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トヨタ、究極の“ジャスト・イン・タイムモビリティ”を目指す「e-Palette」発表会レポート 自動運転走行するe-Paletteを公開
2020年代前半の商用化に向けe-Paletteの運行管理システムを開発
2020年12月23日 08:30
- 2020年12月22日 発表
トヨタ自動車は12月22日、実用化に向けて進化をさせた「e-Palette」に関するオンライン発表会を開催、新たにe-Paletteの運行管理システムを開発したことを明らかにして、e-Paletteが自動運転走行するようすを公開した。
同発表会に登壇した同社 コネクティッドカンパニー プレジデントの山本圭司氏は、e-Paletteの運行管理システムはトヨタ生産方式（TPS）の思想に基づいた究極の“ジャスト・イン・タイムモビリティ”を目指したものであると強調、2020年代前半の商用化を目標に掲げた。
e-Paletteは、2018年1月の「CES」で発表された未来のモビリティサービスを実現するAutono-MaaS専用EV（電気自動車）と位置付けされた車両。2019年の東京モーターショーにおいて、自動運転の機能を備えた車両が披露された。
そして、今回の発表でe-Paletteの運行を支える運行管理システムを開発したことが明らかにされ、今後、2021年7月に開催を予定している東京2020オリンピック・パラリンピック大会で、選手村内で巡回するバスとして、選手や大会関係者の移動をサポートする予定。
さらに、2020年代前半には、さまざまなパートナーとともに、複数エリア・地域での商用化を目指すとともに、トヨタ自動車東日本 東富士工場（静岡県裾野市）の跡地を利用した実証都市「Woven City」での運行も計画している。
また、山本氏は「先日の決算発表で社長の豊田がトヨタフィロソフィーとしてご紹介した通り、われわれのビジョンは『可動性を社会の可能性に変える』であり、『幸せを量産するために、トヨタに働く一人ひとりが、人類の幸せにつながる行動を起こすこと』だと考えています。これを実行する基盤の1つがe-Paletteです。運行管理システムにより進化したe-Paletteは、未完成で常に成長し続ける街『Woven City』で鍛えられ、共に成長し続けます」との意気込みをコメントした。
究極の“ジャスト・イン・タイムモビリティ”を目指した「AMMS」、1人で複数台管理できる「e-TAP」で構成されるe-Paletteの運行管理システム
オンライン発表会では、山本氏から新たに開発されたe-Paletteの運行管理システムについての説明があり、これまでに発表されている「MSPF（モビリティサービス・プラットフォーム）」の新たな機能として加わる、クルマとつながる「AMMS（Autonomous Mobility Management System）」とヒトとつながる「e-TAP（e-Palette Task Assignment Platform）」で構成されるシステムとなることが紹介された。
AMMSは、TPSによる究極の“ジャスト・イン・タイムモビリティ”を目指して「必要な時に、必要な場所へ、必要な台数だけ」e-Paletteを配車する。リアルタイムの移動ニーズに基づき運行計画をフレキシブルに変更し、自動で車両を投入・回送、車両の追加投入によって生じる運行間隔のバラツキを防ぎ、等間隔ピッチでの運行を実現させるという。
また、車両の異常を自動で検知した場合、自動で車庫へ回送し、代替車を即座に運行ルート上に投入することで安定した運行を支える。さらに、緊急時には遠隔での車両停止／復帰が可能であり、二重で安全管理ができ、利用者により安心して利用してもらえるようにした。
e-TAPでは、TPSにおける“自働化”の考え方に基づき、「目で見る管理」を導入。車両やスタッフの「異常の見える化」により、車両を1人1台常時監視するのではなく、1人で複数台管理をすることができるため、限られたスタッフでの運行を可能にした。搭乗員、保守員など、運行に必要なスタッフに対し、自動的に作業指示を行ない、遅れ／進みなどのタスク管理を実現することで、メンテナンスのリードタイムを短くでき、限られたスタッフでも高品質なサービスを提供することを可能としている。
e-Paletteの運行管理システムでジャスト・イン・タイムなモビィリティサービスの実現を目指す
今回発表したe-Paletteの運行管理システムによって、トヨタは「必要な時に、必要な場所へ、時間通りにいける」、また「必要な時に、必要なサービスやモノが、時間通りに提供される」というジャスト・イン・タイムなモビィリティサービスの実現を目指すとしている。
さらに同社では、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大により人々の生活様式が変化して「人と接触せずに移動する」、また「人が移動するのではなく、モノやサービスが来る」など、モビリティへのニーズの多様化、少子高齢化に伴うさまざまな移動の課題に対して、e-PaletteをはじめとするAutono-MaaSなどの新しいモビリティサービスが社会に必要とされる機会が増えてくると考えているという。
オンライン発表会に寄せられた質問に対して山本氏は、自動運転の実現に向けた課題について、自動運転の社会を作るには法整備や社会受容性を改めていく取り組みが必要である強調。そのためには、行政や自動車工業会を中心とした自動車業界全体での取り組みが必要と説いた。
続けて山本氏は「実際に自動運転車両もしくは自動運転の仕組みそのものは間違いなく社会の発展に寄与できるものだと思っております。ですから競争する領域、それから協調する領域をしっかり見定めながら、本当に業界が一丸となって、一緒に取り組んでいきながら、一日も早く世界の役に立てる、社会の役に立てる、自動運転技術の完成を自動車業界として目指して参りたい」との考えを話した。
