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20回目の節目として「GT-R」をフィーチャーした「NISMO FESTIVAL at FUJI SPEEDWAY 2017」レポート
2017年11月30日 00:00
- 2017年11月26日 開催
富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で11月26日、「20th NISMO FESTIVAL at FUJI SPEEDWAY 2017」が開催された。当日は天候にも恵まれ澄みきった青空のもと、2万8000人が“ニスモ漬け”の1日を楽しんだ。
ニスモフェスティバルは“お客様感謝デー”として1997年に第1回を開催。NISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)の本社が大森(東京都品川区)から鶴見(神奈川県横浜市)に移転するタイミングを控えた2012年を除き、例年11月末から12月初旬に実施され、レースシーズンを締めくくる風物詩として定着している。今年は20回目の節目となることもあり、日産自動車のフラグシップスポーツカーとなる「GT-R」をフィーチャー。例年どおりコースを「レーシングイベントエリア」、グランドスタンド裏を「スタンドイベントエリア」、ピットビル周辺を「パドックイベントエリア」に分け、多彩なイベントや展示が行なわれた。
イベントの開催を告げるオープニングセレモニーには、日産系チームの総監督を務める田中利和氏をはじめ、日産系のドライバーやチーム監督、アンバサダーが集合。さらにゲストドライバーとして高橋国光氏、土屋圭市氏、エリック・コマス氏、萩原修氏が加わったほか、一部ドライバーは往年のレーシングスーツを着用して登壇するなど、例年以上に豪華なメンバーでの開催となった。
ドライバーを代表してマイクを握った松田次生選手は、今シーズンのSUPER GTについて「去年の最終戦からトンネルに入ってしまって苦しい時期が続いた」と前置きしつつ、チーム、ドライバーのみんなが一所懸命頑張って、最終戦で優勝することができたと報告。2018年はチャンピオンの報告ができるよう頑張っていくとコメントした。
続いて挨拶を行なった田中総監督は、SUPER GT最終戦のツインリンクもてぎとニスモフェスティバルの両方で好天になるよう、気象神社(東京都杉並区)で願掛けし、それがズバリ的中したとの裏話を披露。SUPER GTでは、まずGT500クラスについて「岡山の悲劇から始まって、だんだんとキャッチアップをして、最終戦でようやくガチンコ勝負のなかで優勝できました」と願掛けの成果を語るとともに、「来年は必ずチャンピオンを取り返さなければいけないので、シーズンオフにしっかり準備をして、開幕戦から4台がいいスタートを切れるように開発陣ともども頑張っていきたい」とコメント。同様にGT300クラス、スーパー耐久シリーズについても「来シーズンも皆さんにわくわくドキドキして貰えるようなレースを、ここにいるみんなでお見せしたいと思う」と、来シーズンへ向けての抱負を述べた。
スタンドイベントエリア
会場直後から多くの人であふれるのがこのスタンドイベントエリア。というのも、実際のレースで使われたパーツなどが手に入る「ガレージセール」や、当日限定のミニカーを販売する物販スペースなど、ここでしか買えないレアなアイテムを販売するコーナーがあるため。実際、ガレージセールではサイン入りのボンネットなどの大物が真っ先に売り切れるなど、目ぼしいものはあっという間に完売してしまったほど。
遊具を揃えた「キッズパーク」のほか、レーシングカーの運転席に座って写真を撮ることができるコーナー、電動カートを体験できるコーナーなど、ファミリー向けのコンテンツも充実していた。
パドックイベントエリア
ピットビルの1階では、歴代GT-Rを中心に、現役マシンやヒストリックカーなどさまざまなカテゴリーのレーシングカーを展示。ピット内で間近にクルマを見られることに加え、走行の合間にはメンテナンスシーンも見ることができるとあって、常に多くの来場者でにぎわっていた。
また、ピットビル前のパドックには多くのメーカーやスポンサーによるブースが並んでいたほか、「日産パフォーマンスカー」のサポートを行なう「NISMO HERITAGE」の特設ブースも開設された。
このNISMO HERITAGEはニスモフェスティバルの直前に発表されたもので、NISMOと日産、オーテックジャパン内にあるNISMO Carsディビジョン、サプライヤーが共同して、製造廃止となった専用補修部品の復刻生産を検討。ユーザーが日産パフォーマンスカーに長く乗り続けられるようサポートしていこうという新たな取り組み。第1弾となる「R32型 スカイライン GT-R」の復刻生産パーツは、大森ファクトリーが中心となって走行や車検に必要なパーツをリストアップ。ブース内では12月から販売を開始するパーツをはじめ、再生産を検討中のパーツが展示されていた。
レーシングイベントエリア
コース上では現役のレーシングカーによるエキシビションレースをはじめ、デモンストレーション走行など、サーキットならではの迫力が味わえるプログラムが実施された。
GT500をはじめとした現役レースカーによる本気バトル「NISMO GP 2017」のほか、個人オーナー所有のNISMOコンプリートカー&ロードカーによる「NISMO CARS PARADE RUN」からはじまり、助手席での「レーシングカー同乗走行」、観光バスを使った「サーキットサファリ」、ユーザー参加によるZ33/34型やヒストリックカーによるエキシビションレースなどが実施された。
今回、イベントのトリとなったのは歴代GT-Rによる「RACING GT-R HERITAGE RUN」。「ハコスカ」や実戦投入されなかった幻の「ケンメリ」、R32、R33、R34、R35、そしてSUPER GT最終戦を制した「MOTUL AUTECH GT-R」まで、16台のGT-Rと当時のレーシングスーツに身を包んだドライバーが登場。現役時代さながらのスピードで富士スピードウェイを駆け抜けると、グランドスタンドに集まった多くファンから大歓声が上がった。
フィナーレ
ニスモフェスティバルの終了を告げるフィナーレでは、グランドスタンド前にRACING GT-R HERITAGE RUNで走行した車両が並べられ、ドライバー、監督陣が勢ぞろい。B-Max NDDP F3で全日本F3選手権を制した高星明誠選手、ゲストドライバーとして招かれた4選手への花束贈呈が行なわれた。
最後に登壇したニッサン・モータースポーツ・インターナショナル 代表取締役社長 兼 最高経営責任者(CEO)の片桐隆夫氏は、挨拶の後に今シーズンを振り返り「とにかくマシンの競争力確保に非常に苦しんだ」「苦しむ過程で来年以降につながる力を再確認できた」とコメント。具体的にはGT500クラスの場合、シーズン当初は競争力が他社に比べると劣っていたものの、チームスタッフやドライバーといった関係者の努力により着実にポイントを稼ぎ、GT-R陣営において合計4回の表彰台を獲得し、23号車は最終戦までチャンピオン争いをするまでに至ったと説明。そういった状況のなか、「来年につながる結果を出すことができたのも、日産応援団と皆さんの熱い応援があったからです」と述べるとともに、「来シーズンはこのくやしさを糧に、必ずやこの場で皆さんと喜びを分かち合いたいと思います」と必勝を誓った。
また、2018年12月から参戦するフォーミュラE選手権に向けて「ニスモ、日産挙げて頑張ってまいります」と述べるとともに、「ニスモのDNAを皆さんにお届けするため」ニスモのロードカーを次々に送り出していくと約束。最後に「日産モータースポーツの輝かしい歴史と伝統を守り、将来につなげてまいりたいと思います。そのために懸命に頑張ります。ぜひ来年も応援をよろしくお願いいたします」と、フィナーレを締めくくった。