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日産とニスモ、2020年のモータースポーツ活動について発表した「モータースポーツファンイベント」レポート
2020年仕様の23号車「MOTUL AUTECH GT-R」を初公開
2020年2月17日 08:22
- 2020年2月16日 開催
日産自動車とNISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)は2月16日、神奈川県横浜市にある日産グローバル本社ギャラリーで「日産モータースポーツファンイベント」を開催した。
日産&NISMOは、1月に行なわれた「東京オートサロン 2020」の会場で2020年シーズンのSUPER GT GT500クラスの参戦体制をすでに発表しているが、今回はこれに加え、SUPER GTのGT300クラスやスーパー耐久シリーズ、インターコンチネンタルGTチャレンジ、ニュルブルクリンク24時間レースといった国内外のレース活動の参戦計画について発表した。
ステージイベントでは最初に、ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル 代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)片桐隆夫氏が登壇。SUPER GTと100%EV(電気自動車)のフォーミュラカーによるレース「FIA フォーミュラE選手権」を2本柱とする2020年のモータースポーツ活動について解説し、2020年シーズン仕様のカラーリングが施されたGT500マシン「MOTUL AUTECH GT-R」を初公開した。
2019年に続いて参戦2年目となるフォーミュラEでは、これまで同様にフォーミュラE最多勝利ドライバーであるセバスチャン・ブエミ選手、フォーミュラEの2018/2019シーズンのルーキーオブザイヤーに輝いたオリバー・ローランド選手を起用。また、リザーブ兼テストドライバーの高星明誠選手、シミュレータードライバーのヤン・マーデンボロー選手も変わらずチームと行動を共にする。監督は2019年8月に逝去したe.dams 共同創設者およびチーム監督であるジャンポール・ドリオ氏に代わり、同氏の息子であるオリビエ・ドリオ氏とグレゴリー・ドリオ氏が務める。
2019/2020シーズンとなるシーズン6は、メルセデス・ベンツ、ポルシェも加入して12チーム・24台での争いとなっており、2019年11月から新シーズンがスタート。22号車と23号車を参戦させている「日産e.dams」ではマシンのパワートレーンとボディのカラーリングを一新。すでに4レースが終了し、開幕戦、第2戦と続けてポイントを獲得し、第3戦でもファステストラップを記録するなど安定した速さを見せており、イベント前日にメキシコで行なわれた第4戦でもブエミ選手が3位表彰台を獲得したことが紹介された。
SUPER GTのGT500クラスの参戦体制についても会場に集まったファンに向けて改めて発表。壇上でお披露目したNISMOの23号車 MOTUL AUTECH GT-Rの他、NDDP RACING with B-MAXの3号車「CRAFTSPORTS MOTUL GT-R」、TEAM IMPULの12号車「カルソニック IMPUL GT-R」、KONDO RACINGの24号車「リアライズ コーポレーション ADVAN GT-R」といった「NISSAN GT-R NISMO GT500」4台体制でタイトル奪還に挑む。
23号車と24号車のドライバーラインアップは2019年シーズンと変わらず、23号車は松田次生選手とロニー・クインタレッリ選手、24号車は高星明誠選手とヤン・マーデンボロー選手を起用する。
3号車はフレデリック・マコヴィッキ選手に代わり、千代勝正選手が平手晃平選手とコンビを組む。12号車はジェームス・ロシター選手に代わり、平峰一貴選手が佐々木大樹選手とコンビを組む。
また、GT500クラス全体を統括する日産系チーム総監督をNISMO COO(最高執行責任者)である松村基宏氏が務め、NISMO エグゼクティブアドバイザーである本山哲氏がNDDP RACING with B-MAXの監督補佐に就任。同じくNISMO エグゼクティブアドバイザーのミハエル・クルム氏は、GT500クラスに参戦する8選手のコーチングとサポートを行なう。このほか、柿元邦彦氏が引き続きNISMOアンバサダーを務める。
技術支援を行なうカスタマーレーシングプログラムでは、FIA GT3車両「NISSAN GT-R NISMO GT3」を使ってSUPER GT GT300クラスやスーパー耐久シリーズ、ニュルブルクリンク24時間レースに参戦するチームをサポート。
SUPER GT GT300クラスではGAINER、KONDO RACINGの2チームをGT3オフィシャルパートナーチームと位置付け、このほかNILZZ Racing、TOMEI SPORTの4チーム5台体制で参戦する。
片桐氏は最後に「今シーズンは新型GT-R NISMO GT500がデビューします。今年こそシリーズチャンピオンを奪還するため、開幕に向けて最大限の開発を進めております。今シーズンもチーム全員の情熱とファンの皆さまの熱い応援を力に変え、参戦、サポートのあらゆる選手権で熱い戦いをお見せしてまいりたいと思います。全力で取り組んでまいりますので、引き続き皆さまのご支援、応援をよろしくお願いいたします」と締めくくった。
SUPER GT GT500クラス 選手&監督トークショー
片桐氏によるモータースポーツ活動発表に続き、SUPER GT GT500クラスに参戦する4チームの選手と監督によるトークショーも行なわれた。
3号車 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rで参戦するNDDP RACING with B-MAXでは、まず新加入した千代勝正選手と平手晃平選手の仲について司会から質問。平手選手は「まだ日が浅く、以前から知ってはいたが、話す機会もそれほどなくて。ただ、同じ年の生まれなので、これから仲よくなっていこうかな、と」とコメント。千代選手は「同世代だと最近知って、歳は近いんですが、キャリアで言うとめちゃめちゃ先輩です(平手選手は16歳からフォーミュラマシンに乗っているが、自身は同じころにカートを始めたと解説)。世代はいっしょでも同じカテゴリーになったことがなくて、大先輩だと思っていたのでずっと敬語です。いつタメ語にしようかな、と」と回答した。
周辺から今シーズンの体制が「イケメンコンビ」と呼ばれていることについて、田中利和監督は「僕には敵わないけどね」と冗談を交えつつ、「先週もテストに向けてミーティングをしたんですが、2人とも笑顔がいいんで、チームのスタッフもみんな笑顔になりますよね。(会場に来ている)皆さんも笑顔になるでしょ?」と語った。このほか、平手選手がゲーム好きであること、千代選手がミュージシャンである父親の影響で、昔はドラマーだったことなどのエピソードが明かされている。
12号車 カルソニック IMPUL GT-Rで参戦するTEAM IMPULでは、新加入の平峰一貴選手について星野一義監督が「絶対女性受けする顔だよ。今年はファンが増えるんじゃないかな」とまずコメント。その平峰選手は先日マレーシア セパンで行なわれたテストについて「監督から『ガンガン行け!』って言われていたので、1周も気を抜かずに攻め抜きました。(開幕については)めちゃくちゃ楽しみです。プレッシャーは毎年受けているものなので、それを受け止めて、楽しみに変えて、ファンの皆さんにも応援していただいているので、走るのが楽しみです」と回答。
星野監督の印象については「TVで見た印象では怖いなぁと思っていたんですが、現場に行くと……(星野監督が隣で『優しい』と発言)優しいです! 一番思ったのは、いろいろと、例えばだめなところとかを叱っていただいて、その言葉に重みがあるし、なにより愛情がある。それがうれしいです」と語った。
佐々木大樹選手は平峰選手と自身について「平峰選手は本当に昔から天才で、僕は努力で打ち勝つしかないので、ずっとそんな関係で戦ってきました。今年はもっと努力して、平峰選手に負けないよう切磋琢磨して、チームも速くなって、みんなで楽しくレースをできたらなと思っています。今年は日産さんもすごく力を入れてクルマの仕上がりもいいので開幕が楽しみです」とコメント。
佐々木選手は慶應義塾大学の在学中にSUPER GTに参戦して学業とレースを両立させたことでも知られており、これについては「僕は頭がよかったわけじゃなくて、とにかく勉強していたんです。でも、どうやって効率よく勉強したり、どのタイミングで何をするかを考えて、これはレースもまったくいっしょで、どんなセットが速いのか、どう走ったら速くなるのかと考えることがすごく重要。考えるだけじゃだめなんですが、スケジューリングするという意味で、勉強していたことが生きている部分があります」と語っている。
星野監督はドライバーラインアップの変更について、「お互いにタイプが違う。例えば野球でも、全員4番バッターを揃えてもだめで、1番とか4番とか、いろいろな選手がいないと。その意味では、ちょっと個性が違うよね。そこを上手く使うのが監督だから、任せておいてくれ」と両選手に語りかけた。
23号車 MOTUL AUTECH GT-Rで参戦するNISMOの3人は、長年に渡って同じチームでSUPER GTに参戦しており、とくに松田次生選手とロニー・クインタレッリ選手の2人はNISMO以前のチームでもコンビを組んでいた仲。松田選手は「奥さんと同じぐらい長い付き合い」と語り、言葉を交わさなくても何を考えているかだいたい分かるとコメント。クインタレッリ選手もマシンセッティングからレース以外の好みまで知り尽くしているので非常にやりやすいと答えている。
また、S54A型のプリンス・スカイラインを松田選手が最近手に入れたこと、2月に入ると両選手はお酒を飲まないようにしていることなどのエピソードが紹介された。
24号車 リアライズ コーポレーション ADVAN GT-Rで参戦するKONDO RACINGからは高星明誠選手と近藤真彦監督の2人が登場。近藤監督は体調不良でイベントを欠席したヤン・マーデンボロー選手について、「ちょっと前にマレーシアでずっとテストをしていて、ヤンは思うようなドライビングができないと、真面目なんで悩んじゃうんですよね。なので、彼を呼んで『まだ始まったばかりなんだから悩むな。今日起きたことは忘れて、明日スイッチを切り替えて気持ちを入れ替えなさい』と言わないと、悩んで眠れそうにないほど悩んじゃうんです。でも、言えばちゃんと分かって、次の日はバツッといいテストができたりする。結構神経質です」と評価。
また、高星選手については「今どきの子はこんな感じなのかなという。ヤンは悩んじゃう方ですが、高星は自分で切り替えが早い方だと思って、例えば予選がだめでも、じゃあ明日の作戦でどうしようかと切り替えられるので、さっぱりしている感じです」とコメント。
高星選手は近藤監督の評価について「さすがに1秒とか遅いとなると悩んじゃいますけど、そんなことはめったにない。(結果がわるかった時は)次のことを考えて、なるべくポイントを取れるようにしなきゃいけないというのがAドライバーで、クルマも作っていかなきゃならないし、チームを引っぱっていかなきゃならない。そのようにしようとは思っています」と回答した。
また、トークショーの最後に日産系チーム総監督である松村基宏氏からもコメントがあり「2名の新しいドライバーを加えて、日産全チームで復活を目指して全力で頑張ってまいるつもりでおります。各チームはもちろんライバルですが、チーム同士の力を合わせて4+4ぐらい稼いでいけるように頑張りたいと思いますので、応援をよろしくお願いいたします」とあいさつした。
このほかにも当日は、会場内でファンサービスとして、レースマシンの乗車体験やタイヤ交換体験などを実施する「NISSAN MECHANIC CHALLENGE特別体験コーナー」、SUPER GT公式レースゲーム「SEGA World Drivers Championship」試遊コーナーなども用意されていた。