2018年12月にマイナーチェンジして外観を一新した「プリウス」のフレンドマチック取付用専用車 タイプIVがトヨタブースで展示中 4月18日~20日の期間、インテックス大阪(大阪府大阪市)で総合福祉展「バリアフリー2019」が開催されている。入場料は無料で、イベントの公式Webサイトに用意された入力フォームや会場で用紙に記入する登録制。
自動車メーカーではトヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、スズキ、ダイハツ工業の国内5メーカーがブースを出展。各社でラインアップする福祉車両を展示し、実車を触ったり架装部品などを動かして使い勝手を試せたりするイベントとなっている。本稿では5メーカーの出展車両などを中心にイベント内容をお伝えする。
トヨタ自動車/ダイハツ工業
4号館の401/402小間には、トヨタとダイハツが共同でブースを出展。トヨタは2018年12月にマイナーチェンジを行なって外観を一新した「プリウス」をベースに、車いすをルーフ上に収納できる「ウェルキャリー」も装着した「プリウス フレンドマチック取付用専用車 タイプIV」をはじめ、3月15日に行なった一部改良で車いす乗降用スロープの設置性を大きく改善した「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」も用意して、計10台を車両展示。
ダイハツからは軽乗用車「タント」「タント カスタム」をベースに、車両後方側を改造してアルミスロープやウインチなどを装着し、車いすを搭載可能とした「タント スローパー」など6車種7台が車両展示された。
「プリウス フレンドマチック取付用専用車 タイプIV」 車両解説員による「ウェルキャリー」作動デモも実施。なお、前面投影比の大きなウェルキャリーを設置すると燃費に大きく影響するため、装着はハイブリッドカーであるプリウスと「アクア」に限定しているとのこと タクシー乗務員や車いすユーザーなどの意見を反映して車いす乗降用スロープの設置性を大きく改善した「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」。会場では車いすの来場者が実際にクルマに乗り込んで使い勝手を体感するシーンも見られた 「ルーミー 助手席リフトアップシート車 Bタイプ」。ラゲッジスペースに電動スライド式の車いす収納装置を装着している 「ヴェルファイア サイドリフトアップチルトシート装着車」 助手席側のセカンドシートが車外に電動スライド。座面前方がチルトダウンして足つき性を高め、車外にシートを大きく出さなくても乗降可能としている 「シエンタ 車いす仕様車(スロープタイプ) タイプIII」 「エスクァイア 車いす仕様車(スロープタイプ)タイプI“車いす2脚仕様”」 「ヴォクシー 車いす仕様車(スロープタイプ) タイプIII」 「ノア ウェルジョイン(助手席リフトアップシート付)」 2人掛けの専用セカンドシートを装着し、電動ステップも追加してサードシートへのアクセス性を高めた 「ハイエース 車いす仕様車 ロングボディ Bタイプ」 電動リフトには車いすに加えてストレッチャーも搭載可能 スライドドア連動対応の電動格納式大型ステップやオプション装備の可倒式手すりを備えて乗降性を向上させている 専用設計のリアシートは、ダブルフォールドに加えて脱着も可能 タント カスタム スローパーの展示車は、リアシートをダブルフォールドさせた状態で展示された。こちらも脱着可能な設計 タント スローパーよりも幅の広いアルミスロープを設置可能で、より大きな車いすの搭載に対応する。リアシートは脱着不可のダブルフォールドタイプと、折り畳み補助シートを設定するリヤシートレスの2種類 「ハイゼット スローパー リヤシートレス仕様(折り畳み補助シート付)」 ハイゼット スローパーではダブルフォールドする折り畳み補助シートのみが設定される 車内に搭載した車いすの人が使うシートベルトはルーフに設置 助手席の昇降シートは助手席だけを開けた状態とスライドドアの「ミラクルオープンドア」まで開いた状態の2種類で異なる動作を実現。スライドドアの開けてシートを後方まで下げると回転時の足下スペースに余裕ができ、膝を曲げにくい人でも利用しやすくなるという 開口部のスペースが限られた軽自動車のスライドドアで回転リフトシートを実現。ヒンジドアのある助手席とは違い、どの方向にも乗り降りできることがメリットになる 日産自動車
日産ブースの中央には、e-POWERではなくガソリンエンジン搭載モデルをベースとした「セレナ チェアキャブ スロープタイプ」を展示。
日産では2018年の出展時にコンセプトカーの「アドベンチャー ログ キャビン」を用意していたが、この展示車はアドベンチャー ログ キャビンで大きな反響を得たホワイトウッド調のフロアマットを受け継ぎつつ、より現実的なモデルとして車両展示が行なわれた。
これに加えて日産ブースでは、e-POWERを採用する「セレナ」や「ノート」の福祉車両など5モデルが展示されている。
コンセプトカーの「アドベンチャー ログ キャビン」で使用されたホワイトウッド調のフロアマットを装着 「セレナ e-POWER チェアキャブ スロープタイプ」 電動リフトに固定した状態で車いす1台を搭載できることに加え、2人掛けのサードシートを格納すると車いす2台を収容可能になる。シート表皮ははっ水加工を採用 本田技研工業
ホンダブースでは、4月から販売を開始した車いす陸上競技用の最新型レーサー「翔<KAKERU>」を新製品として展示。このほかにバリアフリー2018の会場で初公開した「N-BOX スロープ仕様」を計3台展示。とくに「N-BOX カスタム スロープ仕様」はレッドとブルーのボディカラーが与えられた2台を用意。これまでの展示イベントなどでも注目度が高く、多くの人にじっくりと見て、体験してほしいことが理由になっているという。また、福祉車両でも楽しい気分になってもらえるよう、主張の強いボディカラーの展示車を集めているという。
そんな6モデル8台を車両展示するほか、ホンダブースでは「ホンダ 歩行アシスト」の装着体験、運転補助装置「ホンダ テックマチックシステム」の操作体験デモなども用意されている。
「ミラノレッド&ブラック」の2トーンボディが与えられた「N-BOX カスタム スロープ仕様」 「ブリリアントスポーティブルー・メタリック」のN-BOX カスタム スロープ仕様 「ステップワゴン スパーダ サイドリフトアップシート車」 「ステップワゴン 車いす仕様車(2・3列目乗車タイプ)」 サードシートはベースモデルと同様に床下格納。2-1-3シートレイアウトで、車いす1台を搭載したときは最大7人乗りとなる。サードシートはリクライニングも可能 左手でアクセルとブレーキの操作を行なう手動運転補助装置「ホンダ テックマチックシステム Dタイプ」を搭載 車いす陸上競技用の最新型レーサー「翔<KAKERU>」 極限までコンパクト化されたハンドル。前輪はフレームにあるロックで直進状態に固定可能 カーボンフレームは乗る人の体格に合わせてフルオーダーメイドとなる ホンダ テックマチックシステムの操作体験ができるデモ機 スズキ
3号館の223小間にあるスズキブースでは、スーパーハイトワゴンカテゴリーの軽自動車「スペーシア」をベースとした「スペーシア 車いす移動車」のほか、「エブリイワゴン」「エブリイ」をベースとした車いす移動車、「ワゴンR」「ワゴンRスティングレー」をベースとした昇降シート車など5台を車両展示。
これに加え、スズキの電動車いす「セニアカー」「モーターチェア」などを用意して、簡易コースでの試乗体験が行なわれた。
リアバンパー一体型でワンアクションで開閉可能なスロープを装備 ベンチタイプの後席が前方にダブルフォールドして車いすの搭載スペースを作り出す メーカーオプションの「電動オートステップ」は4万2000円(消費税非課税) エブリイワゴン 車いす移動車のリアシートは分割可倒タイプとなり、車いすを搭載している時でも右隣に座って介助が可能 エブリイ 車いす移動車では助手席側リアシートを採用 「セニアカー」の「ET40」などが展示され、簡易コースで「傾斜お知らせ機能」などの「安心機能」を体感できた