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マイクロソフト、自動車業界に向けた取り組みを解説。ダイムラーやBMW、フォルクスワーゲンと協業
2020年1月17日 16:54
- 2020年1月15日 発表
日本マイクロソフトは1月15日、「自動車業界へ向けたマイクロソフトの取り組み」と題した事業説明会を開催した。出席したのはオートモーティブ事業を担当するMicrosoft Automotive Industry General Manager サンジェイ・ラヴィ氏と、日本マイクロソフト エンタープライズ事業本部 オートモーティブ営業統括本部長 業務執行役員 竹内洋二氏。マイクロソフトの持つ、数々のソリューションを解説した。
サンジェイ・ラヴィ氏によれば、現在自動車業界はトランスフォーメーションの時期にあるという。2030年までに100%の自動車はコネクテッドの機能を持ち、10~15%は自動運転機能を装備。走行距離の32%はライドシェアになり、電気自動車は新車販売の最大25%に達するという。
そこでは新たなエコシステムが展開されており、それを支えるテクノロジをマイクロソフトが提供するという。具体的には、Intelligent CloudやIntelligent Edgeなどの知能化で、ユビキタスコンピューティング、AI、人間中心のエクスペリエンスが展開されていく。
マイクロソフトは、そうした知能化ソリューションを提供することで、自動車会社のデジタルデータの扱いを変革し、デジタルフィードバックループを構成。ビジネスをカイゼンしていくという。
データの扱いは難しいものだが、マイクロソフトがパートナーとのアプローチに関して決めていることとして「OEMやモビリティサービスプロパイダの支援(競合はしない)」「データは常に自動車会社が管理」「ブランドや顧客体験は自動車会社のもの」であると述べた。これは。データ基盤、データプラットフォームをマイクロソフトは提供するものの、データの中身に関しては関知しないというもの。マイクロソフトがクルマを作ることはないし、マイクロソフトが顧客のデータを使って商売をすることもない。言わば、クルマを組み立てる工具会社であり続けるということだ。
クルマ業界は100年に一度という変革期にあるが、マイクロソフトはそこに向けてさまざまなソリューションを提供、コネクテッドカー、自動運転車、スマートモビリティ、などなど。各分野に向けたツールやプラットフォームを提供している。
その1つが「CES 2020」でFaureciaとの協業を発表した「Microsoft Connected Vehicle Platform」。これはコネクテッドコクピット開発などに使えるプラットフォームで、OTAによるアップデート、高度なナビゲーションなど各種の足まわりを提供していく。Faureciaはこれを使った次世代のコクピット開発を始めており、いずれ先進的なコクピットが多くのクルマに搭載されていく。
これらのソリューションをマイクロソフトが提供していく、そして自動車会社が次々に採用していくのは、現在の自動車開発がハードウェアの開発競争だけでなく、ソフトウェアの開発競争になっていることだ。
ラヴィ氏は、「自動車業界では、ソフトウェア技術者の数が機械技術者の
3倍の速度で増加している」「Ford には GitHub を利用する開発者が 8000人存在し、コード数は1億5000万行におよぶ」といった実例を挙げ、マイクロソフトの提供する開発環境の魅力を語った。
ダイムラーやBMW、フォルクスワーゲン、ルノー・日産・三菱自動車のアライアンスとの取り組みは紹介されたものの、今回、トヨタ自動車との取り組みは紹介されなかった。よく知られているように、トヨタがWRC(世界ラリー選手権)で走らせている「ヤリス WRC」の側面には「Microsoft」のロゴが入っている。そして、トヨタもマイクロソフトのAzureを利用していることを発表している。その点を聞いたところ、竹内氏は、詳細は明かせないがトヨタとの取り組みは継続しているとのことだ。
今回の話は、総花的ではあったものの、そのような多岐にわたるソリューションを展開できるのが、世界的なソフトウェアソリューションプロパイダであるマイクロソフトの能力となる。実際、膨大なデータを常に生み出す自動車を使ったデータサービスを世界的に構築しよう、それをAIで処理していこうとなると、そもそも数社しか選択肢がないのは事実だ。そしてその代表格がマイクロソフトであるのは間違いない。