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マクラーレン、ロングテール第3弾となる「765LT」日本初公開

徹底的な軽量化で乾燥重量1229kg。パワーウェイトレシオは驚異の622PS/t

2020年11月5日 国内初披露

国内初披露となった765LT

 マクラーレン・オートモーティブは11月5日、全世界765台限定となるハイパフォーマンスカー「765LT」の実車を、オンライン発表会にて日本国内初披露した。デリバリーは2020年内開始を予定していてるという。

 会場ではマクラーレン・オートモーティブ・アジア 日本代表の正本嘉宏氏が登壇し、765LTは2020年3月に“究極のトラックエディション”としてLTシリーズの第3弾、スーパーシリーズのセカンドジェネレーションとして発表された新型モデルであると紹介。

マクラーレン・オートモーティブ・アジア 日本代表の正本嘉宏氏

 続けてこの「LT=ロングテール」は、1997年に「マクラーレン F1 GTR」をさらに100kg軽量し、さらに戦闘力が高められた「マクラーレン F1 GTR Longtail」が起源であることと、GTR Longtailがこの年のル・マン24時間レースで、3位以下に30周以上の大差を付けてワンツーフィニッシュを成し遂げた伝説のマシンであると解説した。

マクラーレン F1 GTR
マクラーレン F1 GTR Longtail

 このLTのスピリットをロードゴーイングカーにフィードバックさせた最初のマシンが2015年当時“もっともスパルタンなマクラーレン”と称された「675LT」で、続いて2018年には屋根の後方に特徴的な排気口“トップエグジットエキゾースト”を持つ「600LT」が誕生。2019年にはオープンモデルの「600LT Spider」も投入され、マクラーレンのビジネス基盤を支えてきたマシンでもあるという。

第1弾の675LT
第2弾の600LT

 今回導入される765LTは、マクラーレンの最高のテクノロジーと英知を結集させて完成したモデル。ベースとなるのはオールラウンダーの「720S」で、よりサーキット性能をチューニングしたモデルとなり「究極のドライバーズエンゲージメント」「圧倒的な軽量化」「サーキット向きのドライビングダイナミクス」「最適化されたエアロダイナミクス」「パワーアップされたエンジン」「限定生産という希少性」という6つの要素を併せ持つ。

765LTに込められた6つの要素

 続いて765LTチーフエンジニアのジェームズ・ウォーナー氏によるビデオ解説が行なわれた。

 ウォーナー氏によると、前後バンパーとフロントスプリッター、リアウイング、サイドスカートといったボディーワークで変更した新しい部分はすべてカーボンファイバー製になり、さらにフロントとサイドのウィンドウガラスを0.8mm薄くし、リアウィンドウはポリカーボネートを採用。また、リアのメッシュ部分は形状を変更したことで軽量化とともにエンジン冷却性能も向上。さらに4本出しのマフラーをフルチタン製にしたことで、スチール製よりも40%の軽量を実現したという。

チーフエンジニアのジェームズ・ウォーナー氏
当初は最低でも70kgの軽量化を目標としていたが結果は80kgの軽量化に成功
カーボンファイバー製フロントスプリッター
カーボンファイバー製サイドスカート
大型アクティブリアウイング
アクティブリアウイングもカーボンファイバー製
4本出しのチタンマフラー

 内装も重量軽減がテーマとされ、カーボン製センターコンソール、超軽量レーシングシート、カーボン製パドルシフトを採用。さらにフロアカーペットの面積も減らしたという。その代わりエンジンサウンドが車内にダイレクトに伝達し、よりレーシーな雰囲気を高めている。また、4点シートベルト用のハーネスバーや、エアコン、12スピーカーのオーディオなどは標準装備せずオプション設定となる。その結果、トータルで標準の720Sから80kgの軽量化を実現し、乾燥車両重量は1229kgとなっている。

超軽量レーシングシート

 パワートレーンに関しては、ターボにかけるブースト圧を上げたことで、シリンダー内の圧力が高まるので、新成型の鍛造ピストンやヘッドガスケットに変更することで対応。さらに制御するコンピュータの燃料マップの更新、油冷システムも再構築したことで、V型8気筒 4.0リッターツインターボエンジンは、最高出力765PS、最大トルク800Nmを実現したという。

 トランスミッションはドライバーとの一体感を重視して、マクラーレンの公道モデルとしては初めてギヤレシオを再設計。7速で最高速度に達し、その他のギヤはすべてクロスレシオ化し鋭いレスポンスとなっている。

 サーキット走行を前提としているので車高はフロントを5mmダウン、トレッドも6mm拡大したことでメカニカルグリップを向上。全体的にも重心が下がり、ダウンフォースも増大したという。また、ダンパーは減衰力が強められ、同時にスプリングもより硬いタイプに交換されている。

サスペンショントピック
ブレーキトピック
エアロダイナミクストピック

 765LTは「コンフォート」「スポーツ」「トラック(サーキット)」の3つのドライビングモードを内蔵する「アクティブ・シャシー・コントロールII」を搭載。タイヤはピレリとの共同開発で、限界域のハンドリングに加えて、限界以下の特性にも力を注いだことで、抜群の安定性とコントロール性を両立できたという。

 キャリパー本体は「マクラーレン セナ」と同じものが標準で装着され、キャリパー剛性が高く、ペダルの踏みしろも短いため、瞬時に反応してくれるという。さらにサーキット走行用のオプション「トラックパック」にはセナにも装着されている、耐久性と熱伝導率が高くサーキット走行でも高い耐フェード性を発揮するカーボンブレーキディスクが設定される。

ドライバーとの一体感が重視された作り
高い安定性とコントロール性を両立
オプションで高性能なカーボンローターも設定される

 またF1からインスパイアされたキャリパー一体型の冷却ダクトも装着したことで、ブレーキパッドの温度を50℃低減させ、サーキットの連続走行を安定させるという。そしてリアウイングの効果もプラスされ、200km/hからの制動距離はわずか108mという性能を誇るという。

 また、ウォーナー氏は「サーキット走行ではブレーキフィーリングがとても重要なので、ブレーキキャリパーだけは、唯一720Sより重量増となっている」と解説中に明かしている。

パワートレイントピック
パフォーマンストピック

 正本氏は「LT=ロングテール」のスタイルを生み出すカーボンファイバー製の大型アクティブリアウイングが、720Sより表面積を20%拡大し、装着位置も60mm上昇させたことで、いかなるコンディションでも強力なダウンフォースを発生させ、0-100km/h加速は2.8秒、また0-200km/hは7.0秒と、セナの6.8秒に肉薄する性能を誇り、パワーウェイトレシオは驚異的な“622PS/tである”とアピールして発表会は幕を閉じた。

765LT: Fearless Engineering(1分)