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TOYO TIRE、走行中のタイヤパフォーマンスを可視化するタイヤセンシング技術開発
タイヤそのものを「情報取得デバイス」として活用
2020年2月7日 16:50
- 2020年2月7日 発表
TOYO TIREは2月7日、AI(人工知能)やデジタル技術を活用して、気候などによって変わる「走行中の路面情報」と摩耗や荷重といった「走行中のタイヤ状態情報」を検知し、リアルタイムで走行中のタイヤパフォーマンスを可視化するタイヤセンシング技術を開発したと発表した。
同社はCASE時代のタイヤのあり方について「情報通信機能を備えるインテリジェント化、車両制御の高精度化や運行管理、メンテナンスを支援する情報の提供などが求められている」とし、これらを実現していくための基幹技術としてタイヤから各種情報を吸い上げるセンシング技術について開発を進め、タイヤそのものを「情報取得デバイス」として活用することで新たな付加価値を創造するという構想を進めている。
今回、走行中の路面の状態や走行車両が装着するタイヤの状態を把握するためにタイヤにセンサーを装着し、検知した諸情報を高度に演算処理することによって、果たすべきタイヤ性能(グリップ力)の限界値を導き出すセンシング技術を構築。これによって、実際に走行している路面の状態に対して求められる性能範囲と、走行中のタイヤがそれに応じた「タイヤ力」(タイヤからインプットされる空気圧や温度、路面判別、荷重、摩耗、異常といった情報から推定される、実際のタイヤパフォーマンス)を発揮できているかどうかの状態をデータとして把握するとともに、可視化することを可能にした。
情報取得デバイスとしての機能を備えたタイヤから検知、入手したデータを活用し、個別の車両ごとに求められるタイヤ性能の限界値と実際のパフォーマンスをリアルタイムで把握することができれば、その情報を車両と連動させることでより精度の高い安定走行や危険回避の実現につなげられるとしている。
「タイヤ力」を検知する技術
同社のタイヤセンシング技術のコンセプトは、タイヤを情報取得デバイスとして機能させ、さらに検知した情報から「走行中の路面に応じてタイヤに求められるパフォーマンス」「実際の走行中に発揮しているパフォーマンス」の双方を導き出すというもの。
タイヤのパフォーマンスの割り出しは、タイヤに装着したセンサーから検知した情報を入力し、「タイヤ力」として出力する「タイヤ力推定モデル」の構築によって可能となった。タイヤ力推定モデルを車上デバイスに組み込むことで、車両との連動を図っていくことを企図している。
このタイヤ力推定モデルは、スマートフォンなどの音声や画像を認識し処理・応答する仕組みと同様の技術であるデータ分析やAIによって構築。これは、SAS Institute Japanとの協業によって確立することができたという。
すでにモデルによるタイヤ力の推定検知に成功しており、現在は実車装着・実路走行での車内において、リアルタイムでのタイヤ力データの収集を進めている。これらが実現すれば、移動における安全・安心への貢献だけでなく、タイヤの使われ方を把握することによる新たな付加価値への可能性が広がるとしている。
【お詫びと訂正】記事初出時、人工知能の表記に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。