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国内自動車メーカーのインテリア・カラーデザイナーが集う「JAID」(ジャイド)の「1kg展」1月25日まで開催中
2019年1月15日 17:25
- 2019年1月12日~25日 開催
- 入場料:無料
国内自動車メーカー8社のインテリアデザイナーとカラーデザイナーによって立ち上げられたJAID(Japan Automotive Interior Design)は、GOOD DESIGN MARUNOUCHI(東京都千代田区丸の内)とDIGITAL ARTISAN(東京都目黒区大橋)の2会場で「1kg展」を1月12日~25日に開催している。入場料は無料。
2015年に始まったJAIDの活動は、雑誌の取材がきっかけでスタート。「日本の自動車のインテリアについて語るというもので、4メーカーのデザイナーが集まりました」と振り返るのは、日産自動車 グローバルデザイン本部 第2プロダクトデザイン部 クリエイティブデザインマネージャーの野口懇人氏。「取材はそれなりで終わったのですが、今後こういった集まる機会はめったにないことですし、これで終わるのはもったいない。こういったメンバーで何かできないかと考えました」と話す。
実はその当時、取材中に野口氏は“?”という思いでいっぱいだったという。それはヨーロッパ車の内装は素材使いなどがいかに優れていて、それに対して日本車は決してよいものではないといったニュアンスで司会者が話しており、そこに野口氏は疑問を持ったのだ。そこでほかの参加者にメールをしたところ、その場にいた全員が同じ思いだった。そこで「オールジャパンで何か新しいことができないかという思いに至り、トントン拍子で話が盛り上がって最終的にこの活動が始まったのです」と経緯を語る。
そうはいってもライバル会社のデザイナーなので、当初は距離感もあった。そこから「少しずつ信頼関係を築きながら仲間になり、自然にみんなで一緒に何かをやったら楽しいのではないか、ものづくりを一緒にしてみようということになりました」と述べ、今回の展覧会が決定した。
イベントの名称に使われている「1kg」とは何を指すのか。トヨタ自動車 トヨタコンパクトカーカンパニー デザイン部 第一デザイン室 室長の中嶋孝之氏は、「クルマの素材や材料でよく使われる値段の単位である“kg単価”。その単価をデザイナーのアイデアにより、1kgの樹脂でどれだけ面白いことができるかを、各デザイナーが色々なストーリーを持って作品を作りました。普段はkg単価を1円でも下げるように努力をしているのですが、今回はどれだけkg単価(価値)が上がったかを楽しんでほしいのです」と概要を語る。
同時にこれは時代の流れも関係する。「自動車業界は大きな転換期に来ていて、電動化や知能化という中で、クルマをどれだけ軽く作れるかというのが非常に重要な課題です。その中で、重さに対してどれだけバリューを与えられるのかがデザイナーの力が問われるところ。そこでこの1kgにチャレンジしているのです」と野口氏。
また、「欧州車は革や木などの素材がいい。一方で日本車の樹脂は本当に否定的なものなのか。そこをもう1度あらためて自分たちの中で問い直し、そこにポテンシャルを見出すことができるのではないかということも目的です」という。本田技研工業 デザイン室 1スタジオ主任研究員の山崎雄一氏も同感だとし、「樹脂の世界は欧州ではフェイクを作る素材としてのベースになっていて、それをずっと追いかけてきた時代でした。しかし今、樹脂の世界ではもっと違うことができるのではないか。それが今回の作品につながっています」と語る。
そこで各メーカーの若手を中心としたデザイナーが3Dプリンターのメーカーなどと協力し、さまざまなアイデアを1kgの樹脂に込めて作り上げた。当然そこには各メーカーのカラーが色濃く出ており、クルマを主体として考えられたものから、まったく違う発想のものまで多岐にわたる。野口氏は「コンセプトは“真面目禁止”。とにかく楽しくやりたいのです。辛いとかやらされているというのはなしで、そのスタンスはキープしていきたい。そして将来的にはミラノサローネに出展できたら嬉しいですね」と将来を語った。