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【Suzuka10H】グッドスマイルレーシングの00号車 Mercedes-AMG Team GOOD SMILEは、なぜ00号車なのか?なぜ赤を使うのか? エントラント代表 安藝貴範氏に聞いてみた

「ダブルゼロ号車と呼んでくれ」、スパ24時間のリベンジにかけた思い

2018年8月25日 予選

2018年8月26日 決勝

グッドスマイルレーシング エントラント代表 安藝貴範氏。グッドスマイルレーシングの母体となるグッドスマイルカンパニーの代表取締役社長でもある

 鈴鹿サーキットで開催されている「SUZUKA 10 HOURS ENDURANCE RACE」(鈴鹿10時間耐久レース)。このレースに真っ先にエントリーを決め、好タイムを記録するなど、その活躍に期待が集まるのがグッドスマイルレーシングの00号車 Mercedes-AMG Team GOOD SMILE(Mercedes-AMG GT3、谷口信輝/片岡龍/小林可夢偉組)。

 予選は最終アタック時に赤旗が出るなど不運なことになり、21位と不本意な結果になったが、赤い特別なカラーが入り、特別なレーシングスーツ、そしてSUPER GTシリーズとは違う00号車というゼッケンで挑むグッドスマイルレーシングのエントラント代表 安藝貴範氏に、鈴鹿10時間耐久にかける思いを聞いてみた。

赤の特別カラーを入れて挑む00号車 Mercedes-AMG Team GOOD SMILE(Mercedes-AMG GT3、谷口信輝/片岡龍/小林可夢偉組)

──00号車 Mercedes-AMG Team GOOD SMILE(Mercedes-AMG GT3、谷口信輝/片岡龍/小林可夢偉組)は、カラーリングに赤が入っており、SUPER GTシリーズと異なるものになっています。このカラーリングの背景などについて教えてください。

安藝代表:去年のスパ24時間に、僕たちの気持ちとしては日本代表という思いで参加しました。その日本をイメージする色である赤と、グッドスマイルレーシングのロゴカラーの赤になる。グッドスマイルレーシングのカラーは本来的に赤。グッスマ(グッドスマイルカンパニー)のコーポレートカラーはオレンジ、ロジスティクスは緑といろいろあるのですが、レーシングは赤になります。その赤を使うのと、日本代表としたいという気持ちで日の丸とさくらのイメージを入れました。

 そのカラーでスパ24時間を戦って、無念がありました。その思いを引き継いで、鈴鹿10時間のような世界戦はこのカラーリングでいこうと引き継いでやっています。

──ドライバーのレーシングスーツも、SUPER GTシリーズのものとは違っていますが?

安藝代表:このレーシングスーツもスパ24時間用に作ったものになります。赤と金を入れて雅なものにしています。若干ウルトラマンっぽくなっていますが(笑)。個性的でよいと思っています。

──そのスパ24時間の思いをもって、この鈴鹿10時間にチャレンジすることになったわけですが、鈴鹿10時間へのエントリー届を一番に出したのがグッドスマイルレーシングとのこと。どこよりも早く鈴鹿10時間レースにエントリーした理由は?

安藝代表:そうですね。本当は今年のスパ24時間レースでリベンジをしたかったのですが、去年スパに行って、現地のチームとジョイントでやって、ピレリタイヤの使い方であるとか、海外でのGT3オンリーの耐久レースをどう戦うかという面で力不足というか経験不足というか。僕たちの学びが足りないことが、本心としてあります。やはり、戦う準備が足りていなかったなと、反省しました。

 本当は今年は出たかったのですが、単発で出ていっても勝負にならんなと。そうこうしているうちに、この鈴鹿10時間が世界戦で行なわれると。ここで去年戦った人たちとまたやれると。地元の利もあるし、僕たちの考え方の中では「出るしかないでしょ!!」というのがあったのです。

 ただ、出るときには、各チーム出るだ出ないだとなりがちで、「えーい、俺たちが最初に~」となりました。

──最初になったから、ゼッケン番号が「00号車」となったのですか?

安藝代表:00号車は、前回(スパ24時間)も00号車です。その00号車を引き継いでいます。僕たちが作ったヘッドホン、DJのZEDDとコラボレーションで作ったのですが、そのペットネームが「Double Zero(ダブルゼロ)」なのです。そのプロモーションもかねて00号車になっています。なので、00号車は読み方としてはダブルゼロ号車と呼んでくれと。

 GT300でチャンピオンとなるグッドスマイルレーシングは0号車としていますが、それをちょっと先取ってしまおうぜと。今年はGT300のマシンも(2017年にチャンピオンを獲得したことで)0号車だし、ちょうどいいよねと。00号車を鈴鹿10時間でリクエストしたら、「あいてるよ」と言われたので、「お願いします」となりました。

──スパ24時間の参戦、鈴鹿10時間の参戦と、グッドスマイルレーシングは耐久にチャレンジするという姿勢を感じるのですが、耐久レースにかける思いなどありますか?

安藝代表:GT3のレースの面白みは、スプリントレースも面白いと思いますが、可夢偉選手の応援でルマンに行ったりとか、長いレースを体験させてもらうなかで、耐久レースは長時間チーム力を問われるレースだと思います。誰かの力で勝てるとかではなく、総合力を試される感じ。準備など。準備の時間は、耐久レースの時間が長ければ長いほど時間がかかるのです。けれど、(レースは)1日で終わってしまうわけじゃないですか。だけどその1日が長い、密度が濃い。

 それはやっていても刺激的だし、見ていても刺激的だし。見ているお客さんも、長い時間楽しめるじゃないですか。 僕たちはいいレースをお客さんに見せたい、応援してくれる人に見せたい、というのがありますね。

 後は、個人的に耐久レースが好きだというのがあります。F1などのスプリント系も好きなのですが、耐久レースを見ていると(スプリントレースは)一瞬で終わりすぎて。せっかく楽しみに次のレースを待っていても、「あ、もう終わったの」という感じが。ちょっともったいないなと思うんですよね。今は、耐久レースが楽しいなと思っています。

──10時間レースでのグッドスマイルレーシングのパフォーマンスですが、予選は最後のタイムアタック中に赤旗が出るなど残念なことになりましたが、それまでのタイムの出方はよかったように思います。安藝代表自身としてはどう見ていますか?

安藝代表:全体的に調子がよくないです。タイヤの使い方にすごく苦労していて。「よいのか?」と問われると、昨日(金曜日)のナイトセッションなどは、チーム内で不協和音が吹き荒れるほどでした。予選で修正しきれてはいないと思います。予選をトップ20でクリヤしていければと。

 予選セッションを可夢偉でアタックするというプラン自体はうまくいったと思います。

──予選はその最終アタックが、別のクルマのスピンによる赤旗中断でタイムが記録されず21位となりました。決勝は10時間という長丁場ですが、どのような戦い方を考えていますか?

安藝代表:ピレリタイヤをまだ攻略できている状態ではないと思います。ただ、AMG勢では攻略しつつあるチームもいるように見えます。鈴鹿サーキット、この季節、10時間耐久、ピレリタイヤ。これをどう攻略できるか、僕らも学びながら10時間の間にキャッチアップできるとよいなと思っています。

 21位スタートは完全に想定外ですけど、とはいえ10時間。9スティントあると思います。運1つで取り返せる距離感だと思っていますし、策が1つはまれば上位にいけると思っています。ドライバーはそろっていますから。のっぽ、ぽっちゃり、大阪弁と。

 僕自身も10時間を楽しもうと思って参戦を決めました、今のところちょっと楽しくないですが(笑)。決勝は楽しみたいと思います。