ニュース

日産、フォーミュラEのシーズン6(2019~2020年)体制発表会。“着物から着想を得た”新カラーのマシン公開

横浜に「ニッサン パビリオン」2020年初夏にオープン。新社長の内田氏も登壇

2019年10月22日 開催

新マシンの前に立つ、左からリザーブドライバーの高星明誠選手、日産自動車 日産グローバル・モータースポーツ・ディレクター マイケル・カルカモ氏、ドライバーのセバスチャン・ブエミ選手、ドライバーのオリバー・ローランド選手

 日産自動車は10月22日、EV(電気自動車)によるレース「フォーミュラE」のシーズン6(2019~2020年)参戦体制を日産グローバル本社の日産ホールで発表し、新しいフォーミュラEマシンを公開した。これに合わせ、横浜に“日産が描くモビリティの未来を体感できる”ブランド発信拠点「ニッサン パビリオン」を2020年初夏にオープンすることを発表した。

ニッサンインテリジェントモビリティを推進。ニッサン パビリオンも2020年開設

日産自動車株式会社 副社長 星野朝子氏

 日産自動車 副社長の星野朝子氏は、電動フォーミュラマシンの発表ということで、日産の電動化技術を含む「ニッサン インテリジェント モビリティ」に触れ、「10年前に『リーフ』を投入し、世界中で50万近くのお客さまにお乗りいただいている。リーフを使ったお客さまは、ガソリン車にはもう戻りたくないと言っていて、日産は次のクルマに対する期待を、これまでとは違うよりよい世界へと押し上げた」と述べた。

 また、リーフが災害時に電力供給に活躍していることも紹介し「医療関係、避難所、重要なサービスの提供を助けることができる。国内の震災や東南アジアのモンスーン、アメリカの竜巻でも、電気自動車は緊急時に計り知れない役割を果たします」とした。

「ニッサン インテリジェント モビリティ」は「ニッサン インテリジェント ドライビング」「ニッサン インテリジェント パワー」「ニッサン インテリジェント インテグレーション」の3つの柱で構成

 さらに、「満充電のリーフは43階建てのビルのエレベーターを100回以上往復させることができる」「パワーステーションとして使う企業は多くのリソースとお金を節減できた」と事例を紹介。これらがいずれも「ニッサン インテリジェント モビリティ」だと指摘した。

2020年初夏にオープンする「ニッサン パビリオン」

 続いて、2020年初夏にオープンする「ニッサン パビリオン」を紹介した。日産グローバル本社に近い、横浜市のみなとみらい21中央地区60・61街区の一部に約1万m 2 の敷地を使い、期間限定の開設となる施設。日産の商品や技術の展示を中心に、日産が描くモビリティの未来をインタラクティブに体感できるという。

 星野氏は「開設後、4か月にわたりさまざまなイベントを催して、世界中のお客さまをお迎えする計画です。世界中のお客さまや販売会社に、日産の取り組みを知っていただく千載一遇のチャンス」とした。

フォーミュラEの新カラーリングマシンを公開

日産自動車株式会社 日産グローバル・モータースポーツ・ディレクター マイケル・カルカモ氏

 今回公開されたフォーミュラEのマシンは「着物」をイメージしたカラーリング。赤、黒、白の3色を着物のパターンのように重ね合わせたもので、左右のカラーは非対称。フロントのデザインは着物の襟元を基調にしたもので、日産のレッドとニスモのブラックを示している。

ドライバーの3人。左からオリバー・ローランド選手、セバスチャン・ブエミ選手、リザーブドライバーの高星明誠選手

 昨シーズンとなるシーズン5からカラーを変えた理由は、従来のマシンはシルバーが基調で目立たなかったこと。新しいシーズン6のマシンを製作するにあたり、より力強いマシンにしたいとの思いからこのデザインにしたという。昨シーズンとはまったく異なる見え方にすることで、デザインによってライバルを振り切れる自信があるとのことだ。

 また、メカニズムでは、モーターをシーズン5のデュアルモーターからシーズン6はシングルモーターに変更する。

新シーズンに参戦する日産e.damsのニューマシン
「着物」をイメージしたカラーリングを採用
同じテーマによって新しいカラーリングを施したEVレーシングカー「NISSAN LEAF NISMO RC」も同時に公開
新カラーリングのNISSAN LEAF NISMO RC

新マシンに自信。プレシーズンテストも順調

 場所を日産ギャラリーに移して開催したトークショーでは、日産グローバル・モータースポーツ・ディレクターのカルカモ氏が「シーズン6はまったく新しいシーズン。エネルギーマネジメントソリューションがシーズン6にも活用できる」と、新システムでも戦える自信を示し、10月15日からスペインのバレンシアで行なわれたプレシーズンテストについてもすべてのセッションでトップ10に入り、「3日間、問題ない運転をすることができた」と新マシンに自信を見せた。

トークショーを行なった4人。左からローランド選手、ブエミ選手、カルカモ氏、日産自動車株式会社 専務執行役員 ルー ドゥ・ブリース氏

 また、日産e.damsのドライバーであるセバスチャン・ブエミ選手は、昨シーズン終盤の第12戦で優勝したことに触れ、「勝利できたことで、シーズン6が楽しみ」と抱負を述べ、フォーミュラEの運転については1日ですべてを行なうため、シミュレーターで準備を万全にしてレースに臨むことが大事だとした。

ブエミ選手

 日産e.damsのもう1人のドライバーを務めているオリバー・ローランド選手は、昨シーズンがルーキイヤーということで「あまりテストも受けすにシーズンに入ったが、クルマにもチャンピオンシップにも短時間でなじめて自信もついた」とするものの、「シーズンの終わりは十分に実力を発揮できなかった」と振り返り、シーズン6ではもっといい成績を残すことを約束した。

ローランド選手

新CEOに就任予定の内田誠氏が飛び入り

日産自動車の新しいCEOとして選ばれた内田誠氏があいさつ。右にあるのは2017年の東京モーターショーで展示したコンセプトカー「ニッサン IMx」をリファインした車両

 トークショーの前には、新CEOに内定している内田誠氏が登場し、各国から集まった報道陣の前であいさつした。内田氏はまず「新しい時代に導けることを非常に誇りに思っています」と述べ、「多くの課題に日産は直面しています。私自身は適切な人材がそろっていると信じていまして、お客さまの声に慎重に耳を傾け、私の経験を活かして日産をより強い、よりよい会社にすることが私の仕事だと思って、信頼関係を構築していきたいと思っています」と述べた。

 内田氏は東風汽車有限公司の総裁であることから、「中国事業を統括しているので、モーターショーには参りません」とも話し、新CEO就任に向けて慌ただしくしている一面ものぞかせた。