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ホンダF1田辺TD、F1イギリスGP後会見 23回あるレースのうちの1つのレース、気持ちを切り替えて残りのレースを1戦1戦大事に戦っていく

イギリスGPの1周目で激しく先陣争いをする、メルセデスのルイス・ハミルトン選手(左)とレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手(右)

 F1第10戦イギリスGPは、メルセデスのルイス・ハミルトン選手の優勝に終わった。レースは1周目の9コーナー(コプス)において、トップを走っていたレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手の右リアタイヤにメルセデスのハミルトン選手が接触し、はじき出されたフェルスタッペン選手はタイヤバリアーに激突、リタイアに終わった。

 ハミルトン選手には、そのアクシデントは避けることが可能だったとして10秒のタイムペナルティが出されることになったが、直接のライバルが消えたレースでハミルトン選手は後半追い上げ、優勝を飾ってみせた。

 レッドブル・ホンダとしてはセルジオ・ペレス選手もノーポイントに終わり、ドライバー選手権ではフェルスタッペン選手のリードは8点に縮まった。同じようにコンストラクター選手権では4点差とリードは一挙に消滅して「振り出しに戻る」という状況になっている。

F1第10戦イギリスGP、メルセデスのハミルトンが母国GPで優勝 ホンダF1は6連勝ならず

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1338949.html

 そうしたイギリスGP終了後、ホンダF1 テクニカルディレクター 田辺豊治氏のオンライン会見が行なわれたので、その模様をお届けしていく。

シーズンが終わったときに、イギリスGPがターニングポイントだったと言われないようにこの先1戦1戦を大事に戦っていく

ホンダF1 テクニカルディレクター 田辺豊治氏(オーストリアGP時)

──それでは田辺TDから本日のレースの振り返りを。

田辺氏:今日のイギリスGPは、レッドブル、ホンダF1それぞれのファクトリーがあるミルトンキーンズ近くのサーキットということでホームレースだったが、残念な結果に終わった。特に今回のレースではスプリント予選が初めて行なわれ、そのあたりでもいろいろ難しいところがあった。

 そのスプリント予選でポールポジションを獲ったマックス・フェルスタッペン選手が1周目にルイス・ハミルトン選手に後ろから接触されてコントロールを失ってコースアウト、かなりのインパクトで一瞬ヒヤッとしたけど、クルマから出ることができて大事に至らなかった、それが幸いだった。

 セルジオ・ペレス選手はスプリント予選でスピンしてしまいリタイアということで、クルマの方を大きくパーツを変えたりして、ピットレーンスタートを選択した。戦略も含めていいところにいったけど結局はノーポイントに終わってしまった。

 アルファタウリの2台、スプリント予選に関してはルーキーの角田裕毅選手には難しい状況だったが、2台とも粘り強い走りでポジションを上げることができた。ただ、ピエール・ガスリー選手がパンクでピットに入らないといけなくなってしまい、その代わりに角田選手がホンダパワーユニットとしては唯一ポイント獲得を獲得してくれた。ルーキーの角田選手がきちんと走ってポイント獲得はよかったと思っている。

角田裕毅選手は10位で貴重な1ポイント獲得

 今年あと2回スプリント予選がある、週末のマネジメントはやってみてどうだったかをよく調査して、今後に備えたい。次戦は1週間空いてハンガリーとなる。夏休み前のレースで、何が起こるか分からないというレースになる可能性が高い。今回はわるい形でのリタイアになってしまったが、1戦1戦大事に戦うということで、しっかり準備をしてハンガリーに向かいたい。

──フェルスタッペン選手は体の方のダメージはないと聞いておりそれは何よりだが、パワーユニットの方のダメージはどうなのか?

田辺氏:最初にクルマがつり上げられたのを見たときにはかなりひどい状況だと思ったが、実車では映像で見るよりはダメージは小さいように見えた。しかし、クルマに乗せたままの見立てでは分からないので、ファクトリーできちんと確認して計測、判断する必要がある。

──一般的には51Gでどんな衝撃があると考えられるか?

田辺氏:当たり所によって全然違うので正直分からない。

──レッドブル・ホンダにとっては残念な結果だったが、シーズンを考えた上で、どのような分析をしているか?

田辺氏:非常に残念な結果だったことは事実だ。フェルスタッペン選手はポールポジションから出たのにリタイアに終わってしまったし、ペレス選手もスプリント予選でスピンがあり、ピットレーンスタートになってしまったことで難しいレースになってしまった。

 しかし、23回あるレースのうちの1つだし、まだ10レースしか終わっていないと考えれば、1戦1戦気持ちを切り替えてやっていくことが大事。終わってみたら、「イギリスGPがターニングポイントだったよね」と言われないようにやっていきたい。

──スプリント予選、金曜日からレース予選、パワーユニットのローテーション的にはどうか、次はモンツアのレースで行なわれるが?

田辺氏:スプリント予選に関しては、次の機会でも同じような作戦で行くかどうかは、今回のレースを振り返ってまとめた上で、それらを加味しながらローテーションなどを考えていきたい。そうしたことを毎回見直しかけながらやるしかないのでやっていきたいと思う。

──次戦のハンガリーについてはどんなレースになっていく見通しか?

田辺氏:ハンガリーは低速コースと位置づけられるサーキットになる。もう1つは8月の頭になるので、暑いレースになる。このため、低速で冷えない、スピードが遅い、冷却の効率があまりよくないという状況になる。そこでパワーユニットとして冷却系をきっちり押さえて、パワーユニットのマネジメントは車体との事前シミュレーションをしっかりやって望みたい。

10位に入り、1ポイントを獲得した角田選手

F1第10戦イギリスGP 決勝結果(暫定)

順位号車ドライバー車両周回数タイムポイント
144ルイス・ハミルトンメルセデス521時間58分23秒28425
216シャルル・ルクレールフェラーリ52+3.871秒18
377バルテリ・ボッタスメルセデス52+11.125秒15
44ランド・ノリスマクラーレン・メルセデス52+28.573秒12
53ダニエル・リカルドマクラーレン・メルセデス52+42.624秒10
655カルロス・サインツフェラーリ52+43.454秒8
714フェルナンド・アロンソアルピーヌ・ルノー52+72.093秒6
818ランス・ストロールアストンマーティン・メルセデス52+74.289秒4
931エステバン・オコンアルピーヌ・ルノー52+76.162秒2
1022角田裕毅アルファタウリ・ホンダ52+82.065秒1
1110ピエール・ガスリーアルファタウリ・ホンダ52+85.327秒0
1263ジョージ・ラッセルウイリアムズ・メルセデス51+1周0
1399アントニオ・ジョビナッツィアルファロメオ・レーシング・フェラーリ51+1周0
146ニコラス・ラティフィウイリアムズ・メルセデス51+1周0
157キミ・ライコネンアルファロメオ・レーシング・フェラーリ51+1周0
1611セルジオ・ペレスレッドブル・レーシング・ホンダ51+1周0
179ニキータ・マゼピンハース・フェラーリ51+1周0
1847ミック・シューマッハハース・フェラーリ51+1周0
NC5セバスチャン・ベッテルアストンマーティン・メルセデス40DNF0
NC33マックス・フェルスタッペンレッドブル・レーシング・ホンダ0DNF0

ドライバーランキング(F1第10戦イギリスGP終了後)

順位ドライバー車両ポイント
1マックス・フェルスタッペンNEDレッドブル・レーシング・ホンダ185
2ルイス・ハミルトンGBRメルセデス177
3ランド・ノリスGBRマクラーレン・メルセデス113
4バルテリ・ボッタスFINメルセデス108
5セルジオ・ペレスMEXレッドブル・レーシング・ホンダ104
6シャルル・ルクレールMONフェラーリ80
7カルロス・サインツESPフェラーリ68
8ダニエル・リカルドAUSマクラーレン・メルセデス50
9ピエール・ガスリーFRAアルファタウリ・ホンダ39
10セバスチャン・ベッテルGERアストンマーティン・メルセデス30
11フェルナンド・アロンソESPアルピーヌ・ルノー26
12ランス・ストロールCANアストンマーティン・メルセデス18
13エステバン・オコンFRAアルピーヌ・ルノー14
14角田裕毅JPNアルファタウリ・ホンダ10
15キミ・ライコネンFINアルファロメオ・レーシング・フェラーリ1
16アントニオ・ジョビナッツィITAアルファロメオ・レーシング・フェラーリ1
17ジョージ・ラッセルGBRウイリアムズ・メルセデス0
18ミック・シューマッハGERハース・フェラーリ0
19ニコラス・ラティフィCANウイリアムズ・メルセデス0
20ニキータ・マゼピンRAFハース・フェラーリ0

コンストラクターランキング(F1第10戦イギリスGP終了後)

順位チームポイント
1レッドブル・レーシング・ホンダ289
2メルセデス285
3マクラーレン・メルセデス163
4フェラーリ148
5アルファタウリ・ホンダ49
6アストンマーティン・メルセデス48
7アルピーヌ・ルノー40
8アルファロメオ・レーシング・フェラーリ2
9ウイリアムズ・メルセデス0
10ハース・フェラーリ0