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生誕50周年のGT-R99台、フェアレディZ71台が集結した「ニスモフェスティバル 2019」レポート
2019年12月12日 13:19
- 2019年12月8日 開催
12月8日に富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で「NISMO FESTIVAL at FUJI SPEEDWAY 2019」が開催された。22回目となる当日は終日好天に恵まれ、約2万8000人のファンがサーキットで実施されるいろいろなイベントを楽しんだ。2019年はGT-RとフェアレディZが生誕50周年を迎えたことから、この2車種をフィーチャー。レースコースの「レーシングイベントエリア」、グランドスタンド裏を「スタンドイベントエリア」、ピットビル周辺を「パドックイベントエリア」に分け、楽しめるイベントや展示、エキシビションレースなどが催された。
サーキットを埋め尽くす日産車
今回、走行および展示された車両は、GT-Rのレースカーが34台、GT-Rの市販車/市販車ベース車が57台、スカイラインのレースカーと市販車が8台、フェアレディZのレースカーが10台、フェアレディZの市販車/市販車ベース車が61台、そのほか103台の合計273台。イベントの開催を告げるオープニングセレモニーは、冒頭ではなく「ウェルカムセレモニー」として、多くの人が参加しやすいお昼前の11時30分から行なわれた。午前中は毎年恒例となっているユーザー参加型のパレードラン(今年はNISMOロードカーはもちろん、歴代のGT-RとフェアレディZが特別参加した)や、日産ヒストリックカーによる「NISSAN ヒストリックカー エキシビションレース」、ユーザー参加の「Z-Challenge エキシビションレース」、「タイムアタックエキシビション」が行なわれた。
トップドライバーが登場したウェルカムセレモニー
昼直前からコース上にて行なわれたウェルカムセレモニーでは、SUPER GTのGT500クラスとニュルブルクリンク24時間耐久レースのドライバーたちがグランドスタンド上から登場するという演出があり、NISMO 松田次生選手、ロニー・クインタレッリ選手、NDDP RACING with B-MAX 平手晃平選手、TEAM IMPUL 佐々木大樹選手、ジェームス・ロシター選手、KONDO Racing 近藤真彦監督、高星明誠選手、ヤン・マーデンボロー選手、NISMOアンバサダー ミハエル・クルム氏、NISMO開発ドライバー 藤井誠暢選手が登場した。
コース上には、NISMO 松村基宏総監督、NISMO 鈴木豊監督、TEAM IMPUL 星野一義監督、NDDP RACING with B-MAX 田中利和監督、NISMO名誉顧問 長谷見昌弘氏、レジェンドドライバー 柳田春人氏、和田孝夫氏、鈴木利男氏、NISMOアンバサダー 柿本邦彦氏、柳田真考氏、NISMOエグゼクティブアドバイザー 本山哲氏などの関係者やドライバー、レースクイーンが一堂に並んだ。
ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル代表取締役兼最高執行責任者で、NISMO総監督の松村基宏氏が登壇して「2019年は大変苦しい戦いでしたが、熱い応援をありがとうございました。前半ちょっと飛ばしすぎで息切れし、後半はなかなか苦戦しました。2019年の内容を反省し、来シーズンはドライバーとエンジニア、チームが一丸となり、もっと強いクルマに仕立てあげている最中です。ぜひ期待してください。また、2019年はGT-RとフェアレディZが生誕50周年を迎えました。われわれでカウントしてみたところ、R35 GT-Rがデビューして以来、GT500とGT300合わせて51勝することができています。ハコスカが打ち立てた栄光の50勝を少し超えたところまでたどり着きました。今後も応援よろしくお願いしたします」とあいさつ。
続けてNISMO 松田次生選手が登壇。「今年はなんとか、SUPER GT GT500クラスで年間3位に入り、レクサス勢に食らいつくことはできましたけど、やはり欲しいのはチャンピオンです。今年はスカイラインが50周年ということで、GT-R NISMOを購入しました。ちょっと貯金は苦しくなりましたが、本当によいクルマです。来年は、もっとよい結果を目指して頑張りますので、応援よろしくお願いしたします」とドライバー代表として会場を沸かした。
ウェルカムセレモニーから続けてすぐに、GT-RとフェアレディZの生誕50周年を記念した「NISSAN モータースポーツ ヘリテイジラン」がスタート。また、ゴールした後はコース上でドライバーへのインタビューが行なわれた。その後もレーシングカーの同乗走行や、レースカーが走るコースを観光バスで併走して見学する「サーキットサファリ」、グリッドウォークも行なわれていて大盛況だった。
パドックイベントエリア
ピットビルの1階では、ヒストリックカーから現役マシン、レースマシンが多数展示されていて、走行のためのピット作業も見ることができるようになっていた。多くの人が、エンジンの暖気や空ぶかしの爆音や、ピットクルーの鍛錬されたメンテナンス作業が始まると足をとめて見惚れていた。また、ピットビル付近には、ショップのテントも多数並んでいて、多くの人が行き交うエリアともなっていた。ここで、展示されていた車両を紹介しておこう。
大盛り上がりの「NISMO GP 2019」
レーシングイベントエリアの大トリは、SUPER GTやスーパー耐久シリーズで活躍する現役レースカーが走る「NISMO GP 2019」。12周で争われ、クラスごとにピットストップの決められている本格的なレースだ。その結果は、ロニー・クインタレッリ選手がドライブするカーナンバー23の「MOTUL AUTECH GT-R」が優勝した。このレースのトップスピードを叩き出し追い上げて2位に入ったヤン・マーデンボロー選手が乗る「REALIZE Corporation ADVAN GT-R」は、ピットロードの走行速度が速すぎた(なんと115km/hでピットアウト!)ことから「何か私物をファンにプレゼントする」という来場者を喜ばせるペナルティが課せられた。3位には本山氏のドライブするカーナンバー3「CRAFTSPORTS MOTUL GT-R」が入り1~3位をGT-Rが独占する結果となった。また、GT300クラスでトップを走っていたカーナンバー11「GAINER TANAX GT-R」の平中克幸選手は、ラストラップ11周目にスローダウン。どうやらガス欠のようで、チェッカーフラッグを受けられないというハプニングもあった。
最後のフィナーレでは、スーパー耐久 ST-Xクラスでシリーズチャンピオンとなり2連覇を果たし、富士SUPER TEC 24時間レースでも2連覇した「GTNET GT3 GT-R」と、ニュルブルクリンク24時間耐久レースに初参戦、見事完走し総合9位となったKONDO RACINGの功績をたたえ、花束の贈呈が行なわれた。
来シーズンに向けての決意表明で閉幕
最後にニッサン・モータースポーツ・インターナショナル表取締役社長兼最高経営責任者の片桐隆夫氏が2019年を振り返り「SUPER GTのGT500で雪辱を果たすことができませんでした。優勝1回を含む、延べ6回の表彰台、3回のポールポジション、昨年や一昨年からは改善しましたが、不本意な成績に終わってしまいました。“来年こそは!”と強い気持ちをもって、新しい戦略と体制で臨みます。また、新エンジンを含む新しいマシンの開発に鋭意取り組んでいます。そしてSUPER GTの前身にあたる1994年からのJGTCを含めて、GT-Rが累計で99勝を挙げました。来年は100勝を皮切りによい成績を残し、ここで喜びを分かち合いたい。なんとか来年は雪辱を果たしたいと思いますので、応援をよろしくお願いしたします」と、報告と今後について力説。
さらに「日産自動車ではいろいろな問題が起き、皆さまにご心配とご迷惑をおかけしました。新体制になり再スタートを切っています。日産を元気にするために、モータースポーツでよい走りを見せるということに徹していきたいと考えています。加えて、より魅力的なクルマを開発し、期待に添って日産ブランドの再構築をしていきたいと思います。新しいロードカーを現在鋭意開発中です。もうしばらくお待ちください」と今後に期待が膨らむメッセージとともにイベントを締めくくった。