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アストンマーティン、「V12 ヴァンテージ」ファイナル・エディション 世界限定333台の予約受付はすでに終了

2022年3月16日(現地時間)発表

V型12気筒エンジンが搭載される最後のモデル「V12 ヴァンテージ ファイナル・エディション」

 英アストンマーティンは3月16日(現地時間)、V型12気筒エンジンが搭載される最後のモデルとして「V12 ヴァンテージ ファイナル・エディション」を発表した。世界限定で333台が用意されるが、「かつてないほどの問い合わせが殺到」し、発表以前に完売したという。ファイナル・エディションの製作は2022年第1四半期に開始され、初回納車は2022年第2四半期に始まる予定。

 V12 ヴァンテージは2007年冬にコンセプトカーとしてデビューし、その約1年後にプロダクションモデルが登場した。現行ヴァンテージは2017年11月に発表され、パワートレーンはメルセデスAMGから提供を受けるオールアロイ製のV型8気筒DOHC 4.0リッターツインターボエンジンを搭載している。

 今回のファイナル・エディションはV12エンジンが搭載される最後のモデルとなり、パワーユニットは最高出力700PS/6500rpm、最大トルク753Nm/1800-6000rpmを発生し、最高速は322km/h、0-60mph(0-96km/h)加速は3.4秒とした。パワーウェイトレシオは390PS/tとしており、これはV8仕様のヴァンテージと比べて20%以上も高い数値になるという。また、V12エンジンのパワーとトルクはZF製の8速ATと機械式LSDを介して駆動輪に伝達。ファイナル・エディションに合わせてトランスミッションには専用キャリブレーションが施された。

オールアロイ製のV型12気筒DOHC 5.2リッターツインターボエンジンは最高出力700PS/6500rpm、最大トルク753Nm/1800-6000rpmを発生

 ボディまわりではワイドトレッド・シャーシを採用することでトレッドを約40mm拡大しており、ボディサイズは4514×1962×1274mm(全長×全幅×全高。全幅はミラーを含む)、ホイールベースは2705mmとした。軽量化のためフロントバンパー、クラムシェル・ボンネット、フロントフェンダー、サイドシルにカーボンファイバー、リアバンパーとデッキリッドにはコンポジットが使われ、さらに軽量バッテリや専用開発されたセンターマウントの2本出しエキゾーストシステムも採用。この新しいエキゾーストシステムはV12 ヴァンテージのスタイルとパフォーマンスに負けないサウンドを轟かせるとしており、厚さ1mmのステンレスで製作されたシステムはV8仕様のヴァンテージ比で7.2kgの軽量化を実現している。

 また、エクステリアではフロントバンパーデザインと呼応するフルワイドフロントスプリッターを装着し、ダウンフォースの強化と空力パランスの最適化を図るとともに、フロントのラジエターに大量のエアフローを導入するためフロントグリルを25%拡大。さらにV12 ヴァンテージ GT3のロードゴーイング・バージョン「ヴァンテージ GT12」のデザインを彷彿とさせる、エンジンの熱気の放出を促す“馬蹄形”エンジンベントが追加されているのも新しい。

ファイナル・エディションのボディサイズは4514×1962×1274mm(全長×全幅×全高。全幅はミラーを含む)、ホイールベースは2705mm

 足まわりでは新しいアンチロールバー、ブッシュ、スプリング、ダンパーアセンブリーで構成されるアダプティブダンピングサスペンションシステムを採用。スプリングレートはフロントで50%、リアで40%強化されるとともに、トップマウントの剛性も13%引き上げられた。また、アンチロールバー剛性はフロントで5%高められる一方で、リアは41%もソフトに設定された。これは乗員に快適性をもたらすための配慮で、リアにはテンダースプリングが組み合わされた。テンダースプリングはメインスプリングよりもスプリングレートが低く、ドライビングダイナミクスに影響を与えずに優れた乗り心地を提供するという。

 また、標準装備のカーボンセラミック・ブレーキ(CCB)システムはフロントが410×38mm径ディスクと6ピストンキャリパー、リアが360×32mm径ディスクと4ピストンキャリパーで構成され、CCBディスクはブレーキパフォーマンスの強化とバネ下重量の低減を同時に達成するだけでなく、高温下でも安定した制動力を発揮し、800℃においてもブレーキフェードを起こしにくい特性を提供する。アロイホイールは21インチが標準装備され、サテンブラックとサテンブラック・ダイヤモンドの2種類の仕上げが用意されるほか、さらに8kgの軽量化に繋がるサテンブラックの軽量ホイールもオプション設定された。すべてのホイールにはミシュランのハイパフォーマンス・タイヤ「パイロットスポーツ4S」(フロント:275/35R21、リア:315/30R21)が組み合わされる。

ファイナル・エディションのインテリア

 このファイナル・エディションについて、アストンマーティン最高経営責任者(CEO)のトビアス・ムアース氏は「偉大なスポーツカー・ブランドには、決まってヒーローカーが存在します。昨今のアストンマーティンにとって、それはV12 ヴァンテージです。初代V12 ヴァンテージ RSコンセプトが公開されたのは2007年です。アストンマーティン最大のエンジンを最小かつもっともスポーティなモデルに搭載するというアイデアは、全世界のお客さまやファンを虜にしました。このレシピは、数年をかけて磨かれた結果、大成功を勝ち取りましたが、本質は今も昔もまったく変わっていません。最速、最強、最高峰のダイナミズムを誇るV12 ヴァンテージとともに、この血統に幕が下ろされようとしています。歴代モデルに敬意を払いながら、アストンマーティンのドライビング・ダイナミクスの粋を具現化するV12 ヴァンテージは、至高の中の至高としてその名を残します」と述べている。