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北村友里恵の「e-BOXER」搭載スバル「XV Advance」でおやきとおそばのグルメ雪旅

「ブリザック VRX2」で雪道ロングドライブ

スバル「XV」で唯一「e-BOXER」を搭載する「Advance」グレードでゲレンデタクシーを取材。翌日に長野の雪道を堪能してきた

 スバルがスキー場で開催しているイベント「ゲレンデタクシー」の取材で冬の長野県に行ってきた。この記事は「『e-BOXER』搭載の新型『フォレスター』も走った! 『SUBARU ゲレンデタクシー』がスタート」で紹介しているので、そちらをご覧いただきたい。本稿では、道中を共にしたスバル「XV」についてお伝えする。

 今回の相棒は、XVで唯一水平対向エンジンと電動化技術を組み合わせた「e-BOXER」を搭載する「Advance」。搭載するエンジンは最高出力107kW(145PS)/6000rpm、最大トルク188Nm(19.2kgfm)/4000rpmを発生する水平対向4気筒DOHC 2.0リッター直噴「FB20」型エンジン。これに最高出力10kW(13.6PS)、最大トルク65Nm(6.6kgfm)を発生する「MA1」型モーターを組み合わせている。トランスミッションはCVTの「リニアトロニック」を採用して、駆動方式は“シンメトリカルAWD”とも呼ばれる4輪駆動だ。

 車両重量は1550kgとなり、ほぼ同じ装備内容でFB20型エンジンを搭載する「XV 2.0i-S EyeSight」と比べると110kg重くなる。JC08燃費は19.2km/L、WLTCモード燃費は15.0km/Lというスペックではあるが、実際にどのような数値が出るのか気になるところ。とはいえ、今回足下はブリヂストンのスタッドレスタイヤ「BLIZZAK VRX2」(タイヤサイズ:225/55 R18)を装着して、かつ雪道の走行がメイン。果たしてどのような結果になるのだろうか。

クロスオーバーSUVのXV Advanceは最高出力107kW(145PS)/6000rpm、最大トルク188Nm(19.2kgfm)/4000rpmを発生する水平対向4気筒DOHC 2.0リッター直噴「FB20」型エンジンと、最高出力10kW(13.6PS)、最大トルク65Nm(6.6kgfm)を発生する「MA1」型モーターを組み合わせる。トランスミッションはCVT、駆動方式は4WD
ボディサイズは4465×1800×1550(全長×全幅×全高)で、ホイールベースは2670mm。最小回転半径は5.4m。スバルのSUVラインアップの中で最も小さいモデルとなる
ブリヂストンのスタッドレスタイヤ「BLIZZAK VRX2」を装着。タイヤサイズは225/55 R18

「e-BOXER」で雪の山道を快適ドライブ

ゲレンデタクシーの取材翌日は、太陽が見えたり時々雪が舞ったり、コロコロ天候が変わる1日だった

 今回走行したのは完全な圧雪路やところどころ路面が見えるような雪道のワインディング、ドライ&ウェットの高速道路などなど、完全なミラーバーンとシャーベット状のぐずぐずな路面以外はほぼ走ったように思う。

 そして、「雪道=スバル」のイメージはさすがというか、2017年にXVがフルモデルチェンジをした際、新たに採用されたスバルの次世代プラットフォーム「SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)」の効果もあって、先に述べたような状況の路面であっても、しっかりと前に進んで行く力強さと安心感がとても印象的だった。

 SGPの採用によりボディがしっかりとしたように感じられ、直進安定性が向上しただけでなくロールも最小限に抑えられるようになり、山道のぐねぐねしたカーブでもしっかりとクルマの進む方向を見ながら運転できたのは、慣れない雪道を走る上での疲労軽減にも繋がったと思う。また、ドライビングポジションが高いことによる見切りのよさ、大きな窓やピラー形状、ドアミラー位置などの工夫に助けられ、クルマの周囲を把握しやすかったこともストレスを感じずに運転できた要因の1つではないだろうか。これはスバル車の根本にある安心・安全のためのパッケージングのなせる技だ。

 さらに、発進時や加速時に気を遣うことが多い雪道で、e-BOXERのパワートレーンはとても扱いやすかったことに少し驚いた。低速トルクが細い印象のある水平対向エンジンとCVTの組み合わせだと、ともすればアクセルを踏みすぎてしまって力をうまく伝えられないことがあるのだが、今回はそのような場面がなかったのだ。足の指先でほんのわずかに力を込めるような繊細なアクセル操作であっても、モーターがアシストをして無駄のない力を発生させ、それをシンメトリカルAWDとVRX2がきちんと路面に伝えてくれるため、雪道の走行経験はあまり多くない記者でも、ヒヤッとする場面もなく快適にドライブすることができた。

信州名物に舌鼓

 実は今回、食いしん坊の記者はゲレンデタクシーの取材翌日に長野のご当地グルメであるおやきとおそばを味わおうと考えていた。そこで、XVなら行けるのではないかと思い、長野市鬼無里と戸隠に向かった。普段であればわざわざ雪の多いであろう場所に好んで行くことはほとんどないのだが、物は試し。除雪はされているが車線は分からず、クルマがすれ違える分だけの車線しかない山道でも、コンパクトなサイズのXVは取りまわしがしやすく、対向車線に巨大な除雪車が現われたときも難なくすれ違うことができた。

クルマがすれ違える分しか幅がない道路で巨大な除雪車と出くわしたときでも、慌てずに運転すればXVならすれ違いも朝飯前

 鬼無里では雪のない季節には多くの人が訪れるというおやき屋さん「いろは堂」で「ねぎみそ」「あざみ」「じゃがいも」のおやきを食べ、戸隠では家族のような温かい笑顔で迎えてくれるおそば屋さん「よつかど」で山菜がたっぷり入った「西岳そば」を味わった。

まず訪れたのはおやき屋さん「いろは堂」(長野県長野市鬼無里1687-1)
おすすめの「ねぎみそ」と山菜である「あざみ」を注文したところ、冬限定の「じゃがいも」のおやきもおまけしてもらえた。このおまけのおやきは、季節や日によって変わるとのこと
鬼無里から戸隠まで足を伸ばして、おそば屋さん「よつかど」(長野県長野市戸隠2179-4)
「西岳そば」は戸隠そばだけでなくたっぷりの山菜が味わえる、ならではの一品
みたらしがたっぷりかかったそば団子もいただいた

 道中、変わりゆく景色を楽しみながら刻一刻と状況が変わる雪道をひた走り、目的のお店が見えたときには「もう着けた!?」という感覚になったのは、それほど神経をすり減らさずに運転できたからのようにも思える。目的地に向かうまでに疲れてしまうことなく、着いた先でまた楽しむ余裕を残していられたのは、e-BOXERとシンメトリカルAWD、見切りのよさなどのXV Advanceの性能に加え、どんな路面状況なのかをドライバーに間違いなく伝えてくれるVRX2のおかげでもあったと思う。

 帰りは信濃町IC(インターチェンジ)から上信越自動車道に入り、運転支援システム「EyeSight」の「全車速追従機能付クルーズコントロール」に加え、クルーズコントロールと同時に設定すると車線中央維持をしてくれる「アクティブレーンキープ」をON。足下のVRX2はスタッドレスでありながらも高速走行時のロードノイズや、段差を乗り越えた際の衝撃、カーブの際の“ぐにゃっ”とする感覚が少なく、楽しかった雪道ドライブを思い出しながら非常に快適に帰京することができた。

青空の下、Advance専用色「ラグーンブルー・パール」が白い雪道に映える
平日ということもあってなのか、ほとんどクルマとすれ違うことがなく、綺麗な雪景色を満喫しながらドライブできた。この経験はXV AdvanceとVRX2の安心感があってこそ
信濃町IC(インターチェンジ)周辺もちょこっと走ってみた。高い雪壁が立山黒部アルペンルートのようで、少しだけワクワクした気持ちになった。もちろん、こっちの雪壁の方がだいぶ低い。はず
帰りは上信越自動車道を使って帰京
冬場の信濃町IC付近はチェーン規制されていることが多い。この日もそうだった
高速道路では運転支援システム「EyeSight」の機能で、先行車との車間距離を維持しながら加減速をする「全車速追従機能付クルーズコントロール」と、全車速追従機能付クルーズコントロールを設定していて約60km/h以上で走行している場合、車線内の中央付近を維持するようステアリング操作をアシストしてくれる「アクティブレーンキープ」をON。帰りの運転負荷を減らしてくれるから、雪道の運転を思いっきり楽しめた

 なお、冒頭でJC08燃費は19.2km/L、WLTCモード燃費は15.0km/Lというスペックをお伝えしたが、今回撮影をしながらスタッドレスタイヤで雪の山道と高速道路を走行した結果は、13.9km/Lという結果だった。燃費についてはもう少しといったところだろうか。

 雪が降るこの時期だからこそ出会える景色があり、諦めることなくしかも快適にその場所まで向かうことができる。スバルのXV AdvanceとブリヂストンのスタッドレスタイヤVRX2は“行けない”をなくす1つの方法であると実感した1日だった。