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ランボルギーニ、フィードフォワード制御で理想的なライン取りを可能にする新型「ウラカン EVO」日本初公開

日本価格は2984万3274円(税別)

2019年3月8日 開催

ランボルギーニの「ウラカン EVO」が日本初公開された

 アウトモビリ・ランボルギーニ・ジャパンは3月8日、都内で次世代スーパースポーツカー「ウラカン EVO」を日本初公開した。価格は2984万3274円(税別)。

 日本市場で今春からデリバリーがスタートするウラカン EVOは、最高出力470kW(640HP)/8000rpm、最大トルク600Nm/6500rpmを発生するV型10気筒5.2リッターエンジンを搭載し、「7速LDF(ランボルギーニ・ドッピア・フリツィオーネ)」と呼ばれる7速デュアルクラッチトランスミッション、ハルデックス製の第5世代4輪駆動システムを採用。乾燥重量は1422kgでパワーウエイトレシオは2.22kg/HPとなり、0-100km/h加速2.9秒、0-200km/h加速9.0秒、最高速325km/hを実現している。

 このほか、ウラカン EVOの詳細は関連記事「ランボルギーニ、ビークルダイナミクス制御の予測ロジックを備えた新型『ウラカン EVO』」を参照していただきたい。

ウラカン EVO
ウラカン EVOのボディサイズは4520×1933×1165mm(全長×全幅×全高。全幅はドアミラーを除く)、ホイールベースは2620mm。乾燥重量は1422kg
ランボルギーニのカスタマイズ部門である アドペルソナムを利用すると、300種類以上のバリエーションで外観をカスタマイズできる
フロントが245/30 ZR20、リアが305/30 ZR20のピレリ「P ZERO」を採用。ブレーキはカーボンセラミックディスクを使い、アルミニウム製のキャリパーはフロント6ピストン、リア4ピストンとなる
リアタイヤの前方にある「HURACAN EVO」のロゴが、外観上で他のモデルとの大きな違い
「ウラカン・ペルフォルマンテ」でも採用するV型10気筒5.2リッター 自然吸気エンジンは、最高出力470kW(640HP)/8000rpm、最大トルク600Nm/6500rpmを発生
エンジンルーム内の廃熱を促すエアフローは既存のウラカンからさらに向上している
排出ガスがエアロダイナミクスに影響を与えないよう、エキゾーストエンドはリアバンパーの中段位置に設定

ウラカンはランボルギーニで最も成功した商品

アウトモビリ・ランボルギーニ・ジャパン カントリー・マネージャー フランチェスコ・クレシ氏

 日本初公開の発表会では、最初にアウトモビリ・ランボルギーニ・ジャパン カントリー・マネージャーのフランチェスコ・クレシ氏がウェルカムスピーチを実施。

 クレシ氏は、ウラカンが2003年にランボルギーニ初の自然吸気 V10エンジン搭載車としてデビューした「ガヤルド」の系譜に連なるモデルで、ウラカン EVOはその最新モデルになると紹介。ガヤルド、ウラカンと明確な進化を続け、2014年にデビューしたウラカンはガヤルドよりも販売台数を6割以上増やしており、「ランボルギーニで最も成功した商品」と位置付けた。

 その原動力となっているのは多様なユーザーニーズに対応するため、幅広いラインアップを用意していることだと語り、「乗って楽しいクルマ」「ライフスタイルのクルマ」「パフォーマンス指向のクルマ」とターゲットの異なる仕様を展開。2017年に導入を始めたウラカン・ペルフォルマンテはウラカンファミリーの頂点を極めるモデルだとした。

 成功を収めてきたウラカンをさらに進化させる存在であるウラカン EVOでは「次の動きを予測する」という技術進化を目指して開発を実施。それは市場の今後のトレンドを予測することだったと語った。

 最後にクレシ氏は、「日本はグローバルのトップ3に入る市場で、私たちのビジネスで本当に大切なマーケットになっています。2018年は559台のランボルギーニモデルを販売し、2017年から大幅な伸長であるほか、成長を続けています。2010年にはたった40台しか販売していなかったことを考えると素晴らしい実績だと感じます」。

「2019年は第3のモデルである『ウルス』を導入しており、これは今までのクルマとまったく違う革命的なクルマです。おかげさまでお客さまからも好評をいただき、日本でも大成功を博しております。ウルスを導入したおかげで、これまでのお客さまだけでなく、60~70%が新規のお客さまとなっていています。今年はウルス初のフルイヤーとなるので、年間で700台を販売することを目指しています」とコメントし、さらに販売を強化していくと意気込みを語った。

車両のダイナミクスシステムを統合制御する「LDVI」搭載

伊ランボルギーニでウラカン EVOのローンチプロジェクトマネージャーを担当したヴィットリオ・ミラノ氏

 ウラカン EVOの具体的な解説は、ウラカン EVOのローンチプロジェクトマネージャーを担当したヴィットリオ・ミラノ氏から行なわれた。

 ミラノ氏はウラカン EVOの開発にあたり「空力性能とデザイン」「エンジン」「車両ダイナミクス」「ユーザーエクスペリエンス」という4つの柱を中心として取り組んだと説明。

 空力性能とデザインではすでにユーザーから高く評価されているウラカンのデザインを継承しつつ、主に空力性能を高める方向に焦点を当てたとコメント。細部に渡って着目することで空気の流れを調整し、とくに車両のフロント部分にフォーカスして開発を行なったとミラノ氏は説明。フロントバンパーにウイングを組み込んだスプリッターを設定することでエアロダイナミクスを改良して、このほかの進化と合わせてダウンフォースが7倍に増え、冷却性能も大きくアップして空力バランスを改善していると解説した。

 クルマの心臓に位置付けられるエンジンはウラカン・ペルフォルマンテと同じエンジンを採用。ミラノ氏はこのエンジンを「ランボルギーニがこれまでに開発した最高のV10エンジン」と評し、自然吸気ならではの迫力あるサウンド、チタン製インテークバルブ、スーパースポーツエキゾーストといった特徴を持ち、最高出力640HPと最大トルク600Nmという数値を、フラットな出力特性で発生すると語った。

車両のフロントを中心に、アンダーフロアやスロット付きリアスポイラーなどで改良を実施。ダウンフォースを7倍に高めることなどに成功している
高出力640HPと最大トルク600Nmという数値に加え、フラットな出力特性で高速走行に適したエンジン設定だとミラノ氏は解説

 車両ダイナミクスについてミラノ氏は、「今回の取り組みで最も重要なポイント」と自身の考えを述べ、ウラカン EVOの開発にあたっては、4WDシステムやダイナミックステアリングシステム、トラクションコントロール、マグネティックライドサスペンションといった既存の技術を進化させて搭載し、さらに3種類の革新的システムを導入したと語った。

 その3つは「アクティブトルクベクタリング」「4輪操舵」「ランボルギーニ・ディナミカ・ヴェイコロ・インテグラータ(LDVI)」で、LDVIは車両のあらゆるダイナミクスシステムを統合制御するコントロールユニットで、最高のパフォーマンスを引き出すことを目的に開発したとミラノ氏は位置付けた。LDVIでは予測ロジックによってドライバーの次の動きとニーズを予想し、フィードフォワード制御を実施。これまでの技術で行なってきたフィードバック制御と比較して、より理想的なライン取りが可能になると紹介した。

 ユーザーエクスペリエンスでは、ウラカン EVOはインテリアを大幅に一新。とくにセンターコンソールに8.4インチの縦型フルタッチスクリーンを搭載しており、この画面を使うことでエンタテイメント系に止まらず、車両のセッティングやエアコン、シートポジションなどを統合的にコントロールできるとミラノ氏は語った。

ウラカン EVOに与えられたさまざまなテクノロジー。既存技術も進化させながら搭載している
結果を受けて修正を行なうフィードバック制御と比較して、LDVIによるフィードフォワード制御はより理想的なライン取りが可能になるという
LDVIは運動性能に関連するすべての技術を統合制御。車両全体から送られてくる240もの入力を使って毎秒50回の演算を実施。340の制御信号としてアウトプットする
ストラーダ、スポーツ、コルサといった運転モードでドライバーが好みの走行性能を選べる「ANIMA」もLDVIで制御。運転モードが発揮する運動性能がより明確化される
センターコンソールの8.4インチの縦型フルタッチスクリーンでは、走行状況の表示や車両セッティングの変更、スマートフォン対応による多彩なマルチメディアコンテンツなどを扱える
ウラカン EVOの性能を紹介する各種キーワード。ミラノ氏は実際に運転してもらえばそれぞれの進化をすぐに体感できるだろうと語った
ウラカン EVOのインテリア
バックスキンタイプのレザー表皮を採用するステアリングは、大きなパドルシフトに加え、ANIMAのモード変更を行なうスイッチを下側スポークに配置する
ストラーダ選択時のメーター表示
スポーツ選択時のメーター表示
コルサ選択時のメーター表示
アクセルペダルはオルガン式となる
センターコンソールのシフトセレクターは独自スタイルのスイッチ式。エンジンスタートは赤いカバーを引き起こしてからボタンを押すタイプ
ドアトリム
シートはセミバケットタイプ
エアコンルーバーやスイッチ類も独自性の強いデザインが与えられている