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【Suzuka10H】アウディ スポーツ、カスタマーレーシング責任者に聞く
プレミアムブランドとの競争でクルマのパフォーマンスを示す
2018年8月26日 10:54
- 2018年8月24日~26日 開催
独アウディはプレミアム・ブランドの自動車メーカーで、モータースポーツに積極的に取り組んでいる自動車メーカーの1つだ。
ル・マン24時間レースでは2000年の初優勝以来、13回の優勝を果たしたほか、古くはWRCにアウディ・クアトロで参戦して1982年/1984年のメイクスタイトル、1983年/1984年のドライバータイトルを獲得するなどモータースポーツ活躍がよく知られている。
2016年のシーズン末にル・マン24時間レースを含むWECから撤退したあとは、ドイツのDTMや今回のSUZUKA 10 HOURSなどのFIA-GT3車両を利用したカスタマーレーシングを中心にモータースポーツ活動を行なっている。
そうしたアウディのモータースポーツ部門であるアウディ スポーツのカスタマーレーシング責任者であるクリス・ラインケ氏が、SUZUKA 10 HOURSの開催に合わせて来日したので話を聞いた。
アウディがカスタマーレーシング活動を行なうのは、他のプレミアムブランドと競争して車両のパフォーマンスを示すため
――アウディにとってこうしたレースでカスタマーレーシング活動を行なう意味とは?
ラインケ氏:ワールドワイドのモータースポーツを見ると、2つのカテゴリーがある。1つは、クラシックなモータースポーツ活動で、アウディで言えばDTMなどがこれに該当する。そしてもう1つがカスタマーレーシングだ。現在モータースポーツ界にあってカスタマーレーシングの重要性は増している。カスタマーレーシングでは、機器を供給するだけでなく、エキサイティングな体験を顧客に提供している。世界中で市場ができ上がりつつあり、またクルマのパフォーマンスを証明する場としても有効だ。このため、われわれはそうした重要なレースにエントリーすることをストラテジックエントリーと呼んでいる。
このため、アジアではコンチネンタルシリーズにエントリーしているほか、マカオで行なわれるFIA GT World Cupなどにエントリーしている。マカオでのレースは、スプリントレースでGTレーシングの基本である耐久レースではないが……。そしてこのレースだが、SUZUKA 10 HOURSというアジアを代表するGTレースが誕生したことをわれわれは歓迎しており、他のプレミアムブランドと競争してわれわれのパフォーマンスを示す場を得たことを歓迎している。
――アウディは、SUPER GT/GT300で一ツ山レーシングに協力する形で関わっていると思うが、アウディにとってのその意味は?
ラインケ氏:言うまでもなく日本市場はわれわれにとって重要な市場であり、そこに疑いの余地はない。その日本でSUPER GTに関わっているのは、アウディの持つパフォーマンスを示すためであり、一ツ山レーシングはそのための素晴らしいパートナーだ。彼らにも今週末にはわれわれの陣営に加わってもらい、共に勝利を目指したいと考えている。
――カスタマーチームのサポートとはどのようなことをしているのか?
ラインケ氏:さまざまな種類のサポートをしている。競合もやっていると思うが、経験やデータなどをチームで共有し、底上げを図っている。さらにクルマをさらによくする情報をチームにもたらしたりしている。日本のコンディションに関しては日本のチームの知識が生きてくるので、そこから学ばせてもらい、他のチームへもフィードバックする。
――現在のカスタマーレーシングの市場を見ていると、GT3とGT4の2つのカテゴリーがあり、それぞれ競合しているように見えるが、アウディとしてはGT3とGT4の位置づけをどう考えているのか?
ラインケ氏:私にとってはGT3とGT4は領域が重なっていないと考えている。GT4はアマチュアやジェントルマンドライバー向けであり、GT3はプロやプロとアマチュアが組んでのレース向けだ。それぞれ異なるポジション、異なる目的があり、スピードもランニングコストも異なっており、完全に異なるカテゴリー向けだとアウディでは考えている、われわれにとっては製品ラインナップの拡張だと考えており、お客さまのニーズに応じて、GT3だったり、GT4だったり、TCRだったりとそれぞれ異なる製品を投入しており、それは今後も変わらない。
決勝レースの鍵となるのは予想よりも高い気温などに対処していくこと
――決勝レースの鍵となるのは何か?
ラインケ氏:ここは特別な知識や経験を必要とするとデマンディングなサーキットだ。と同時にドライバーにとってはエキサイティングでチャレンジングなサーキットでもある。われわれのブランドにとって、鈴鹿1000km、今は鈴鹿10時間耐久レースを走ることは大いに意味があることだ。今の段階では今回のレースの鍵を握るのは熱だと思っている。気温はわれわれが予想していたよりも特別な状況(筆者注:つまり気温が予想よりも高い)、路面の表面やタイヤの温度について、R8 LMSを走らせるにあたりタイヤのウェアに注意を払ったり、クルマそのものの熱についても注意を払う必要がある。いずれにせよ、今の段階では熱について注意深くチェックしていく必要がある。今の段階では車両には問題はないと考えているが、タイヤに関しては技術的にいろいろ検討していく必要があると考えている。また、もう1つ重要な事は運転するドライバーに関しても注意して行く必要がある。
――決勝レースは非常に暑いレースになりそうだが、それへの対処は?
ラインケ氏:われわれの方ではすでに準備ができている。クルマの方も対処がすんでおり、タイヤに関してもすでにセットアップが進んでいる。ドライバーに関しても飛び込む準備ができてる(笑)(と、指でピット裏にあるプールを指し示す)
――決勝レースはコンスタントに走ることが求められると思いますが……
ラインケ氏:そのとおりだ。特にProカテゴリーのクルマは非常に緊張感の高いレースがスタートからゴールまで繰り広げられると予想している。特に最後の2-3時間は上位のクルマがパックになって走ることになるのではないだろうか。そして夕方から夜にかけては温度が下がると予想しており、そこでは温度が下がった状態でドライバーも力を発揮できるようになる重要な時間だと考えている。
――決勝レースだが、勝てるチャンスがあるか?
ラインケ氏:もちろんだ、そのためにわれわれはここにいるのだから(笑)。現実的に考えれば、もちろん競合も非常に強いが、われわれとしては自分たちのパッケージをさらに高める努力を行ない、表彰台を獲得し、できれば1番高いところに登りたい。