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アストンマーティン・レッドブル・レーシングがF1日本GPに向け会見。「鈴鹿ではいくつかのアップデートが入る」

「日本のファンは熱心に応援してくれるので励みになる」とアルボン選手

2019年10月9日 開催

アレクサンダー・アルボン選手(左)とマックス・フェルスタッペン選手(右)

 アストン・マーティン・レッドブル・レーシングは10月9日、都内で記者会見を行ない、マックス・フェルスタッペン選手とアレクサンダー・アルボン選手が登壇して今週末に行なわれる鈴鹿サーキットでのF1日本GPに向けた意気込みを語った。先週末に行なわれた「レッドブル・ボックスカート・レース」に参戦した2人がデザインした車両の感想を披露したり、その前日にホンダのテストコースでマックス・フェルスタッペン選手によってホンダ RA272のテスト走行が実施されたことなどに話題がおよんだ。

 また、チームのエースドライバーであるマックス・フェルスタッペン選手は「鈴鹿ではいくつかのアップデートが入ると聞いているので、多くのファンの前で優勝を目指して頑張りたい」と述べ、優勝争いできることへの期待の言葉を述べた。

フェルスタッペン選手はホンダ RA272に搭乗、ボックスカートにコメントも

記者団を前に話す2人のレッドブルドライバー

 今回のイベントは、木曜日に向けて鈴鹿入りする前の忙しいスケジュールを縫って行なわれた。フェルスタッペン選手はすでに来日していたが、アルボン選手はタイヤテストが10月7日~8日(現地時間)のスケジュールでバルセロナで行なわれており、それに参加したため10月9日の記者会見当日に日本に到着するという強行軍での中で行なわれた。

アルボン選手はヘルメット型をデザイン
アルボン選手の元のイラスト、なかなか上手だ

 まずは2人に、10月6日によみうりランドで行なわれたレッドブル・ボックスカート・レースの様子が紹介された。アルボン選手、フェルスタッペン選手の順に自分がデザインした車両が紹介され、その元となったイラストも公開された。アルボン選手がデザインしたヘルメット型のカートが無事にゴールしたのに対して、フェルスタッペン選手がデザインした母国オランダのカラーでもあるオレンジに塗られたF1カー型の車両は、残念ながら途中でクラッシュしてしまった。フロントウイングなどがなくなるクラッシュ(?)に遭遇したのを見たアルボン選手は、「僕のはちゃんと完走したけど、君のはクラッシュしてるよね?」とからかうと、フェルスタッペン選手は「僕が乗ってるわけじゃないよ(笑)、もっと強い素材のフロントウイングが必要だな。それとドライバーとよく話をしないといけないな」とジョークで応じる。

フェルスタッペン選手のデザインしたボックスカート
フェルスタッペン選手の元のイラスト

 さらにアルボン選手は、「なんだこのイラストは、クルマが三角形になっているじゃないか。絵を描くの下手だな」と厳しいツッコミを入れるとともに、「時間さえもらえれば来年のレッドブルの車両をデザインするよ!」と言い、会場は笑いに包まれた。

 そして、話題はフェルスタッペン選手がこの前日に、ホンダのテストコースで佐藤琢磨選手と一緒に1965年のホンダ RA272とレッドブルのF1カーを走らせた話に話題がおよび、「こんなに古いレーシングカーをドライブしたのは初めてだった、琢磨選手はすごくいい人で、どうやってドライブしていいかを教えてくれた。Hパターンのギヤボックスは本当に面白かったよ」と説明した。

 すると、アルボン選手はすかさず「こんな世代のF1カーはドライブしたことがないのでうらやましい。でも、僕の体はこのクルマには入らなそうで、首が飛び出しちゃいそうだね(笑)」とボケをかまして笑いを取っていた。

 なお、司会によればこの模様は10月10日にレッドブルの公式サイトで公開される予定とのことだ。

鈴鹿ではいくつかのアップデートが入るので、良い週末を実現したい

笑いの絶えない会見となった

 後半は司会や記者からの質問に2人が答える形になった。以下はその模様だ。

――21戦中16戦を終えたが、フェルスタッペン選手は2勝するよい結果を出した。今シーズンの振り返りをお願いしたい。

マックス・フェルスタッペン選手

マックス・フェルスタッペン選手:いいシーズンだったと思う。特に前半は素晴らしかった、性能もどんどん上がっていき、結果を出すことができた。特に最初の勝利は本当に素晴らしかった。V6時代になってからのホンダの初優勝だったし、レッドブルの本拠地での勝利でもあった。後半はポディウムを獲得できているけど、もっとポテンシャルを上げて勝てるようにしたい。

――アルボン選手はレッドブルに昇格後4戦を戦ったが、どうか?

アレクサンダー・アルボン選手:今年は大きなステップになった年だった。最初の1年でいきなり大きなチームに入ることになり、期待度は高くなったし、選手権で成功していかないといけない。難しいけれど、落ち着いてやってるよ。最初の4レースそれなりにいい結果だし、これからチームメイトに匹敵する結果を出せるように頑張っていきたい。

――アルボン選手にとってアジア人、タイ人ドライバーとしてF1にいることはどんな意味があるか? また、タイでの反応は?

アレクサンダー・アルボン選手:タイでも大きな反響をもらっている。僕はタイでのヴィラ王子に次ぐ2番目のF1ドライバーで、それがタイやアジアでのモータースポーツへの興味を高めることにつながればいいと思っている。

――マックスに。今週末は天気が難しそうだが、鈴鹿を攻略するのに重要なコーナーはどこになりそうか? また、ポールや優勝を勝ち取る自信はあるか?

マックス・フェルスタッペン選手:コーナーというよりは今週末は天気が一番の問題になりそうだ。僕にとって大事なことは勝つことで、予選が土曜日になるのか、日曜日になるのか分からないけど、ポールよりは優勝を目指してやっていきたい。アップデートも入ると聞いているので、いい週末を過ごしたい。

――お2人に。今週末に鈴鹿というホンダのサーキットで走る気持ちを教えてほしい。

マックス・フェルスタッペン選手:今年はいくつかのホームレースがあって、どれも素晴らしい。今週末ももちろん楽しみしている。多くのファンが応援してくれることは素晴らしいことだし、楽しみにしている。それが僕らを後押ししてくれるんだ。

アレクサンダー・アルボン選手:マックスと同じだけど、やっぱりファンに後押しをもらえると嬉しいし励みになる。前にトロロッソのドライバーとして東京に来たときにも多くのファンが駆けつけてくれた。本当に日本のファンは熱心に応援してくれるので励みになる。

アレクサンダー・アルボン選手

――アルボン選手に。タイ国籍のドライバーとしてはヴィラ王子に次いで2人目とのことだが、勇敢な心と、その常に微笑みを続けている姿が実は本当は王子さまじゃないかという噂もあると聞いているが?

アレクサンダー・アルボン選手:えー、いやそんなことはない(笑)。僕は王室をとても敬愛しているし、皆さんが僕のことを応援してくれているんだ。微笑みはタイ人の特徴だからね(笑)。

――アルボン選手に、トロロッソチームからレッドブルに変わったときの本当の気持ちは?

アレクサンダー・アルボン選手:多くの人は喜んでくれていたと思うけども、難しいという人もいた。ただ、レッドブルには4人のドライバーがいて、それぞれの役割を入れ替えることもある、それが仕組みだ。自分としては機会を与えられたので、来年に向けてのベストなポジションにいると考えている。そうした状況で多くのファンが詰めかける鈴鹿でレッドブルに乗れることを誇りに思っている。

最後の撮影の時に飲みかけていたレッドブルの缶を持ってきてしまうアルボン選手。「これ渡した方がいい?」と記者団に指で示すと会場は笑いに包まれた
笑い合う2人。なかなか仲よしだ