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TRI-ADとDMP、HDマップ更新に車載カメラのデータを活用する実証実験を4月開始

2021年度からの運用開始を目指す

2020年3月17日 発表

トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント株式会社 Automated Driving Strategy and Mapping バイスプレジデント マンダリ・カレシー氏

 TRI-AD(トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント)とDMP(ダイナミックマップ基盤)は3月17日、自動運転用のHDマップ(高精度地図)の効率的な更新について、双方の技術を活用する新たな実証実験を4月から進めることで合意した。

 自動運転の実現に向けて必要とされるHDマップでは、実際の道路上にあるペイントや構造物の変化について正確に、迅速に把握して、効率的に地図を更新することが求められる。HDマップの更新は、現在は主に道路工事情報などに基づき、計測車両で現地調査を行なって道路の変化を把握しており、調査費用や迅速さが課題となっている。

 新たな実証実験では、TRI-ADのオープンなソフトウェアプラットフォームである「AMP(Automated Mapping Platform:自動地図生成プラットフォーム)」により、車両センサーで収集した画像などのデータから道路上の変化した箇所を検出。DMPのHDマップを効率的に更新する可能性について実証する。

 具体的にはTRI-ADの画像認識技術を活用し、一般的な車両に搭載可能で普及価格帯のカメラによって入手したデータから、道路上にある変化した箇所を自動検出。日本国内の自動車専用道路の画像といったデータを使い、AMPの変化点抽出技術を活用することで、DMPのHDマップ更新が効率的に行なえることを確認する。

 この手法により、計測車両の走行距離や台数、人件費を大幅に削減しつつ、迅速にHDマップを更新できるようになるとしており、実証実験後、2021年度からの運用開始を目指している。また、さらなる更新頻度の短縮に向けた方策の検討や、DMPのグループ企業で北米でHDマップを提供しているUshr, Inc.のデータ更新に関してもAMPを活用することを検討していくという。

 この発表について、TRI-AD Automated Driving Strategy and Mapping バイスプレジデント マンダリ・カレシー氏は「私たちが開発するAMPの技術を活用することで、多くの自動車メーカーと連携し高品質なHDマップの開発と管理において業界をリードするDMPと、地図更新に資する変化点抽出技術で連携できることをうれしく思います。本連携を通して、自動車メーカーを含むユーザーに最新の地図データを提供することができ、さらにAMPの技術の開発も加速させることができます。これにより、TRI-ADが目指す安心・安全な自動運転をより多くの人に提供できると考えています。TRI-ADが持つ技術開発の促進や活用範囲の拡大なども視野に入れ、今後も連携を強化していきます」とコメント。

 また、DMP 代表取締役社長 稲畑廣行氏は「DMPグループは、卓越したデータ精度により日本国内と北米において乗用車向けにHDマップを提供するリーディングカンパニーです。現在、道路状況の細かな変化をタイムリーに捉えることにより、HDマップを高い鮮度で保持することを考えており、TRI-ADが開発するAMPの変化点抽出技術と連携することにより、DMPグループはマップ更新のカバレッジとサイクル時間を改善できると考えております。また、この取り組みがすべてのクライアントの地図更新サービスの改善に役立つとも考えています。TRI-ADと協力して、AMPのさらなる活用範囲の拡大を検討していくと共に、他の自動車メーカーなどが保有する画像などのデータを広く利用することで整備コストの低減にも努めていきます。その結果、すべての人にとってHDマップの品質が向上すると考えております」とコメントしている。