ「R06A」型エンジンに、2.3kW(3.1PS)/1000rpm、50Nm(5.1kgm)/100rpmを発生する「WA05A」モーターを組み合わせるマイルドハイブリッド
スティングレー HYBRID Tのエンジンルーム。マイルドハイブリッドの仕組みはHYBRID FXと同じだが、エンジンがターボ化されて最高出力47kW(64PS)/6000rpm、最大トルク98Nm(10.0kgm)/3000rpmとなる
FA(写真)とHYBRID FXはスチールホイール+フルホイールキャップを採用。タイヤサイズは155/65 R14
HYBRID FZは14インチアルミホイールを装着。タイヤサイズは155/65 R14
HYBRID Tは15インチアルミホイールを装着。タイヤサイズは165/55 R15

新型ワゴンRはこれまでの軽ワゴンとは違う価値観を持たせた1台

スズキ株式会社 代表取締役社長(CEO兼COO)鈴木俊宏氏

 発表会で登壇したスズキ 代表取締役社長(CEO兼COO)の鈴木俊宏氏は、「ワゴンRは1993年9月に発売され、セダンタイプが中心であった軽自動車市場に軽ワゴンという新しいジャンルを築き上げました。快適で使い勝手がいいパッケージングを追求したコンセプトで生まれたクルマがワゴンRです。乗り降りが楽で運転しやすいドライビングポジションは、女性からご年配の方々にもご評価をいただきました。さらに、ワゴンらしい広い室内空間は多彩な趣味に利用できる道具として、若い男性にも大きな支持を得ました。ワゴンRのクルマ造りの精神は『スペーシア』『ハスラー』に受け継がれ、軽自動車の魅力をさらに大きく広げてきました。まさにワゴンRは、常にお客さまとともに軽自動車の真ん中にあるクルマです」と語り、これまでワゴンRが歩んできた道のりを解説。

 さらに鈴木氏は「6代目となる新型ワゴンRは、ごらんのように機能性とデザイン性を両立させた3つのデザインを用意しました。この背景として、お客さまが軽自動車に求めるニーズがますます多様化していること、お客さま自身の生活環境の変化によっても、求められるクルマが変わってきています。そのようなお客さまのニーズに向けて、新型ワゴンRは個性の違う3つのデザインを用意して、若い方からご年配の方まで幅広い世代のさまざまなライフスタイル、お客さまの新しい価値観に対応できるようなラインアップにいたしました」と、新型ワゴンRで挑戦した新たな取り組みについて説明。

 一方で「もちろん、ワゴンRの本質である使い勝手のよさやパッケージングなどをさらに向上させながら、スズキ最新の『マイルドハイブリッド』を搭載し、軽自動車で初めてとなる『ヘッドアップディスプレイ』の採用。『デュアルセンサーブレーキサポート』や『ハイビームアシスト』といった新しい安全装備も多数投入しております。また、後席両側には、雨に濡れた傘をそのまま収納できる『アンブレラホルダー』を設置するなど、ワゴンRらしいアイデアも盛り込みました。新型ワゴンRは、私どもの軽自動車にとって大変重要な車種です。このモデルに大きな期待を寄せております」とコメント。本質的な使い勝手などを磨き上げつつ、軽自動車初の装備などを与えた新しいワゴンRの魅力についてアピールした

1993年9月に始まり、累計で約440万台を販売してきたワゴンRの歴史について語る鈴木氏。新型ワゴンRは3種類のデザインを用意して、幅広い年代やライフスタイルのユーザーにアピールしていく構えだ
スズキ株式会社 四輪商品・原価企画本部長 加藤勝弘氏

 具体的な車両解説は、スズキ 四輪商品・原価企画本部長 加藤勝弘氏が担当。加藤氏はワゴンRが「乗る人を最優先し、快適で使い勝手のいいパッケージング」という基本コンセプトを守りつつ、ユーザーのライフスタイルの変化、燃費、安全、環境などへの対応といった時代ごとの要請に応えて進化してきたことを説明。2016年4月~12月の期間における軽自動車のジャンル別構成比を使い、ワゴン、ハイト系ワゴンで全体の7割以上になっていることを紹介。とくにハイト系ワゴンが増加傾向にあるとしつつ、ワゴン市場も引き続き大きな市場を形成しているとの分析を明かす。

 また、ワゴンRはスズキが販売している軽自動車ラインアップで中心になるポジションとなっており、幅広いユーザーから日常的な通勤や送迎、買い物などから休日のドライブなどに利用されている現状がある一方で、軽自動車の多様化やユーザーの生活環境の変化などにより、自分のライフスタイルや個性に合ったクルマを求めるようになっていると解説。これを受けて、ワゴンRをフルモデルチェンジするにあたって購入者のライフスタイルや個性に合わせた選択ができるようにするため、3つのスタイルで内外装を個性化を図っているとした。

 ベースとなるデザインでは、フロントシート側を「広く使えるパーソナルスペース」、リアシート側を「機能的で使いやすい実用スペース」と定義。それぞれを遊オグさせて新たな軽ワゴンの使いやすさを表現している。また、インテリアではシンボリックなデザインを表現する「スタイル」、広さを実現する「スペース」、楽しく自由に使えることを目指した「ユーティリティ」の3つのキーワードをテーマに、シンプルで使いやすい室内空間を表現しているという。また、開放的な視界と広々した空間によってワゴンRらしい実用性も向上させている。

2016年4月~12月のジャンル別構成比
軽自動車のジャンルで中心になるのがワゴンであるという位置付け
幅広いユーザーニーズに対応するべく、新型ワゴンRでは3つのデザインを用意
ボディを前席側の「パーソナルスペース」、後席側の「実用スペース」に分けつつ、それぞれが溶け込むようなデザインにすることで新しさを表現する
インテリアは「スタイル」「スペース」「ユーティリティ」をキーワードに構成
室内長は従来比285mm増の2450mmを実現。室内高は不変ながら全高は10mm低くなっている

 パワートレーンのマイルドハイブリッドでは、エンジンを始動させずにモーターで走れる機能を設定。アイドリングストップ後の再発進時に、ブレーキペダルから足をはなすとクリープ走行状態をゆっくりとした発進を最長10秒間維持。これはモーター機能付発電機であるISGの高出力化、リチウムイオンバッテリーの大容量化で実現している。また、1月4日に発売した新型「スイフト」から新たに採用がスタートした新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」を新型ワゴンRでも採用し、ボディや足まわりなどを中心に軽量化を推し進めて先代モデルから20kg軽量化している。これにより、マイルドハイブリッド(自然吸気)採用の2WD(FF)車で、軽ワゴン(全高1550mm以上の軽自動車)No.1となる33.4km/LのJC08モード燃費を実現した。

 これらの商品特性を解説した加藤氏は「新型ワゴンRは軽ワゴンならではの万能性を備えながら、快適性を高める機能とデザインを両立させました。お客さまの用途、ライフスタイルに合わせた、これまでの軽ワゴンとは違う価値観を持たせています。刷新した個性的なデザイン、新機能の採用、燃費・走行性能の向上、使いやすいパッケージングこれらすべてがワゴンRが提供する新しい価値です。新型ワゴンRであらためて軽自動車のよさ、軽ワゴンのよさを多くの方に知っていただき、お客さまに合ったワゴンRを見つけていただければ幸いです」とコメントした。

マイルドハイブリッドによる減速・停車から再発進時の動作シーケンス
減速して約13km/h以下に車速が下がるとエンジンを停止。コースティングするかわりにISGの力でモーター走行を行なう
停車から再発進時にもISGで発進。燃費のわるい発進時にアシストを行なうことで燃料消費を抑える
通常走行中も約100km/hまで加速をモーターがアシスト。バッテリー残量によって最長30秒までアシストを行なう
2WD(FF)車のJC08モード燃費は26.8km/L~33.4km/L、4WD車のJC08モード燃費は25.4km/L~30.4km/Lとなる
新型「スイフト」でも採用されたデュアルセンサーブレーキサポート(DSBS)やハイビームアシストなどのほか、軽自動車として初めてヘッドアップディスプレイを装備する
新定番スタイルのカラーバリエーション
スタイリッシュワゴンのカラーバリエーション
ストロングワゴンのカラーバリエーション
ステージ上に並べられたHYBRID FZ(左)とHYBRID FX(右)
新色ボディカラーの「サニーイエローメタリック」
新色ボディカラーの「リフレクティブオレンジメタリック」
フロントウィンドウに設置されたDSBSの単眼カメラ+レーザーレーダー。上段左が単眼カメラ、上段右側の2つがレーザーレーダー受光部、下段がレーザーレーダー発光部
HYBRID FXのリアビュー
リアコンビネーションランプはワゴンRとワゴンRスティングレーでデザインが異なり、スティングレーはクリアタイプとなる
リアシートは5:5分割となっており、シートバックのレバーを操作するワンアクションで座面がダイブダウンしつつ前方に格納。フロアはラゲッジスペースからほぼフラットにつながる
後席シートバックは6段階のノッチを使ってリクライニング可能
リアシートは前後に160mm前後スライド
ラゲッジスペースのフロア下にラゲッジアンダーボックスを用意。フロアボードは縦置き収納が可能となっており、開放することでベビーカーなどを縦積みできるようになる
HYBRID FXのインテリア。写真のベージュ内装のか、ブラック内装も選択できる
HYBRID FZのインテリア。運転席シートリフターが標準装備となる
スティングレー HYBRID Tのインテリア。シート表皮やドアトリムなどの一部に赤のアクセントカラーを使って力強さと上質感をアピール
ドアトリムに全長約90cmまでの傘を収納できるアンブレラホルダーを軽自動車初採用
アンブレラホルダーの底部分に排水用のスリットを設け、傘の水分をドアトリム内部に導き、ドアウィンドウなどからドアトリム内部に入った雨水などと一緒にドア下側の排水溝から車外に放出する
HYBRID FXのインパネ。色遣いはグレードによって一部が異なるが、センターメーターを採用する水平基調のデザインは共通。インパネシフトを採用し、サイドウォークスルーに対応する
センターメーターは中央に大きくスピードメーターを設定し、右側にマルチインフォメーションディスプレイをレイアウト
ヘッドアップディスプレイには車速やシフトポジションのほか、オプション装備のカーナビのターンバイターン表示、DSBSの警告アイコンなどを表示できる
全方位モニター付メモリーナビゲーションはFA以外のグレードにオプション設定、価格は14万400円~14万2560円
運転席右前方のスイッチ類。上段左側がヘッドアップディスプレイ関連で左側の上下で角度調整、HUDのボタンで格納&展開を操作する
パーキングブレーキは全車足踏み式