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角田裕毅選手、F2最終戦を2位で年間ランキング3位 ミック・シューマッハ選手が年間チャンピオン獲得

F1スーパーライセンス取得を確実に

2020年12月4日~6日 開催

F2最終戦のスプリントレースで2位表彰台を獲得した角田裕毅選手。年間ランキング3位となりF1スーパーライセンス取得を確実にした (c)Getty Images / Red Bull Content Pool

 F1直下のカテゴリーとなるFIA F2選手権の最終戦、第12戦サヒールのレース2(スプリントレース)が12月6日(現地時間)に行なわれた。前日のレース1(フィーチャーレース)で優勝し、レース2は8番グリッドからスタートした角田裕毅選手は追い上げて2位表彰台を獲得。年間ランキング3位を確定させた。

 さらにレース中のファステストラップポイントをマークした角田選手は、ランキング2位のアイロット選手に1ポイント差となる200点を獲得しており、ルーキーの中では最上位という結果をマークした(ランク1位、2位は2年目)。こうした結果は、F2の前身であるGP2やF3000/F2などを含めて日本人ドライバーとしては過去最高の成績だ。

 レースに優勝したのは角田選手のチームメイトのジェハン・ダルバラ選手。チャンピオン争いは、ランキング1位、2位がノーポイントで終わったため、レース前の順位どおりミハエル・シューマッハ氏の長男であるミック・シューマッハ選手が年間チャンピオンを獲得した。

F2最終戦 スプリントレースの表彰台。角田選手のチームメイトのジェハン・ダルバラ選手が優勝。角田選手は2位 (c)Getty Images / Red Bull Content Pool
チームメイトの優勝を祝う (c)Getty Images / Red Bull Content Pool

角田選手は8番グリッドからスタート。11位まで順位を下げるが、タイヤをいたわりながら順位を上げる

 スタートで11位に順位を落とした角田選手は、徐々に追い上げて6周目にはマゼピン選手を追い越し8位に上がる。その追い越した周にファステストラップも記録し、前との差を詰めていく、ファステストラップをマークして入賞すればファステストラップポイントを得られる。

 角田選手はタイヤの使い方に定評があるだけに、この調子でタイヤをセーブしながら前を追いかけて行くことが期待された。

 F2のチャンピオン争いは、ランキング1位のミック・シューマッハ選手と2位のカラム・アイロット選手によって行なわれているが、序盤はシューマッハ選手が3位、アイロット選手が4位という熱い展開だ。

 その前ではトップを走るダン・ティクタム選手と、角田選手のチームメイトであるジェハン・ダルバラ選手が2位でトップを争っている。トップグループはタイムが上がらず、8位の角田選手はトップグループに追いついていく。

 トップグループでは3位を走っていたミック・シューマッハ選手が、チャンピオンを争うアイロット選手に抜かれてしまう。そしてタイヤを完全に使い切り、タイヤ交換のためにピットインしてトップグループから脱落してしまった。

 シューマッハ選手はノーポイントになる可能性が濃厚になってきたため、アイロット選手は逆転を目指したいが、優勝するか、2位+ファステストラップポイントを取る必要がある。ファステストラップは角田選手がマークしているため、アイロット選手としては優勝を目指すしかない(その後ファステストラップはミック・シューマッハ選手がマークしたが、入賞しない限り、ポイントは与えられない)。

 角田選手は乱戦の中徐々に順位を上げていき、26周目には表彰台の3位まで順位を上げる。

8番グリッドから2位へ。年間ランキングでも3位を確定し、誰もが納得するF1昇格へ

 角田選手は残り2周で2位を走るダン・ティクタム選手に追いつき、オーバーテイクする。しかし、その後のメインストレートでDRSを使ったティクタム選手に逆襲され追い越し返される。ここからが角田ショーの開始だった。

 コーナーでフラフラするティクタム選手の動きをよく見て、最終週の最終コーナーで見事にオーバーテイクし、2位に上がってチェッカーを受けた。

 優勝は角田選手のチームメイトのジェハン・ダルバラ選手。今シーズンF2にデビューしたダルバラ選手はこれが初優勝。そして2位に入った角田選手と合わせてカーリンチームは今シーズン初めての1-2フィニッシュを決めた。3位は昨年スーパーフォーミュラにも参戦していたダン・ティクタム選手。

 チャンピオン争いはシューマッハ選手、アイロット選手のどちらもノーポイントに終わり、レース前のランキングどおりでミック・シューマッハ選手がチャンピオンとなり、来年のハースからのF1デビューに向けて華を添えることになった。

 ランキング2位はアイロット選手。ランキング3位はアイロット選手との差を詰めた角田選手が入った。角田選手はファステストラップポイントも獲得し(ファステストラップはシューマッハ選手がマークしていたが、入賞した選手の中では角田選手が最速)、ポイントを200点に伸ばし、アイロット選手に後1点と迫る価値のある3位となった。

 角田選手は今シーズンのルーキー(シューマッハ選手とアイロット選手は2年目)として最上位。4回のポールポジション、3勝という記録は、前身となるGP2時代、そしてさらにその前のF3000やF2などを含めて日本人ドライバーとしては過去最高の記録で、F1昇格に向けて誰もが納得する結果といってよい。

 レース後の公式会見で角田選手は「先週は本当に厳しく、特に予選ではつらかった。これまでサポートしてくれた、チーム、レッドブル、ホンダなど全ての人に感謝したい。(来年F1に昇格だねという質問に対して)まだ発表されていないし、そもそも自分もどうなるのか知らない、すべてはレッドブルが決めることでその発表を待ちたいが、そうなれば鈴鹿の日本のファンはとても喜んでくれると思う」と述べ、日本のファンにいい結果をもたらすことができのは、とてもうれしいと述べた。

前日のフューチャーレース優勝後の一コマ。中央はアルファタウリチーム代表フランツ・トスト氏、右手前はホンダ F1マネージングディレクター 山本雅史氏 (c)Getty Images / Red Bull Content Pool
F2最終戦 第12戦サヒール 決勝結果(暫定)
順位ドライバーチーム周回数(2位以下は1位とのタイム差)
1ジェハン・ダルバラカーリン34周
2角田裕毅カーリン3.5
3ダン・ティクタムDAMS3.9
4ガンユー・ジョーユニビルトーシ5.6
5ロバート・シュワルツマンプレマ7.5
6ジュリアーノ・アレジMPモータースポーツ9
7ルカ・ギヨットハイテック11
8フィリペ・ドゥルゴビッチMPモータースポーツ13.8
9ニキータ・マゼピンハイテック14.5
10カラム・アイロットユニビルトーシ16
11ペドロ・ピケチャローズ16.1
12クリスチャン・ルンガーART17
13ルイ・デルトラチャローズ20.1
14マーカス・アームストロングART21.8
15ロイ・ニッサニートライデント23.6
16佐藤万璃音トライデント26
17ショーン・ゲラエルDAMS26.7
18ギリェメル・サマイアカンポス28.5
19ミック・シューマッハプレマ35.9
20アーテム・マルケロフHWA59.7
21テオ・プルシエールHWA+1周
Rラルフ・ボシュンカンポスDNF
F2 年間ランキング(暫定)
順位ドライバーポイント
1ミック・シューマッハ215
2カラム・アイロット201
3角田裕毅200
4ロバート・シュワルツマン177
5ニキータ・マゼピン164
7ガンユー・ジョー151.5
6クリスチャン・ルンガー149
8ルイ・デルトラ134
9フィリペ・ドゥルゴビッチ121
10ルカ・ギヨット106