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日産、「リーフ NISMO」一部改良。2020年モデルはより高いコーナリング性能を獲得

スプリングやステアリングギヤ比の設定変更でスポーティさに磨きがかかる

2020年7月20日 発売

価格429万4400円

駆動系を煮詰めたことで、よりスポーティさが磨かれた「リーフ NISMO」2020年モデル

 日産自動車は7月20日、EV(電気自動車)「リーフ」をベースにしたNISMOロードカーシリーズである「リーフ NISMO」を一部改良して発売した。価格は429万4400円。セットオプション(プロパイロット、インテリジェント アラウンドビューモニター、インテリジェント ルームミラーなど)は別途23万2100円となる。

 2018年7月の発売から早くも2年が経過したリーフ NISMO。その間もNISMOのスタッフは飽くなき探求心で、より気持ちよく、より楽しく走れるようにと細部を煮詰める開発を続け、その結果さらなるスポーティさを引き出すことに成功した。

 2020年モデルの主な変更点としては、まずステアリングのギヤ比が18.3から14.9へ変更されたことが挙げられる。この14.9という値は「フェアレディZ」などスポーツカーと同等レベル。さらにEPS(電動パワーステアリング)の制御定数をチューニングし、これにより少ない操舵角でのコーナリングが可能になると同時に、ドライバーが意図した通りにステアリングが切れるよう、しっかりとした操舵力を実現したという。

専用本革・アルカンターラ巻3本スポークステアリングには、レッドセンターマーク、レッドステッチ、ガンメタクローム加飾が施される(2018年モデル継承)
専用電制シフトはBレンジ、ガンメタクローム加飾付き(2018年モデル継承)
エアコン吹き出し口やパワースイッチには専用レッドフィニッシャーが付く(2018年モデル継承)

 また、IDM(インテリジェントトレースコントロール)も、ステアリングのギヤ比の変更に合わせて最適合を実施。S字コーナーなどステアリングの切り替えしが発生するシーンでの、初期応答の向上と巻き込み向上によりロール量の低減を実現した。

 さらにコーナリング性能を高めるために、前後サスペンションのスプリングを変更。フロントのバネ定数を28N/mmから32N/mmへと14%アップ、リアは48N/mmから60N/mmへと25%アップ、高めたバネレートに合わせて減衰力をフロントは伸び縮みともに10%アップ、リアは伸び側を30%アップ、縮み側を10%アップさせている。また、リアのバンプラバー(サスペンションの底付緩衝材)をノーマルのゴムからウレタン製へと変更した。この変更によりコーナリングスピードが向上している。

前後サスペンションのスプリングを変更。さらにリアのバンプラバーをウレタン製へと変更した
専用18インチアルミホイールは2018年モデルから変更なし

 加えてリーフ NISMOの加速性能に合わせて、踏力に対する油圧コントロールをチューニングすることで、ブレーキが効き始める立ち上がりをより鋭くさせ、制動力とブレーキフィーリングを向上させた。

 ABS(アンチロックブレーキシステム)およびTCS(トラクションコントロールシステム)を含めたVDC(ビークルダイナミクスコントロール)も専用チューニングが施され、スポーティな走行に合わせてTCSの制御解除を早めることで、ドライ路面の限界走行シーンでの性能を向上。より素早いコーナー出口からの加速が可能となった。

レカロシートはオプション設定。NISMOの刺しゅうがあしらわれる。価格は運転席と助手席の2脚で37万4000円
通常シートは2018年モデルから変更はない

 またオプション品となるが、より高められたスポーティ性能に合わせ、クルマとの一体感を向上させてくれるレカロ製の専用シートも用意。従来のサイドサポート(腿の横)構造でロール方向の体の動きを抑えるのに加え、シートバック(背もたれ)の形状を見直し、肩甲骨を面で支える構造としたことで、ヨー方向の体の動きを抑え、クルマとの一体感を向上させ、より的確なステアリング操作が可能となった。さらにシートヒーター機能もそのまま使える仕様となっている。

リーフ NISMO 2020年モデルのボディサイズは4510×1790×1570mm(全長×全幅×全高)。2018年モデルより全高が20mm高くなったのはドルフィン形状のアンテナのため。これはセットオプションを装着した場合のみ。可倒式アンテナでは1550mmで同じ

 標準車の「X」グレードをベースにするリーフ NISMOのエクステリアは、専用のフロントバンパー、フロントグリル、LEDハイパーデイライト、ドアミラー、サイドシルプロテクター、リアバンパー、リアフォグランプなどは変更なし。

 SUPER GTのNISSAN GT-Rが実戦で培ったノウハウをフィードバックしているという専用フロントバンパーでは、NISMOロードカーシリーズの共通デザインである「レイヤード・ダブル・ウイング」と「バンパー両サイドL字形状」を採用。2段に重ねたウイングが特徴的なレイヤード・ダブル・ウイングは、フロントスタイルをスポーティにするだけでなく、上段ウイングを流れる風で直接ダウンフォースを生み出し、下段ウイングを流れる風で床下のダウンフォースを獲得。2つのウイングで風を制御して、効率的なダウンフォースの向上が図られている。

専用フロントバンパー
専用サイドシルプロテクター
専用リアバンパー

 さらに、ボディサイドの空気の流れを整える専用サイドシルプロテクターも、外側に大きく張り出したレッドストライプ部が、ダウンフォースの向上に貢献。専用リアバンパーも、コーナーエッジを後方に移動して空気抵抗を削減。

 エアロキットによりCd値を悪化させることなくダウンフォースを向上させるとともに、精悍なスタイリングはそのまま維持されている。また、軽量化にもひと役買うアイテムとして採用したスポーティなデザインのNISMO専用18インチアルミホイールは、ホイール表面を流れる空気抵抗も低減させることに成功している。