ニュース

ジェイテクト、EVの駆動ユニットのモーター回転速度領域を高める「グリース潤滑玉軸受」

新技術で世界最速となるdmn150万以上の高速回転を可能に

2020年5月28日 発表

グリース潤滑玉軸受

 ジェイテクトは5月28日、EV(電気自動車)の駆動ユニットのモーター用として世界最速となるdmn150万以上の高速回転を可能にする「グリース潤滑玉軸受」を発表した。2025年の量産を予定している。

 近年急速な勢いで普及しているEVは、環境への負荷が低く、今後ますます厳しさを増す燃費規制をクリアする技術として注目され、電力の高効率化や安全性・快適性の向上のためのさらなる技術開発が急務となっている。中でも自動車の燃費・電費の向上に直結するモーターの小型・高出力化が進んでおり、モーターを支持する軸受にはさらなる高速回転性能が要求され、高速回転下でも破損や焼付きが発生しない軸受の開発が課題となっていた。

開発品の特徴

 ジェイテクトは、この課題を解決するEV駆動ユニットのモーターに使用する高速回転グリース潤滑玉軸受の開発に成功。軸受の高速化技術としては、冠型の樹脂保持器の形状を工夫する手法が一般的だが、さらなる高速回転化による遠心力の増大により、保持器の変形や他部品との干渉による破損や焼付きという問題が発生してしまう。しかし「グリース潤滑玉軸受」は、冠形の保持器とはまったく異なった革新的な新形状の保持器の開発と、独自開発のグリース採用により、さらなる高速回転への対応を可能にした。

 この開発により、軸受幅を拡大することなく、グリース潤滑玉軸受の高速性をさらに向上させ、dmn150万以上を実現。モーターの小型・高出力化による高速回転化に対応でき、電費の向上と航続距離の延長に貢献する。

評価結果 ※dmn:ベアリングの回転性能を表す値でピッチ円直径(mm)×回転速度(min-1)

新形状樹脂保持器の開発

・ボールポケット形状の工夫、軽量化設計で遠心力による影響を軽減
・グリースを保持する形状を採用し、潤滑性向上
・従来の高速回転用冠形保持器と比較して、保持器の軸方向寸法コンパクト化

ジェイテクト独自開発のグリース

・高温高速条件下での潤滑性能、及びグリース寿命の向上