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JALとトヨタの共同イベント初開催の意義をTOYOTA GAZOO Racing プレジデント 佐藤恒治氏が語る

トヨタ自動車株式会社 TOYOTA GAZOO Racing プレジデント 佐藤恒治氏

 7月9日にコウノトリ但馬空港(兵庫県豊岡市)で開催されたJAL(日本航空)とトヨタ自動車の共同イベント「JAL×TGR FLY&RIDE OUTDOOR FESTIVAL」(以下、フライ&ライド)。但馬空港に就航するJAC(日本エアコミューター)のATR42-600型機の機内体験やヤリスWRCのデモランなどが空港敷地内で行なわれる特別なイベントとなっていた。

 イベントも開催半ばとなった7月9日午後、TOYOTA GAZOO Racing プレジデント 佐藤恒治氏が、トヨタとしてJALとともにこのイベント開催を行なった背景を語った。

「未来に向けて新しい何かを始めていければ」とTOYOTA GAZOO Racing プレジデント 佐藤恒治氏

 今回のイベントはJAL、日本航空さまとトヨタ自動車、豊岡市との共同開催になります。フライ&ドライブ、航空産業と自動車産業、ならびに地域と連携する形で何か新しい取り組みができないか、地域の方々に笑顔をお届けるすることはできないか、そのような思いからイベントを開催させていただいています。まだまだ試行錯誤の状態でありますので、何ができるかというのは、これからこのイベントを振り返りながら、未来に向けて新しい何かを始めていければと思います。

 多くのみなさんと連携することによって、日本でも有数の観光資源がありながら航空のトラフィックが減っている地域、そのようなところに対して少しきっかけ作りができないかという思いがありました。

 とくに、われわれと日本航空さまはWRC(世界ラリー選手権)のパートナーシップの関係にあり、お互い連携をしながら、モビリティやモータースポーツをもっともっとサステナブルで社会性の高い存在になれるようにということでさまざまな取り組みをしています。

 そのような意味でも、今回日本航空さまと一緒にこのようなイベントをさせていただくのは、相互の連携での新たな取り組みですし、企業の壁を超えて一緒に新しいものを生み出すお互いの会社同士の活性化にもつながると思っています。ある意味これがきっかけ作りとなり、これからいろいろな形で地域や航空産業、自動車産業の連携を図って新しいものを生み出していきたい、そんな思いを持っています。

但馬空港のノースエプロンでデモランを行なうヤリスWRC

空港でWRCのクルマが走るというのは初めての取り組み

 佐藤プレジデントがイベント背景を語った後、簡単な質疑応答が行なわれた。

──今回、日本航空との取り組みで但馬空港のある豊岡市でイベントを開催されています。トヨタ自身もTGRラリーチャレンジという形で地域の町おこしに取り組んでいますが、ここでイベントを行なったことで、この地域でのラリーイベント開催の可能性などは見えてきたのでしょうか?

佐藤プレジデント:大変豊かな自然があり、今回のイベントにおいて行政の方々のご理解もあり、将来何らかのことがやれるといいなという期待感はすごく得られました、とくに日本航空さんとの連携で、この地域の方のみならず、この地域の魅力をより遠方の方々にも知っていただいて魅力を発信していく、つながっていくんですね。そういうパートナーシップが生み出す新たなバリューを考えていけるといいなと思っています。

──フライ&ドライブのイベントでは、トヨタの燃料電池バス「ソラ」の体験搭乗やレクサスの新型バッテリEV「RZ」の展示などカーボンニュートラル関連の体験や展示が行なわれているのが印象的でした。日本航空は現在航空機用代替燃料「SAF」に取り組んでおり、トヨタもカーボンニュートラル燃料車両の開発を行なっています。そのような面でも連携が図られていくのでしょうか?

佐藤プレジデント:まだ具体的にカーボンニュートラルフューエルでの連携というところまでの話には至っておりません。お互いに、航空産業にとっても自動車産業にとってもカーボンニュートラリティは非常に大きなテーマです。企業としてさまざま、いろいろな挑戦が行なわれています。手を組めるところは組めるし、お互いにいろいろなことを情報発信することで、世の中にカーボンニュートラルに関して関心を持ってもらう。それに対してみなさんと一緒に作っていく未来という理解を共通にすることが一番大事だと思います。

 そのような意味でも、このイベントでカーボンニュートラル大してどのような取り組みをしているのかというのを少しでも伝える、理解を深めてもらえることは大切だと思います。

──今回、空港でラリーカーが走るというイベントは初めてだったと思います。実際、地域の人もワクワクしていました。実施したイベントを見てどう思いましたか。

佐藤プレジデント:空港でWRCのクルマが走るというのは初めての取り組みです。大変うれしく思っていますし、自分自身もワクワクしています。海外ではこのようなイベントが行なわれることもあるのですが、日本国内では非常に画期的なことで、これも地域のみなさまのご理解と行政の協力があったからこそで、改めて関係の方々に感謝したいと思います。(空港には)これだけセーフティエリアが広いエリアがあるからこそお見せできる走りがありますし、なかなかWRCのクルマが走っているシーンを日本国内でお届けすることがこれまでできておりませんので、このイベントができるのはわれわれにとっても本当にありがたいことです。秋にはラリージャパン、世界ラリー選手権の日本の大会が予定されているので、そこに向けても今日こうやって走りを披露できたことをすごくうれしく思います。

──但馬空港の屋上やキャンプ場に非常に多くの方々集まっていました。多くの方を見られてどのような感想を持ちましたか。

佐藤プレジデント:非常にうれしく思いました。われわれイベントに取り組んでいるものにとって何が一番のご褒美かというと、お客さまの笑顔ですよね。楽しく過ごしていただけるんだなというのを見るのが一番のよろこびですし、それはおそらくわれわれだけではなくてJALさまも同じ思いだと考えています。お客さまの笑顔を見られたというのはすごくうれしく思います。

──JALは旅でみなさんを元気にと言っていますし、トヨタも乗り物でみなさんを元気にと言っています。みなさんを元気づけられましたか。

佐藤プレジデント:みなさんが元気になっている姿を見て、われわれが元気にさせていただけるということがあります。このようなイベントに取り組む意義は、そこにもあるのかと思います。貢献意識というよりは、みんなで育てていくことが大切だと考えています。地域のみなさんのご協力、JALさんの情熱、われわれの努力、いろいろなものがセットになってつながっているのではと思っています。