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日産とNISMO、「2019年 日産モータースポーツ活動計画発表会」。平手選手やロシター選手が新加入

「全員でチャンピオンを勝ち取る」と松田次生選手

2019年2月9日 開催

2019年の日産&NISMOレース活動について説明するニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社 代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)片桐隆夫氏

 日産自動車とNISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)は2月9日、2019年シーズンのモータースポーツ活動について発表。同日に神奈川県横浜市にある日産グローバル本社 ギャラリー内 日産ホールで「2019年 日産モータースポーツ活動計画発表会」を開催した。

 このイベントは事前にインターネットなどを通じて開催告知が行なわれ、当日は会場となった日産ホールの収容人数を上まわるファンが来場。入場制限が行なわれ、入りきれなかったファンが会場外で待機するほどの盛況となった。

2019年 日産モータースポーツ活動計画発表会(4時間46分36秒)

 日産&NISMOが2019年に主に取り組むレースは、「FIAフォーミュラE選手権」「SUPER GT GT500クラス」の2種類で、このほかにもカスタマーレーシングプログラムとして「インターコンチネンタルGTチャレンジ」「ニュルブルクリンク24時間レース」「SUPER GT GT300クラス」「スーパー耐久シリーズ」に取り組む。

 さらにグラスルーツ支援とその他の活動では、スーパー耐久シリーズのST-3クラスの参戦チームに技術支援を行ない、全日本ラリー選手権などのユーザーを支援。カナダで行なわれている「マイクラ(日本名:マーチ)」によるワンメイクレース「マイクラカップ」も引き続き支援していく。また、モータースポーツとロードカーユーザーをつなぐ活動として、2018年に引き続いて「ニスモドライビングアカデミー」を全16回の予定で実施する。

 これらに加え、1997年からこれまで21回に渡って行なわれているファン感謝イベント「NISMO FESTIVAL」を、2019年も12月8日に富士スピードウェイで開催することが明らかにされた。

 4月13日~4日の岡山国際サーキットでシーズン開幕を迎えるSUPER GTのGT500クラスでは、2015年を最後にシーズンチャンピオン獲得から遠のき、レクサス(トヨタ自動車)や本田技研工業といったライバルに水をあけられていることを受け、参戦体制について「ハード面とソフト面の両方で根本的な見直しに取り組んだ」とする。日産系チーム総監督にNISMO 最高執行責任者である松村基宏氏が就任。2018年まで総監督を務めた田中利和氏は、長谷見昌弘氏の後任として「NDDP RACING with B-MAX」の監督に就任し、長谷見氏はNISMO 名誉顧問となっている。

2019年の日産 SUPER GT参戦体制はドライバーラインアップを大きく変更

 参戦チームは2018年と同じく「NISMO」「NDDP RACING with B-MAX」「TEAM IMPUL」「KONDO RACING」の4チームだが、チーム体制を不動としたNISMO以外の3チームでは、ドライバーラインアップを大きく一新。NDDP RACING with B-MAXは、2018年は「apr」の「TOYOTA PRIUS apr GT」に乗ってGT300クラスに参戦した平手晃平選手と、2013年~2014年にホンダ系チームの「ウイダー モデューロ 童夢 レーシング」からSUPER GTに参戦していたフレデリック・マコヴィッキ選手を起用。

 TEAM IMPULは2018年から引き続きとなる佐々木大樹選手と、2018年にTOM'SやWAKO'Sなどのレクサス系チームでSUPER GTに参戦したジェームス・ロシター選手がパートナーを組む。KONDO RACINGは2018年から引き続きとなる高星明誠選手と、2018年はTEAM IMPULで佐々木選手のパートナーを務めていたヤン・マーデンボロー選手が移籍してタッグを組むことになった。

 参戦車両には引き続き「GT-R NISMO GT500」を使用。2019年型では「空力性能バランスの改善」「重量配分の見直し」「エンジン出力向上とパワーカーブの最適化」を図っているとのこと。

カーNo.チーム監督ドライバー車両名タイヤメーカー
23NISMO鈴木豊松田次生/ロニー・クインタレッリMOTUL AUTECH GT-Rミシュラン
3NDDP RACING with B-MAX田中利和平手晃平/フレデリック・マコヴィッキCRAFTSPORTS MOTUL GT-Rミシュラン
12TEAM IMPUL星野一義佐々木大樹/ジェームス・ロシターカルソニック IMPUL GT-Rブリヂストン
24KONDO RACING近藤真彦高星明誠/ヤン・マーデンボローTBA横浜ゴム
2019年のSUPER GT GT500クラスの監督&ドライバー
「NISMO」のロニー・クインタレッリ選手、鈴木豊監督、松田次生選手
「NDDP RACING with B-MAX」のフレデリック・マコヴィッキ選手、田中利和監督、平手晃平選手
「TEAM IMPUL」の佐々木大樹選手、星野一義監督、ジェームス・ロシター選手(一番左はKONDO RACINGのヤン・マーデンボロー選手)
日産系チーム総監督に就任したニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社 COO 松村基宏氏
参戦ドライバーを代表して、松田選手が「去年、シーズンが終わってここにいるファンの皆さんも僕たちも本当に悔しいオフシーズンを過ごしてきました。チームだったり開発陣だったり、ここにいる監督やドライバーとみんなが『今年は獲るぞ!』という気持ちでいると思いますので、『全員でチャンピオンを勝ち取る』というテーマを持って頑張っていきたいと思います」と意気込みを語った

 カスタマーレーシングプログラムでは、既存の「KCMG」「GAINER」の2チームに加え、新たに「KONDO RACING」をGT3オフィシャルパートナーチームとして新たに迎えた。KONDO RACINGはすでに発表されているように、6月22日~23日に開催されるニュルブルクリンク24時間レースと、SUPER GTのGT300クラスに参戦。NISMOから「NISSAN GT-R NISMO GT3」が供給される他、技術支援も行なわれる。

 また、KCMGはインターコンチネンタルGTチャレンジに2台のNISSAN GT-R NISMO GT3(2018年モデル)で参戦。GAINERはSUPER GTのGT300クラスに「GAINER TANAX triple a GT-R」「GAINER TANAX GT-R」の2台で参戦する。

カスタマーレーシングプログラムに参戦する監督とドライバー
「KONDO RACING」でニュルブルクリンク24時間レースに参戦する藤井誠暢選手、高星明誠選手、松田次生選手、近藤真彦監督
KONDO RACINGでSUPER GTのGT300クラスに参戦する平峰一貴選手、近藤真彦監督
「KCMG」でインターコンチネンタルGTチャレンジに参戦する千代勝正選手、松田次生選手
「GAINER」でSUPER GTのGT300クラスに参戦する安田裕信選手、平中克幸選手、藤井一三監督、石川京侍選手、星野一樹選手
GT3オフィシャルパートナーチームのスタッフを代表して、近藤監督が「われわれKONDO RACINGは、GT500とGT300、そしてニュルブルクリンクと3台のGT-Rを走らせることになりました。去年、一昨年と“GT-Rらしさ”が見えないレースが続いていたかと思いますが、今年は非常にパワーアップして、後ろに立つメンバーたち、そしてGT500や海外勢も含め、GT-Rの強さをアピールしていきたいと思います」と意気込みを語った

 当日は活動計画発表が行なわれた後、ワークスドライバーとしてのSUPER GT GT500クラス参戦からの引退を表明した本山哲選手の「引退セレモニー」や、参戦各チームのドライバーや監督によるトークショーが行なわれ、日産系チームの結束力や選手同士のパートナーシップ、同じレースで競い合うチームとしてのライバル心などが語られてレース観戦の楽しさをアピールした。

SUPER GTトークショーではフリップ(画用紙)を使って質問に答えるコーナーも実施
「一番好きなコーナーは?」という質問で、星野監督とロシター選手は同じ鈴鹿サーキットのS字コーナーと回答。2人とも亥年(星野監督は1947年生まれ、ロシター選手は1983年生まれ)の年男で気が合うと語ったが、近藤監督から「あのチームは猪突猛進(コースアウト)で完走しないな」と指摘されていた
松田選手の回答は「タイの次生コーナー」。チャン・インターナショナル・サーキットにどうしても苦手で「何かが起きる」コーナーがあり、これを克服したいとの理由からあえて選んだとのこと
マコヴィッキ選手の回答は「SUGOの最終コーナー」、平手選手の回答は「富士の1コーナー」
新加入や移籍などがあった選手に自己紹介や新チームでの意気込みが質問された。また、松田選手とクインタレッリ選手は、鈴木監督も含めて同じ体制で6年目になるという
フォーミュラEトークショーでは、2018年12月からスタートした新シーズンの動画を使いながら新しいレースであるフォーミュラEの特長や見どころなどを紹介。リザーブ兼テストドライバーの高星選手は、市街地コース向けでウェット兼用としてグルーブを持つフォーミュラEのタイヤはスリックタイヤよりグリップ力が低く、見た目の印象よりボディにはダウンフォースが発生していないといったマシンの特長を解説、また、全戦市街地コースで事前テストが不可能なフォーミュラEではシミュレーションによるマシン開発やセッティングなどが非常に大切になっているとマーデンボロー選手が語った
ステージ上で2台のマシンを展示
MOTUL AUTECH GT-R
リーフ NISMO RC