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自工会 西川会長、オリ・パラで分散開催となる2019年の東京モーターショーは「複数の会場で開催して東京という都市のよさを発信」

自工会 12月度定例記者会見

2017年12月15日 開催

12月15日に行なわれた自工会・定例記者会見で話す日本自動車工業会 会長の西川廣人氏

 日本自動車工業会(自工会)は12月15日、12月度の定例記者会見を実施。10月27日~11月5日の10日間に開催された「第45回東京モーターショー2017」の振り返りなどを紹介した。

 登壇した日本自動車工業会 会長の西川廣人氏は、「個社の話で恐縮ですが」と前置きしつつ、日産自動車で発生した完成検査の不適切な取り扱いについて、冒頭であらためて謝罪を行ない会見がスタート。また、完成検査についてはスバルでも同様のケースが報告されており、国土交通省で完成検査のあり方について検討が進められており、自工会としても今後このような問題が起きないよう法令遵守の徹底に取り組んでいきたいとした。

 また、西川氏は2017年の振り返りとして、世界経済は比較的順調で穏やかだったと述べ、日本メーカーにとって重要度の高い米国市場は前年比でピークアウトを見せる残念な状況だったとしつつ、中国市場は高級車を中心に堅調に成長、欧州市場も全需が順調であると解説。新興国市場はロシアや南米が順調に景気回復の兆しを示しており、インドやアセアンなどの市場もしっかりと成長して、比較的順調な事業環境だったと語った。

 また、国内動向も比較的堅調で、7-9月期の実質GDPが前期比6%増、年率換算で2.5%増、7四半期連続のプラス成長であるという数字を紹介。また、12月8日に政府が閣議決定して発表した「新しい経済政策パッケージ」も踏み込んだ内容になっており、経済の好循環が継続していくことに期待し、各政策が着実に実行されることを要望した。

 自動車販売は堅調な経済を反映して、11月については前年比97.4%とわずかに減っているものの、1月~11月では484万台を販売して前年同期比で105.8%と順調に推移。「あとは好循環にできるだけ寄与しながら、マーケットを活性化して国内販売を伸ばしていくことが我々の仕事であると思っております」と述べた。

「2019年の東京モーターショーに向けてさまざまな企画を進めていきたい」と語る西川氏

 第45回東京モーターショー2017については、自工会として「クルマ離れ」といわれる状況を変えるべく「クルマのファン作り」を行ない、クルマに興味を持ってもらえるような取り組みを行なったと説明。結果としては77万人が来場し、来場者の4人に1人が女性となり、15歳~39歳の来場者が51.3%と大きく増加したという報告を受けていると語り、2019年の次期開催に向けて設定しているマイルストーンを着実に推進できているとアピールした。

 西川氏は将来のモビリティ社会に向け、クルマのあり方、クルマと人の関わり方が変化、進化してますます多様化していくとの見解を示し、そんな時代に向けて今回の東京モーターショーを実施し、次回となる2019年の東京モーターショーに向けてさまざまな企画を進めていきたいと意気込みを語った。

 また、前日の12月14日に与党から発表された「平成30年度税制改正大綱」では、自動車関連で先進技術を搭載したトラックやバス、自動車重量税の特例措置が延長について盛り込まれたことを紹介。税制では消費税の10%への引き上げが控える平成31年度分が非常に大きなポイントになると語り、自工会がテーマとするクルマの保有段階における過剰な税負担見直しについて引き続き各方面に働きかけを続けていくと述べた。

 このほか、日本とEUにおける経済連携協定、11カ国で進められているTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の進展を歓迎し、それぞれ早期の署名、発行に強く期待すると西川氏は語った。

 質疑応答では、次回の東京モーターショーに向けて今回の開催で見えた課題などはあるかといった質問に対し、西川氏は今回のモーターショーで狙いとしたアピールについてはおおむね成果を手にしたとしつつ、来場者のアンケート内容といったフィードバックを詳しく分析し、次に向けた方向性を自工会だけに止まらず、会員各社にも共有。まずは2018年に予定している“モーターショー間のイベント”につなげていきたいと語った。これまでこの“モーターショー間のイベント”はそれほど注力する取り組みとはなっていなかったが、今回の東京モーターショー実施で構成した会員各社のスタッフによる「クロスカンパニー」に2018年も引き続いて担当してもらい、取り組みを途絶えさせずに2019年まで連続させていきたいとの意向を示した。

 また、2019年は東京オリンピック・パラリンピックの開催に関連して東京モーターショーも分散開催になることを、ネガティブな事象として質問されることが多いと西川氏は語り、これはむしろ上手に企画していくことで、東京という都市のよさを発信する機会に活用したいと理事会でも話し合っていると紹介した。

 2018年の販売見通しについては、これまで堅調に推移しており、年の終盤に完成検査の問題で販売台数の伸び悩みはあったものの、クルマに対するユーザーの関心は高まっており、よい製品が提供されればしっかり見てもらえる環境があり、経済環境の面でもわるくないとの見方を示した。また、2018年度の後半には消費税の増税が視野に入ってくるが、これに関連して自動車税などの諸税がどのように推移するかについて早めに議論を進め、駆け込み需要が発生して次年度に販売が落ち込むといったネガティブな状況にならないよう、むしろ販売にポジティブな状況作りを目指して働きかけをしていきたいと強く念頭に置いていると回答した。

西川氏は会見の冒頭であらためて謝罪した