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トヨタ、低速自動運転EV「e-Palette(東京2020オリンピック・パラリンピック仕様)」の詳細公表。東京モーターショーに出展
最大20名、または最大4名の車いすユーザーが乗車可能
2019年10月9日 13:30
- 2019年10月9日 発表
トヨタ自動車は10月9日、自動運転車を利用したモビリティサービスとして東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に提供するEV(電気自動車)「e-Palette(東京2020オリンピック・パラリンピック仕様)」の詳細を公表。東京ビッグサイトを中心に開催される「第46回 東京モーターショー 2019」(プレスデー:10月23日~24日、特別招待日:10月24日、一般公開日:10月25日~11月4日)のトヨタブースに出展される。
e-Palette(東京2020仕様)は、ボディサイズが5255×2065×2760mm(全長×全幅×全高)で、ホイールベースが4000mm。最高速は19km/h、航続距離は150km。乗員は20名(オペレーター1名含む)で、車いすを利用する場合は4名+立ち乗り7名となる。
同社は2018年1月に「e-Palette Concept」を発表して、自動車会社から人々のさまざまな移動を支えるモビリティ・カンパニーへ変革することを宣言しており、同社初のAutono-MaaS(Autonomous VehicleとMaaS:Mobility-as-a-Serviceを融合させた造語)専用EVとしてe-Palette(東京2020仕様)を東京2020大会に十数台提供。選手村内の巡回バスとして選手や大会関係者の移動をサポートする。
前後対称の箱型デザインのe-Palette(東京2020仕様)
e-Palette(東京2020仕様)は前後対称の箱型デザインを採用し、タイヤを四隅に配置することで広い室内空間を確保。車内は身長に関係なく使いやすい手すりやシート、色弱者にも配慮した色の明度差をつけた床・内装トリム・シートなど、”Mobility for All”の体現を目指した。
最大4名の車いすユーザーが乗車可能で、ロングホイールベース、フラットフロアといった特長のほか、大開口スライドドア、低床フロア、電動スロープ、停留所への正着制御の採用により車いすユーザーを含めた複数人のスムーズな乗降を実現させた。
SAE4レベル4相当の低速自動運転を実現させたe-Palette(東京2020仕様)には、トヨタの車両制御プラットフォームに専用開発の自動運転システム(自動運転制御ハードウェアやソフトウェア、カメラや5台のLiDARなどのセンサー)を搭載し、さらに高精度3Dマップと運行管理によって低速自動運転を実現させた。
安全性では、周囲360度の障害物を常に検知し、周囲の状況に応じて最適な速度で運行。また、システム異常時には、車両に同乗するオペレーターが安全に車両を停止できる緊急停止ブレーキを装備。自動運転時に歩行者とコミュニケーションができるよう、アイコンタクトのように車両の状況を周りに知らせるフロントやリアのランプを採用した。
e-Palette(東京2020仕様)の開発責任者である牟田隆宏氏は「e-Palette(東京2020仕様)は、“Move” for All(すべての人に移動と感動を)をコンセプトに、あらゆる人に『移動』(“Move”)の自由を提供でき、移動を通じて心までも動かし『感動』(“Move”)を生むモビリティを目指しました。開発にあたっては、オリンピック・パラリンピックそれぞれの選手に選手村内での生活の様子を伺い、もっと手軽で便利、そして快適なモビリティが求められていると感じ、車両のさまざまな仕様に反映させてまいりました。e-Palette(東京2020仕様)による選手に寄り添った移動サービスの提供を通じて、東京2020大会の成功に貢献したいと考えています」とコメント。
同社は、e-Palette(東京2020仕様)を通じて蓄積した知見を活用して、さらなる進化を目指してさまざまなモビリティサービスに対応するe-Paletteの開発を進めていくとしている。