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日産、グローバル本社に“日産再生の記念碑”「Wheels of Innovation」設置

17年間に渡るカルロス・ゴーン氏の軌跡を振り返り、次のステップに進む象徴

2017年6月22日 発表

記念碑「Wheels of Innovation」を紹介するカルロス・ゴーン氏

 日産自動車は6月22日、グローバル本社(神奈川県横浜市西区)の2階にある「日産ウォーク」に“日産再生の記念碑”となる「Wheels of Innovation(ホイール・オブ・イノベーション)」を設置した。この記念碑は公開通路である日産ウォークの一角に置かれており、利用可能時間となっている4時30分~25時15分のあいだであれば誰でも見学できる。

 ホイール・オブ・イノベーションを製作したのは、レバノン出身のアーティスト/建築家のナディム・カラム氏。素材にはステンレススチールを使い、テーマが異なる5つの車輪状の物体を集合させたもので、高さ5m、幅3.8m、重量約2tの大きなオブジェだ。

 5つの車輪は、1999年から日産の成長を支えた5つの柱「グローバリズム」「サステナビリティ」「チャレンジ」「アライアンス」「ダイバーシティ」を表しており、全体で日産が21世紀初頭に生み出した価値と変革を象徴している。一見すると不安定に立っているように見えるが、建築家の側面も持つカラム氏により、地震が多い日本の事情を十分にふまえ、耐震性も考慮した設計になっているとのこと。

日産再生の記念碑「Wheels of Innovation(ホイール・オブ・イノベーション)」。グローバル本社2階のギャラリースペースに設置されている。
「ダイバーシティ」を表す車輪
「アライアンス」を表す車輪
「サステナビリティ」を表す車輪
「グローバリズム」を表す車輪
「チャレンジ」を表す車輪

 記念碑の除幕式には、日産自動車 取締役会長のカルロス・ゴーン氏と日産自動車 社長兼最高経営責任者(CEO)の西川廣人氏、作者のカラム氏が出席して祝辞を述べた。

日産自動車株式会社 社長兼最高経営責任者(CEO)西川廣人氏

 最初に、社長兼最高経営責任者(CEO)の西川氏は「日産自動車は1999年のリバイバルプラン以降、当時のゴーンCEOのリーダーシップのもと、リカバリーとさまざまなチャレンジを行ない成長と進化を遂げ、今の日産があります」。

「自動車業界は変化の時代を迎えています。技術革新、市場やお客様の変化など、変化の時代に入ってきていますが、そんな時代に日産が自信を持って積極的に漕ぎ出していけるのは、やはりこの17年間に築いてきた土台があってこそです。17年間のゴーンCEOの軌跡を振り返り、かつ感謝をして、我々としては先のステップとして、さらなる進化と成長に向けて決意を新たにする場にしたいと思います」と述べた。

レバノン出身のアーティスト/建築家 ナディム・カラム氏

 次に登壇した作者のカラム氏は「私は10年以上、東京大学に在籍して建築学の修士号と博士号を取得しました。在学中は空間の哲学を学びました。洗練された日本の文化は私の人生に大きな影響を与えました。それがこの作品そのものにも現れています」。

「この作品はカルロス・ゴーン氏の指導力のもと、日産を形作ってきた価値観の象徴を表しています。円形はイノベーションと進歩を意味します。もちろん、車両や動き、移動といったものも含みます。この作品は日産の伝統を表しつつ、これから未来に進む1つのきっかけとなるでしょう」と語った。

カルロス・ゴーン氏とナディム・カラム氏が見守るなか、ホイール・オブ・イノベーションの除幕式が行なわれた
日産自動車株式会社 取締役会長 カルロス・ゴーン氏

 作品がお披露目されたあと、除幕式の最後で日産自動車 取締役会長のカルロス・ゴーン氏は以下のように述べている。

「この作品には、日産の17年間の変革の本質を捉えるとともに明るい将来を感じさせるものがあります。優れた芸術は、それがクルマであれ彫刻であれ、これまでの軌跡を思い出させるとともに、今後の可能性を予感させるものだと考えています。このホイール・オブ・イノベーションはその両方を実現しています。この瞬間を日産の多くの幹部と共有できたことをとても嬉しく思います。本作品は、私ども自動車メーカーとしてのレガシーを表現しています」。

「5つの車輪は私が日産に就任して以来、進化を支える5つの原動力を表現しています。それは『グローバリズム』『サステナビリティ』『チャレンジ』『アライアンス』『ダイバーシティ』です。なぜこの5つなのでしょうか」。

「『グローバリズム』はこの20年、日産の成長に最も貢献した力です。私どもはグローバル化の恩恵を享受しただけではなく、誇りある当事者として、また擁護者として世界中でチャンスと富を生み出してきました」。

「『サステナビリティ』に関しては、私どもが構築に取り組んできた世界、目指してきた成果そのものです。多くの画期的な商品、例えば『リーフ』と自動運転技術を含む数々の商品を提供するのに、この要素は不可欠でした。これらの技術の進歩は日産の持続可能性を向上させ、長期的な価値創造の体制を整えさせたのです」。

「『チャレンジ』についてです。最も偉大な変革は最大の試練によって生まれました。例えば1990年代後半の経営難、2000年代のリーマンショック、業界の合従連衡、東日本大震災、そして現在起こっている技術革命です。日産は困難を乗り越えるたびにさらに力をつけ、どのような課題にも臨める体制にあります」。

「『アライアンス』について、ルノーと力を合わせることで日産は力を増してきました。ほかの協業が失敗に終わるなか、この協業は発展を続けてきました。これも自主性と力強いアイデンティティを守ると同時に、共通の目標によるシナジー効果の創出に取り組む決意を持ってきたからです。そして三菱自動車が新たな一員として加わり、本アライアンスは業界最大の自動車グループになろうとしています。このスケールメリットを日産のために活かすことが求められています」。

「最後の『ダイバーシティ』についてです。多文化のマインドセットがさまざまな考え方、新たな発想、そして問題解決に繋がりました。多様性こそ日産のDNAであり、力の源泉であるとともに競争優位性でもあります」。

「この5つのテーマを1つの作品に全て内包することは志の高い挑戦でした。それが実現し、私たちのビジョンを美しい芸術作品に表現することで、この作品の前を通る大勢の人々にインスピレーションをもたらすことでしょう。しかし、真のインスピレーションは、私が17年間ともに仕事をした人々の中にあります。そして彼らが将来に導いてくれるでしょう。明るい未来を願うものであります」。

「日産の力はこれまでも、またこれからも“The power comes from inside”『すべては1人ひとりの意欲から始まる』というところから生まれます。ホイール・オブ・イノベーションは、人々がこの意欲から出た力で成し遂げることができた成果の象徴です」。