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橋本洋平の「ロータス カップ ジャパン」参戦記 レンタカーでも参戦できるレースを満喫してきました

6月26日に富士スピードウェイで行なわれた「ロータス カップ ジャパン」に参戦してきました

初のドライ、予選結果はいかに?

 以前もお伝えした通り、ナンバー付きレース「ロータス カップ ジャパン」の第2戦に参加させていただくくことになった。レンタル車両となるロータス「エリーゼ スポーツ 220」は以前乗った車両と変わらずの赤い21号車。一度は触れている車両だが、ドライ路面で走るのは初ということもあり、レースウイークの金曜日より練習を兼ねてセットアップを行なってみた。

 ドライでの走行をはじめると、さすがに前回のフルウエット状態とは勝手が異なり、コーナリングスピードはかなり高く苦戦。思うように性能を引き出せている感覚は薄い。さらに富士スピードウェイのストレートエンドでは、ナンバー付きながらもスピードリミッターがないことから220km/hオーバーを記録。1コーナーへ向けたブレーキングもなかなか難しい。けれども、これは今まで味わっていたナンバー付きレースの世界とは異なり、面白さにも繋がっており、ストレートではスリップストリームを使ってのオーバーテイクも行なえる楽しさがありそう。やはり富士を走るならこうでなくちゃ!

 セットアップはリアのスプリングを少し硬くしたり、車高を落としたり、ショックの減衰力を落としたり、タイヤのエア圧を高めてみたりとさまざまなことを行なったが、その1つひとつが即座に動きとなって現れてくるところがエリーゼの面白さ。ちょっとの変更でよくもわるくも変化していく過程がとても勉強になった。さすがは純粋なスポーツカー。車重900kg台の軽快な動きが、どんどん自分好みに仕上がっていく過程が楽しめる。

 予選は新品の横浜ゴム「ADVAN A052」を装着して初めての走行となる。新品タイヤはエアの上がり方がユーズドタイヤとは異なり上がりやすく、そこに経験値を持たない僕としてはかなりやりにくい状況だ。だが、このレースに帯同しているレースエンジニアの渡邊信太郎氏(SUPER GTをはじめ数々のレースを経験)が的確なアドバイスとセッティングをサポートしてくれるため安心だ。相談したところ、「エリーゼはフロントタイヤが温まりにくい傾向があるため、ウォームアップ走行を1周挟んでアタックをしましょう」と渡邊さん。さて、うまくいくだろうか?

 アタックを開始するとセクター1、セクター2はまずまずのタイムでクリア。新品タイヤがもっとも効果を発揮するセクター3がポイントとなりそうだ。だがしかし、スープラコーナーでスロー走行している車両に引っかかりTHE END。ニュータイヤの美味しいところは逃してしまうことに。さらにわるかったのはスリップストリームを一切使えなかったこと。こればかりは運もなかった。

 そこで気を落としている場合じゃないと、クーリングを挟み再アタック。予選後半に1分59秒562を記録したが、トップからコンマ5秒落ちのクラス3番手に留まることに。上の2台は旧型エキシージだからという言い訳もできるのだが、ニュータイヤのいいところを使えばポールも可能性がなきにしもあらずだっただけに悔やまれる。ただ、1つ朗報だったのは、トップから4位までがこのクラスのコースレコードだったこと。突貫工事の割にはまずまずの結果だったと自分を慰めたのでありました……。

スリップストリームの使い方が功を奏す

 決勝も予選と変わらず上のクラスの現行V6エキシージと共にレースを戦うことに。その車両は全部で5台いるため、自分のスターティンググリッドは8番手となる。前には予選で敗れた旧型直4エキシージが2台。つまり、エリーゼではトップだというのだからやや気分がよい(笑)。エキシージはルーフが開かないが、こちらは幌を取って走らなければならないというルール。空力はわるそうだが、この時期のレースとしては風通しがよくてドライバーはラク。10周のレースを戦うにはきっと有利になるでしょうとプラス思考でスタート!

 エンジンを6000rpm手前あたりでクラッチミートさせると、それがドンピシャ! かなりうまくトラクションが得られて前に出た。それは同クラスの2台も同様だったが、上のクラスの2台がスタートをミスしたため、1コーナー手前では大混乱だった。イン側に予選クラストップの長澤選手。コース真ん中に上のクラスのエキシージが縦に2台。最もアウト側のラインを選んだのがクラス2番手だった飯田選手。さて、どうする? 橋本洋平。きっとイン側は大渋滞になるに違いないとここで判断。エリーゼより200kgほど重くなるエキシージは、コーナリングのボトムスピードが遅く、手前でブレーキングするはず。よって、最もアウト側のラインを飯田選手に続いていくのが最適解だろうと追従したのだ。

 その判断はみごと正解! 続くコーナーまでに上のクラス2台を抜き去って、われわれクラス2の3台は順位通りに並んでいた。これは面白くなりそうだ。ヘアピンの進入でドンピシャのタイミングでアプローチできた僕は、続くダンロップコーナーの進入で飯田選手をパスさせていただいた。そこに至るまでスリップストリームが効いたおかげだ。これでクラス2番手となるが、2台でやり合っていたため、トップの長澤選手は離れてしまった。

 そこからはしばらく1人旅。ストレートに出ると出遅れた上のクラスのエキシージが1台凄い勢いで抜いていく。ここで少しのスリップストリームをいただきつつ長澤選手との差を縮めていくことに成功。その後のインフィールドは同等か向こうの方が速い感覚だ。さて、どうしたら抜けるのか? セクター3で確実にトラクションを与えつつ差を縮め、2周後の最終コーナー脱出でチャンスが訪れた。なんとここで長澤選手のスリップストリームに入れたのだ。コーナー立ち上がりから180km/hくらいまでは向こうが速いのだが、空気抵抗が高まるそれ以上になるとスリップが一気に効きはじめ背後へ。前に出ようとしたところで、さらなる援軍となる上のクラスのエキシージが僕のイン側にきて、そこにスリップを乗り換えたところ、グッとさらに前に出る感覚を得たのだ。結果、1コーナーでインに入ることに成功。続くコーナーまでに前に出ることができた。2クラス混走で上のクラスがスタート失敗していなかったら、こんな展開にはならなかっただろう。本当にラッキーな展開だ。

 その後は淡々とラップを重ねるが、長澤選手との差はずっと変わらず。チェッカーを受けるまで気を抜けない展開だったが、なんとかクラス優勝を手にすることに成功した。久々のスプリントレースはなかなかシビアで、終わればグッタリするほど。だが、それもいい思い出だ。200km/hオーバーのスリップストリーム使いまくりのいわゆる空中戦を楽しめたところもロータス カップ ジャパンならではの世界といっていい。ナンバー付きでもここまでの領域を楽しめるとは、さすがはロータス。レンタカーで参戦できる環境もあるので、興味がある方はぜひ参加してみることをオススメします!

なんとかクラス優勝できた今回のロータス カップ ジャパン。レンタカーでも参加できる気軽さがあるので、レースを楽しんでみたい人はぜひ参加してみてほしい