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ホンダF1 田辺豊治TD、新骨格パワーユニットは「長いPU人生の第一歩を踏み出した」

Red Bull Racing RB16B Honda(C)Getty Images / Red Bull Content Pool

 FIA F1世界選手権(以下、F1)は3月26日~28日、バーレーン国際サーキットにおいて2021年の開幕を迎える。それに先立ち同サーキットでは、3月12日から3日間の予定で公式テストが行なわれている。初日の公式テスト終了後、ホンダF1 テクニカルディレクター 田辺豊治氏のオンライン会見が行なわれた。

田辺豊治 ホンダF1 TD

 みなさま明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。今年はホンダF1参戦最終の年ということで、我々としては悔いのないように全力を尽くして、チームと一丸になって戦っていきたいと思います。

 本日、バーレーンでのプレシーズンテスト初日が終了しました。今回3日間ということで、従来はバルセロナでやるのがこのところ恒例になっていて。バルセロナは結構寒かったり雨降ったり、たまに雪降ったりというところです。バーレーンでは基本的に雨の心配はあんまり……ほとんどないに近いですかね。3日間基本的にフルに走れる、フルに走るぞというのを目的にしております。

 本日はちょっと風が強くて、雨じゃなくて砂が降ってってましたけど。砂だまりもできていて、午後の路面コンディションは若干わるくなったかなというところですが、雨よりも全然マシでした。ドライバーも熱い、34℃レベル(の気温)、路面温度も上がったという中で厳しい値だと思います。

 ホンダPU(パワーユニット)を搭載したレッドブル、アルファタウリ。その一部については。角田選手の後半になって燃料システムのトラブルで早めに走行を切り上げなければいけないという形で終了しました。

 そのほかの部分に関しては2チームともにトラブルフリーで、いろいろな形で、エアロのテストだったり、車体のセットアップだったり。我々としてはPUの各部の計測だったり、振動計測だったり、もろもろですね。

 今年のクルマをこれから使っていくにあたってのベースデータ取り、および車体、PUともにキャリブレーションの最適化、というよりは現在はまだそういうものを変えるどういう挙動を示すかというような形のスタディを始めた。今日はその中で順調にそのスタディが進んだ、といった状況になります。

「長いPU人生の第一歩を踏み出した」

 田辺TDは初日のテストを総括。角田裕毅選手のマシンには燃料システムのトラブルが出てしまい、車体側を含むトラブル対応に時間がかかると翌日のテストにも響いてくるため、テストを切り上げたという。

 2021年シーズンにホンダは新骨格PUとよばれるパワーユニットを投入したことが話題となっており、パワーは上昇し、熱効率も改善、熱効率の改善にともなってICE(内燃機関)からの廃熱を利用して回生を行なうMGU-Hにも手が入っている。全体的に手を入れたことから気になるのは信頼性だが、その点について田辺TDはどのような感触を得たのだろう。

「まだ初日です。(周回数は)139周と111周というレベルですのでなんとも言えません。耐久性という言い方をしてしまうと何とも……。この先長いPU人生の第一歩を踏み出したということです。まだ見えないのですがマイナートラブル的な、走り出して、サーキットで実際に使い出して、『あれ、これ何で出ちゃうの?』みたいなのは今日なかったという形です。そういう意味では、いい形で初日を走り切れたかなと思ってます」。

「この先2日、いいペースで走ってできるだけ距離を稼いで、ダイナモテストで使ったPUと比較などをしながら、実際に年間3基でやりくりしていく中での耐久性の見通しを立ていけるよう、長距離をここで走っていきたいと思ってます」。

 田辺TDは、本当は6000kmくらい走りたいが、3日間のテストで走ることが可能なのはせいぜい2000kmと語るも、初日の時点では想定外のトラブルも起きず、テストの手応えをつかんでいるようだ。

 また、バーレーンでのテストは例年のスペイン バルセロナテストと違って気温も高く、気温の条件が厳しい中での信頼性を確認していける。とくに今回の新骨格エンジンでは燃焼系に手が入った結果、熱回生を行なうMGU-Hも変化しており、高い気温の条件下で確認できるのはホンダにとって不利に働くことはないだろう。

 新骨格というとPUの剛性変化についても気になるところだが、これについて田辺TDは「PUはガチガチに強くしても意味がないですし、弱いとまた困ってしまうというところ。車体と総合的に、どこまでねじれや曲げが強ければいいかというところをチームと整合している」と語る。

 初日のテストにおいて、ホンダのPUには大きな問題は出ず、最多周回もトップタイムもレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手。テストは残り2日間、順調にテストメニューをこなし、2週間後の開幕戦でのパフォーマンスに期待したい。

セルジオ・ペレス選手(左)とホンダF1 テクニカルディレクター 田辺豊治氏(右) (C)Getty Images / Red Bull Content Pool