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近藤真彦監督が「ニュル24時間レース」参戦車の「GT-R」を富士スピードウェイで走らせた「NISMO FESTIVAL 2018」
日産 フォーミュラEマシンや「リーフ NISMO RC」がランデブー走行
2018年12月5日 00:00
- 2018年12月2日 開催
12月2日、富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)において「NISMO FESTIVAL at FUJI SPEEDWAY 2018 Supported by MOTUL」が開催された。同イベントは日産自動車とNISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)が、シーズン終了後にレース活動を応援してくれたファンへの感謝を込めて実施するもの。21回目となる今回は雲の多い天候での開催となったものの、3万1500人ものファンが詰めかけた。
イベント開始を告げる恒例のオープニングセレモニーには、日産系チームの総監督を務める田中利和氏をはじめチーム監督、各カテゴリーで活躍中のドライバー、レジェンドドライバーらが集合した。
ドライバーを代表してマイクを握った松田次生選手は、自身が参戦するSUPER GTについて「今シーズン2戦目までは元気なGT-Rを見せることができたが、その後はあまりいい成績を上げられず、ファンの皆さんに申し訳ない結果になってしまった」と振り返りつつも、「この悔しさは全員、もちろんファンの皆さんを含めてドライバー、チームみな同じ気持ちなので、来シーズンは何とかチャンピオンを奪還してこの場に戻ってこれるように頑張りたいと思う」と決意を語った。
続けて挨拶を行なった田中利和総監督はイベントに来場したファンへの感謝を述べた後、「今年は皆さんの期待に沿うような戦いができず、大変申し訳なく思っています。このシーズンオフはその悔しさをバネに、ニスモの開発陣、そしてチーム一丸となって来シーズン再びチャンピオンシップの戦いに戻れるように頑張っていきますので、変わらぬご声援をお願いいたします」とコメント。
また、2018年は同社の初代社長である難波靖治氏が、ダットサン「富士号」でオーストラリアラリーに挑戦してから60周年の節目に当たると説明。「この節目の年にフォーミュラE シーズン5に新たに参戦を開始します。そのクルマを今回、初めて皆さまにお披露目できることをうれしく思っています。こちらもぜひ、1年間声援を送っていただければと思います」と締めくくった。
スタンドイベントエリア
例年通り、会場直後に最もファンが多く集まるのがこのエリア。そのお目当ては実際のレースで使われたクルマのパーツが手に入る「ガレージセール」、ニスモフェスティバル限定のミニカー販売、NISMOパーツのアウトレット品が並ぶパーツセールなど、レアなアイテムやお買い得品などだ。
2018年はガレージセールの目玉として、詳細不明ながら形状からすると2017年 GT500仕様のテスト車両となった230号車のリアカウルが出品されていた。そのお値段はなんと40万円! このサイズのカーボン製品と考えれば激安だが、一般家庭では置き場所に困りそうなシロモノ。しかし、開場早々に売約済みになったとのこと。車両の外装パーツだけにどうやって持って帰るかも悩みそうなサイズだが、こういった出品物を購入する人はワンボックスカーをレンタルして来場するとか。
物販コーナーのほかには、新型リーフのプロパイロットパーキングが体験できる日産ブース、NISMOやオーテックの車両を展示するコーナー、さらに電動キッズカート体験や横浜F・マリノスの遊具が並ぶキッズパーク、コックピットライドなどが用意され、ファミリーにも楽しめるエリアとなっていた。
パドックイベントエリア
メインストレートを挟んでスタンドエリアの反対側にあるのがパドックイベントエリア。ピットビルとパドックを中心としたこの場所は、歴代のレース参戦車両の展示や、パーツメーカーやチューニングショップなどのブースが並ぶ。
車両を展示するピットでは、SUPER GTの参戦車両をはじめとした現役マシンのほか、日ごろは写真や映像などでしか見ることができない歴史的名車などを間近でチェック可能。その上、デモランで走行する車両ならメンテナンス風景やエンジン音まで体感できるとあって、終日多くのファンで混雑していた。
レーシングイベントエリア
こちらは文字どおりコースを使ったイベントを行なうエリア。広い富士スピードウェイのどこからでも楽しめるプログラムだ。
当日はNISMO車オーナーによるパレードランに始まり、Z33&Z34による「Z-Challenge エキシビションレース」、貴重なヒストリックカーによるデモランやエキシビションレース、そして最後にはSUPER GTやスーパー耐久シリーズなど今季のレースを戦った車両による「NISMO GP」も開催された。
同時に、参加型のイベントとなるレーシングカー同乗走行や大型バスの車内からレーシングカーが走行するシーンを間近に見ることができるサーキットサファリも実施。こちらはヒストリックカーデモランと合わせて行なわれたこともあって、なかなかレアな体験になったはずだ。
今回のニスモフェスティバルにおいて大きな目玉の1つとなっていたのが、12月15日にシーズン5の開幕を控えたフォーミュラEマシンのデモラン。こちらは関連記事の「日産のフォーミュラEマシン、富士スピードウェイで走行シーンを日本初公開」で詳しく紹介しているので参照していただきたい。
フィナーレ
ニスモフェスティバルのトリに実施されるフィナーレは、NISMO GP終了後にグランドスタンド前で行なわれた。レースに参加したマシンが並ぶ中、当日参加した監督やドライバーたちが勢ぞろいしてファンにお別れの挨拶を行なうとともに、スーパー耐久シリーズのST-Xクラスでシリーズチャンピオンを獲得した「GTNET MOTOR SPORT」の星野一樹選手、浜野彰彦選手、藤波清斗選手に花束が贈呈された。
これで終わりかと思いきや、サプライズで登場したのがニュルブルクリンク24時間耐久レース 2019に参戦する「NISSAN GT-R NISMO GT3 2018年モデル」。チームオーナーでもある近藤真彦監督が、「昨日シェイクダウンしたばかり」というマシンを自らドライブし、フィナーレまで残った多くの観客に新たな挑戦をアピールした。詳細は関連記事「2019年のニュル24時間に参戦する日産、近藤真彦監督『3年以内の優勝を目指す』」を参照していただきたい。
最後にニッサン・モータースポーツ・インターナショナル 代表取締役社長 兼 最高経営責任者(CEO)の片桐隆夫氏が登壇して挨拶を行なった。
まずはこの12月に開幕するフォーミュラEに触れ、「日産自動車が電動化と知能化でリードしようという戦略の下、モータースポーツに関しても電動モータースポーツの最高峰でありますフォーミュラEチャンピオンシップに挑戦することになりました」と説明。「e.damsチームとのパートナーシップの下、4名のドライバー、すべての関係者、日産自動車とNISMOのエンジニアリングの英知を結集しまして、総合力で激戦のレースに挑戦したいと思います」と抱負を語った。
SUPER GTに関しては「われわれも進化したつもりでありましたが、ライバルの進化のほうがはるかに勝っていた」と振り返るとともに、時間が限られているものの聖域を設けず「クルマ、タイヤといったハード面のみならず、戦略といったソフト面も含めてすべてを見直す」と語り、雪辱を果たしたいと述べた。
また、レース活動以外にも「NISMOブランドのロードカーを次々に出していく」とするともに、R32、R33、R34の各GT-R用ヘリテージ部品開発、NISMOドライビングアカデミーなどのソフト面を充実させることにより、「NISMOブランドを少しでも魅力あるものにして、日産ブランドを元気あるブランドにしていきたい」と締めくくった。