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Mobileye、インテル社内で事業説明会。次世代へ向けての戦略を語る

2019年12月3日 開催

モービルアイ・ジャパン 代表取締役 川原昌太郎氏

 1999年にイスラエルで設立されたMobileye(モービルアイ)は、その優れた画像処理技術により急成長を遂げ、一躍名の知れた存在となり、2017年にはIntel傘下に収まった。その日本法人であるモービルアイ・ジャパンが12月3日、国内では初となる事業説明会をインテル社内で行ない、モービルアイ・ジャパン 川原昌太郎 代表取締役社長が現在の状況と近い将来の事業展開について述べた。

 モービルアイではADAS(先進運転支援システム)と自動運転を事業の柱に据えている。近年、ADAS市場は急速な伸長を見せており、モービルアイのSoC(System on a Chip)である「EyeQ」シリーズもすでに累計で5000万個が出荷され、現在も27社で45の案件が進められている。2019年には16車種が新たに販売され、新型スカイラインに搭載され話題となった日産のプロパイロット2.0に採用されていることも明らかにされた。

モービルアイの事業戦略
モービルアイの成長
モービルアイについて

 またモービルアイでは、技術開発と市場展開を通じて交通事故を減らし安全を守ることと、さらには「Complete Mobility Provider」になることを使命と考えている。そのための一環として、カメラ画像にLiDARやミリ波レーダーの情報を加え冗長性を図るとともに、自前のHDマップ生成システム「REM」を開発している。それらを組み合わせることで自動運転をサポートすることを視野に入れている。

 REMは、EyeQを搭載した車両のカメラが収集したさまざまな情報をもとに、各車両で処理された必要なデータを随時センターに送ることで自動的にHDマップの高精度化を図る仕組みで、すでに日本の高速道路はほぼ網羅できているという。BMWが約1年前から開始しているほか、フォルクスワーゲンも対応済みで、今後さらに多くのメーカーがデータ収集に乗り出すことが予定されている。

モービルアイグローバル開発センター起工式
モービルアイのEyeQについて
AIの進化
ロボタクシーに集中投資
事業分野
2030年までの潜在有効市場規模
モービルアイ搭載車
モービルアイのポートフォリオ
EyeQファミリー
ADASの相互作用
急成長セグメント
次世代ADAS
カメラを使ったアプローチ
画像認識
REMによるマッピング

 EyeQを搭載した車両から送られるデータは1日あたり200万kmにも及ぶというが、車両側(エッジ側)で処理されたデータは1kmあたり10KB程度にまで軽くされる。これまで約3億km分のデータを収集しており、2020年の第1四半期には欧州全土をカバーできる見込みというから驚く。

 さらに、REMによりリアルタイムで更新される路上のデータと、すでにある各種インフラ等のデータを統合して活用する取り組みも進められており、イギリスをはじめ、シンガポール、香港、ドバイなどでも同様の計画がある。標識や路面の状況などだけでなく、どの地点には何曜日の何時にどれぐらいの歩行者がいるかというデータまでもかなり正確に把握できるという。

一般的なアプローチ
問題点
HDマップ構築
ソリューション
REMの独自性
REMのプロセス
REMのグローバル展開状況
日本の高速道路について
プロダクトしてのSDS

 もうひとつ、川原代表は日本でもMaaSへの展開を考えている旨を述べた。自動運転については既存のEyeQシリーズはもとより、最近出荷が始まったばかりの最新の高性能なEyeQシリーズにより、自動運転車両を駆使したロボタクシーの事業を提供するメドもすでに立っているという。2022年に中国、フランス、イスラエルで、翌2023年にはアメリカでも始める計画で、そのころには日本での展開も十分にありうるようだ。

 イスラエルではフォルクスワーゲンと幅広い分野で協力するほか、中国では新興の電気自動車メーカーであるNioとタッグを組み、モービルアイの自動運転技術を搭載した車両を中国で販売し、一方Nioはモービルアイのため専用のロボタクシー車両の開発を行なうこととなっている。

モービルアイと、Nioの提携
MaaSでの強み
2022年までにイスラエルでMaaSを実現
MaaS拡大計画
ビジネスチャンス
モービルアイのデータについて
検出機能
アセットの例
英国陸地測量部との提携

 ADASや自動運転がますます高い関心を集める中、その最先端を走るモービルアイは、このように多角的に次なる一手を用意している。