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【Suzuka10H】ポールは28号車 HubAuto Corsaのフェラーリ 488 GT3が獲得。日本チーム最上位は21号車 Audi Team Hitotsuyamaの9位
SUZUKA 10 HOURSレポート
2018年8月25日 18:53
- 2018年8月24日~26日 開催
真夏の耐久レース「鈴鹿1000kmレース」から発展して新しくFIA-GT3の車両を利用した10時間レースとして生まれ変わった「SUZUKA 10 HOURS ENDURANCE RACE」(鈴鹿10時間耐久レース、以下SUZUKA 10 HOURS)が、8月24日~8月26日の日程で三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開催されている。8月25日13時からは予選が行なわれ、決勝レースに向けたスターティンググリッドが決定された。
ポールポジションを獲得したのは28号車 HubAuto Corsa(Ferrari 488 GT3、ニック・フォスター/デイビッド・ペレル/吉田広樹組)。
2位は888号車 Mercedes-AMG Team GruppeM Racing(Mercedes-AMG GT3、ラファエル・マルチェッロ/マロ・エンゲル/トリスタン・ヴォーティエ組)、3位は27号車 HubAuto Corsa(Ferrari 488 GT3、ダビデ・リゴン/マット・グリフィン/ミゲル・モリーナ組)となった。
Q1では述べ27台のタイムが抹消されるという混乱が発生
今回のSUZUKA 10 HOURSは何もかも初めてずくしという中で行なわれた。練習走行は木曜日と金曜日に行なわれ、土曜日は練習走行はなく13時から予選が行なわれるスケジュールで行なわれた。
予選はあらかじめ登録されておいたドライバー1、ドライバー2、ドライバー3の順でタイムアタックを行ない、3人のドライバーのタイムを合算して順位を決める形に。そしてその上位20台が「BBS EXCITING ATTACK」という予選2回目に進み、21位以下は順位が確定という形で行なわれる予定だった。
14時45分からスタート予定だったBBS EXCITING ATTACKは予定の時間を過ぎても始まらなかった。というのも、予選1回目で多くの車がトラックの限界(トラックリミット)をはみ出してベストタイムを出したとしてその検証が行なわれ、その後も検証が続き、結局55分遅れでBBS EXCITING ATTACKが始まることになった。
その検証が終了して出された結論は、誰もが驚く裁定だった。多くの車両(ドライバー1で16台、ドライバー2で4台、ドライバー3で7台)で最速タイムが抹消された結果、当初の順位と大きく変わる結果となってしまった。このため、最初はQ2に進めていると思われていた車両がQ2に進めなくなったり、その逆で落ちたと思っていた車両が20位までに入るということになってしまっていた。
そうした混乱が発生したため、本来は20位までがQ2へ進めるルールだったのが、特例として24位までQ2へ進めるということでQ2が行なわれることになった。これにより、本来であればQ1落ちとなっていた22位の10号車 Honda Team MOTUL(Honda NSX GT3、山本尚貴/武藤英紀/中嶋大祐組)、24位の911号車 Manthey-Racing(PORSCHE 911 GT3R、ディルク・ベルナーフレデリック・マコヴィッキィ/ロマン・デュマ組)などが救済されてQ2へと進むことになった。
55分遅れてQ2スタート。HubAuto CorsaのFerrari 488 GT3がポール獲得
そうして始まったQ2だが、混乱はさらに続くことになった。海外勢がいち早くタイムを出す中で、日本のチーム、特に00号車 Mercedes-AMG Team GOOD SMILE(Mercedes-AMG GT3、谷口信輝/片岡龍/小林可夢偉組)、10号車 Honda Team MOTULなどが最後のラップでタイムを出そうとしていた時に、アクシデントが発生した。
SUPER GT 富士500マイルレースで、コントロールを失ったGT500に衝突されて車両が全損した状態から、新車両を投入することで復活した34号車 Modulo Drago CORSE(Honda NSX GT3、道上龍/大津弘樹/小暮卓史組)だが、ドライブしていた小暮選手がデグナーでコントロールを失いグラベルにはまってしまったのだ。
これにより00号車、10号車はタイムアタックのチャンスを失ってしまい、34号車共々下位に沈むことになった(00号車が21位、34号車23位、10号車が24位)。
それにより、予選は赤旗が提示され、結局予選はそのまま終了。それまでの1位だった28号車 HubAuto Corsa(Ferrari 488 GT3、ニック・フォスター/デイビッド・ペレル/吉田広樹組)がポールポジションを獲得した。
2位は888号車 Mercedes-AMG Team GruppeM Racing(Mercedes-AMG GT3、ラファエル・マルチェッロ/マロ・エンゲル/トリスタン・ヴォーティエ組)、3位は27号車 HubAuto Corsa(Ferrari 488 GT3、ダビデ・リゴン/マット・グリフィン/ミゲル・モリーナ組)が入った。
日本チームの最上位は9位に入った21号車 Audi Team Hitotsuyama(Audi R8 LMS、リチャード・ライアン/富田竜一郎/アレッシオ・ピカリエロ組)。
順位 | No. | クラス | チーム | 車両 | ドライバー1 | ドライバー2 | ドライバー3 | Q1(3人の合計) | Q2 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 28 | Pro-Am | HubAuto Corsa | Ferrari 488 GT3 | ニック・フォスター | デイビッド・ペレル | 吉田広樹 | 6分08秒367 | 2分01秒740 |
2 | 888 | Pro | Mercedes-AMG Team GruppeM Racing | Mercedes-AMG GT3 | ラファエル・マルチェッロ | マロ・エンゲル | トリスタン・ヴォーティエ | 6分09秒300 | 2分02秒037 |
3 | 27 | Pro | HubAuto Corsa | Ferrari 488 GT3 | ダビデ・リゴン | マット・グリフィン | ミゲル・モリーナ | 6分10秒263 | 2分02秒080 |
4 | 75 | Pro-Am | Sun Energy 1 Racing AUS | Mercedes-AMG GT3 | ケニー・ハブル | ミカエル・グルニエ | ルカ・ストルツ | 6分13秒860 | 2分02秒300 |
5 | 23 | Pro | KCMG | NISSAN GT-R NISMO GT3 2018 Model | エドアルド・リベラティ | リチャード・ブラッドレー | オリバー・ジャービス | 6分11秒662 | 2分02秒415 |
6 | 911 | Pro | Manthey-Racing | PORSCHE 911 GT3R | ディルク・ベルナー | フレデリック・マコヴィッキィ | ロマン・デュマ | 6分15秒044 | 2分02秒425 |
7 | 07 | Pro | Bentley Team M-Sport | Bentley Continental GT3 | ジョーダン・ペッパー | スティーブン・ケイン | ジュール・グーノン | 6分13秒296 | 2分02秒477 |
8 | 17 | Pro | AUDI SPORT TEAM WRT | Audi R8 LMS | シェルドン・ファン・デル・リンデ | スチュアート・レオナルド | ジェイク・デニス | 6分13秒061 | 2分02秒597 |
9 | 21 | Pro | Audi Team Hitotsuyama | Audi R8 LMS | リチャード・ライアン | 富田竜一郎 | アレッシオ・ピカリエロ | 6分11秒909 | 2分02秒810 |
10 | 11 | Pro | GAINER | NISSAN GT-R NISMO GT3 | 平中克幸 | 星野一樹 | 安田裕信 | 6分12秒240 | 2分02秒832 |
11 | 6 | Pro | Audi Sport Team Absolute Racing | Audi R8 LMS GT3 | マルクス・ウィンケルホック | クリストファー・ハース | ケルビン・ファン・デル・リンデ | 6分12秒779 | 2分02秒846 |
12 | 43 | Pro | Mercedes-AMG Team Strakka Racing | Mercedes-AMG GT3 | ルイス・ウィリアムソン | マキシミリアン・ゲーツ | アルバロ・パレンテ | 6分11秒401 | 2分02秒847 |
13 | 44 | Pro | Strakka Racing | Mercedes-AMG GT3 | エイドリアン・タンベイ | オリバー・ローランド | マキシミリアン・ブーク | 6分11秒994 | 2分02秒851 |
14 | 8 | Pro-Am | ARN Racing | Ferrari 488 GT3 | 永井宏明 | 嵯峨宏紀 | 平手晃平 | 6分14秒471 | 2分02秒859 |
15 | 88 | Pro | JLOC | LAMBORGHINI HURACAN GT3 | 平峰一貴 | マルコ・マペッリ | アンドレア・カルダレッリ | 6分12秒392 | 2分02秒886 |
16 | 08 | Pro | Bentley Team M-Sport | Bentley Continental GT3 | ヴィンセント・アブリル | アンディ・ソウセック | マックス・ソレット | 6分12秒605 | 2分02秒893 |
17 | 991 | Pro | CRAFT BAMBOO RACING | PORSCHE 911 GT3R (991) | ローレンス・バンスール | ケヴィン・エストレ | マシュー・ジャミネット | 6分12秒931 | 2分02秒909 |
18 | 66 | Pro | AUDI SPORT TEAM WRT | Audi R8 LMS | クリストファー・ミース | ドリス・バンスール | フレデリック・ヴェルビッシュ | 6分10秒528 | 2分02秒916 |
19 | 7 | Pro | D'station Racing | Porsche 911 GT3 R(TYPE991) | 藤井誠暢 | スヴェン・ミューラー | アール・バンバー | 6分12秒406 | 2分02秒916 |
20 | 42 | Pro-Am | Strakka Racing | Mercedes-AMG GT3 | ニック・レベンティス | ダビド・フマネッリ | フェリペ・フラガ | 6分13秒310 | 2分02秒969 |
21 | 00 | Pro | Mercedes-AMG Team GOOD SMILE | Mercedes-AMG GT3 | 谷口信輝 | 片岡龍也 | 小林可夢偉 | 6分11秒327 | 2分03秒159 |
22 | 58 | Pro | Garage 59 | McLaren 650S | ベン・バーニコート | アンドリュー・ワトソン | カム・レドガー | 6分12秒937 | 2分03秒457 |
23 | 34 | Pro | Modulo Drago CORSE | Honda NSX GT3 | 道上龍 | 大津弘樹 | 小暮卓史 | 6分13秒284 | 2分08秒258 |
24 | 10 | Pro | Honda Team MOTUL | Honda NSX GT3 | 山本尚貴 | 武藤英紀 | 中嶋大祐 | 6分14秒142 | 2分16秒735 |
25 | 37 | Pro-Am | Callaway Competition with BINGORACING | CORVETTE C7 GT3-R | 武井真司 | 上村優太 | 三笠雄一 | 6分15秒067 | - |
26 | 18 | Pro | TEAM UPGARAGE | 86 MC | 中山友貴 | 小林崇志 | 井口卓人 | 6分15秒267 | - |
27 | 777 | Pro-Am | CARGUY Racing | Honda NSX GT3 | 木村武史 | 横溝直輝 | ケイ・コッツォリーノ | 6分15秒749 | - |
28 | 87 | Pro-Am | JLOC | LAMBORGHINI HURACAN GT3 | 元嶋佑弥 | 高橋翼 | 飯田太陽 | 6分15秒756 | - |
29 | 13 | Pro-Am | Absolute Racing | Audi R8 LMS GT3 | サン・ジンズ | コンフ・チェン | アドリー・フォング | 6分16秒096 | - |
30 | 018 | Pro | KCMG | NISSAN GT-R NISMO GT3 2018 Model | 松田次生 | アレキサンドレ・インペラトーリ | 千代勝正 | 6分16秒241 | - |
31 | 2 | Pro-Am | CarsTokaiDream28 | LOTUS EVORA/ABA-122 | 高橋一穂 | 加藤寛規 | 濱口弘 | 6分16秒564 | - |
32 | 77 | Pro-Am | D'station Racing | Porsche 911 GT3 R(TYPE991) | 星野敏 | 近藤翼 | ジョノ・レスター | 6分16秒674 | - |
33 | 54 | Pro-Am | Black Swan Racing | PORSCHE 911 GT3R | ティモシー・パパス | ジェロエン・ブリークモレン | マーク・ミラー | 6分16秒697 | - |
34 | 91 | Pro-Am | SINGHA-Team AAI | BMW M6 GT3 | トム・ブロンクビスト | 飯田章 | ピティ・ビョロムバクディ | 6分19秒634 | - |
35 | 112 | Am | SATO,YAMASHITA-SS/Rn-sports | Mercedes-AMG GT3 | 佐藤敦 | 山下亮生 | 久保宣夫 | 6分20秒125 | - |
何よりもクルマが決まっていたとポールポジションを獲得した28号車 HubAuto Corsaのドライバーが説明
予選後にはトップ3による記者会見が行なわれた。以下はその模様だ。
――ポール獲得した28号車 HubAuto Corsaの3人のドライバーに今日の予選を振り返って欲しい
ニック・フォスター選手:チームがポールを獲れて本当に嬉しい。チームにとっては非常に重要な成功だし、今回チームは本当にいい仕事をした。僕はブランパンアジアシリーズでも入っているけど、吉田選手はこのクルマに乗るのが初めてだったし、デビットは鈴鹿を初めて走るという中でチームの努力がすごかった。
デイビッド・ペレル選手:今回僕は最後の最後に呼ばれて乗ることになったけど、信じられない結果だ。チームが用意したクルマが本当によかった。明日は本当に長いレースになるので、トラブルに巻き込まれないことが大事だ。
吉田広樹選手:今回このレースに出ると決まったのは急な話だった。チームメイトも海外の選手で、自分の英語力などから不安もあったが、クルマは本当に乗りやすかった。何よりチームの総合力が高く、フェラーリに乗り慣れているニックやデビッドが相談に乗ってくれた。ニックがポールを取ってくれて本当に嬉しい。僚車も3位なので、1-2でゴールに帰ってこれるようにしたい。
――同じく2位になった888号車 Mercedes-AMG Team GruppeM Racingはどうか?
マロ・エンゲル選手:Q2ではグレートラップだった。フェラーリとチームが本当にいい仕事をしてくれたのでそれを褒めたい。2位は望みうるなかで最高の結果だった。ロングレースだし、明日のレースが大事なのでしっかりレースを頑張りたい。そして、日本のファンにお礼を言いたい。本当に沢山のサポートをしてくれている。
ラファエル・マルチェッロ選手:簡単ではなかったけど、いい仕事をしたと思う。明日は勝つ可能性もあるし、予選の順位はあまり関係ないので、明日に向けて集中したい。
トリスタン・ヴォーティエ選手:鈴鹿サーキットを走るのは初めてだけど、トラックも日本も本当に素晴らしい。今週末はクルマが本当によく、いいラップができた。明日のレースは様々な要素が絡んでくるが、特にトラックの温度が重要になってくる。温度によって強いクルマも変わってくるので、きちんとした戦略が重要だ。何より我々はシリーズ・チャンピオンを意識してレースをすることになると思う。
――3位の27号車 HubAuto Corsaの3人のドライバーに振り返って欲しい
ダビデ・リゴン選手:(1位となった28号車の)ニックは本当にいい仕事をした。チームにとっては1位と3位はいい結果だ。僕たち三人は全員ここに来るのが初めてだけど、明日はいいレースができると思っている。明日のレースではニック達に勝てるようにしていきたい、セカンドローは悪くない位置からのスタートだし、明日はベストを尽くしていきたい。
ミゲル・モリーナ選手:ここにこれて本当に嬉しい、ここのトラックは本当に楽しいし、チャレンジングだ。チームがいいクルマを用意してくれたお陰で、本当に楽しめている。明日のレースも精神的にとてもタフだと思うけど、既に準備はできている。タイヤをしっかり管理していいレースがしたい。
マット・グリフィン選手:チームとフェラーリにとっていい予選だった。ニック達は本当にいい仕事をしたと思う。僕たちは明日の決勝に向けてセットアップしてきたので、明日のレースには自信をもって臨みたい。
――ポールポジションの賞金100万円何に使うのか?
ニック・フォスター選手:チームとの契約書をじっくり読んで考えたいと思う(笑)
――28号車が速かった理由は?
デイビッド・ペレル選手:130Rをべた踏みで行ったこと(笑)
ニック・フォスター選手:マジックはない(笑)。ここをよく知っている広樹が助けてくれた。ここのサーキットでは経験が何よりも重要なので。
吉田広樹選手:ブランパンのレースがここで5月にあったとき、チームは確か予選2位だった。その時の経験や、セットアップの方向性を元に、デビッドとニック、そしてエンジニアがセットアップしてくれているクルマにただ乗っているだけだ。