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Arm、自動運転に向けた取り組みと「Coretex-A76AE」について説明

Cortex-A76AEは自動車のユースケースに特化して設計

2018年12月6日 開催

Arm オートモーティブ・ソリューション&プラットフォーム ディレクター ロバート・デイ氏

 Armは12月6日、自動運転分野における同社の取り組みについて説明する記者説明会を開催した。

 説明を行なったのは、Armのオートモーティブ・ソリューション&プラットフォーム ディレクターのロバート・デイ氏。自動車における自動運転の現状について、「多くのものはまだプロトタイプの段階。Armとしては、プロトタイプを実装段階に進めるにはどうすべきかを考えている」との考えを示した。

 また、自動車業界においてArmが設計したチップはすでに幅広く使われており、デイ氏は「自動車業界のトップ15社が私どものチップを使っている。われわれとしてもイノベーションを進めている分野だ」とする。

 さらにプロトタイプから自動運転の実現に向けては、いくつかのハードルを越えなければならないと指摘した。その1つが消費電力で、「すでにプロトタイプはいくつも存在しているが、消費電力が大きいという問題があり、実装可能なものとは言い難い。ソフトウェアが自律的に運転できるかどうかテストするためのもの」とした上で、「現在のプロトタイプで使われるシステムはキロワットベース。数百ワットベースにまで下げていく必要がある」と話した。

自動運転の各レベルについての説明
自動運転に向け、Armのプロセッサがもたらすベネフィット

 そのほかの課題についても言及した。デイ氏は「現状のプロトタイプのシステムのコストは高価なため、そのままでは実装できない。どうやってパフォーマンスを高めつつコストを削減していくのかを考える必要がある。また、安全性についても、現状は運転手が車内に座っていることを前提としている。(レベル4、レベル5を実現するためには)運転手が存在しないという前提で安全性が組み込まれていなければならない」と解説。

 9月26日に発表した「Cortex-A76AE」についても説明が行なわれた。デイ氏は「Coretex-A76AEは安全性が組み込まれているプロセッサであり、実装までを考えると“ゲームチェンジャー”になるものと考えている。自動車のユースケースに特化した形で設計されており、パフォーマンスが高く消費電力も低減させている」と説明する。

Coretex-A76AEについての説明
Split-Lockの機能についての説明

 安全性を高めるための具体的な仕組みとして挙げられたのは「Split-Lock」機能だ。これはコアのクラスター単位で、ロックステップ(2つのプロセッサコアに同じ処理を行なわせ、その結果が同じであれば処理を実行)と、スプリット(それぞれのコアを個別に利用)のいずれかを選択できるというもの。これにより「1つのSOC上に安全性に関する要求が異なるものを同時に実装できる」とデイ氏は語る。

完全な自動運転に向けたArmの取り組み

 最後にデイ氏は「Armはオートモーティブの革新に対して投資している。また、安全なIPで安全な実装を行なうこと、そして消費電力を削減しつつパフォーマンスを高めることにコミットメントしている。ただ、自動運転は1社だけの努力では実現できない」と話し、自動車業界とのエコシステム構築に取り組む考えを示した。