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ロータス、「エミーラ V6 ファーストエディション」プロダクションモデルを「JAPAN LOTUS DAY 2022」で公開
2022年10月10日 09:15
- 2022年10月9日 開催
エルシーアイは10月9日、富士スピードウェイで開催されたロータス車のファンミーティング「JAPAN LOTUS DAY 2022」の会場で、ミッドシップスポーツカー「エミーラ V6 ファーストエディション」のプロダクションモデルを来場者に向けて公開した。
すでにエミーラは1月に開催された「東京オートサロン2022」の会場で日本初公開されているが、このときに展示されたエミーラはプロモーション用に製作された車両で、内外装の細部については今回展示されたプロダクションモデルとは異なる部分もあるという。
また、自動車業界で昨今大きな問題になっている半導体不足などが英ロータスの生産にも影響して、日本市場向けのエミーラは、今週になってようやく2台目がラインオフして船便に乗せる準備を進めている段階とのこと。このため、会場で展示された車両は本国での広報活動用に用意された英国仕様車となっている。
エミーラは英ロータスが“最後のミッドシップエンジン車”として世に送り出した車両。トヨタ製のV型6気筒 3.5リッターエンジン搭載車が先行生産され、2023年1月にはロータス車として初めてAMG製の直列4気筒 2.0リッターターボエンジンを搭載するモデルの生産もスタートする予定。車両価格はV6エンジン搭載の「エミーラ V6 ファーストエディション」が1452万円、直4ターボエンジン搭載の「エミーラ ファーストエディション」が1386万円。このほかにエミーラでは、サーキット走行専用のレース車両「エミーラ GT4」もラインアップする。
エミーラ V6 ファーストエディションでは、2人乗りのキャビン後方に最高出力298kW(405PS)/6800rpm、最大トルク420Nm/2700-6700rpmを発生するV型6気筒 3.5リッタースーパーチャージャーエンジンを搭載。トランスミッションはスポーツレシオの6速MTに加え、パドルシフトを備える6速AT(34万1000円高)も設定している。最高速は288km/h、0-100km/h加速はMT車が4.3秒、AT車が4.2秒となる。
「ロータスドライバーズパック」「コンビニエンスパック」「ロータスデザインパック」という3種類のオプションパックを標準装備。「Apple CarPlay」「Android Auto」に対応する10.25インチ HMIタッチスクリーン、340Wの出力を持つ「KEF プレミアム10チャンネルオーディオ」も標準装備して、インフォテインメントシステムや快適機能などを備えたモデルとなっている。
直4ターボモデルの生産開始は2023年夏ごろになる見通し
エミーラの車両公開以外にも、当日は会場を訪れた英ロータス アジアパシフィック ミドルイースト リージョナルディレクター ダン・バルマー氏、エルシーアイ ブランドマネージャー ジャスティン・ガーディナー氏の2人に集まった報道陣が質問するグループインタビューの時間が設けられた。
――エミーラという車名にはどのような由来があるのでしょうか。
ダン・バルマー氏:決して狙っていたわけではないのですが、ロータスの車名はかつての「イレブン」以降、「エラン」「エリート」などEから始まる名前を踏襲しています。今回もEで始まる名称からふさわしいものを探して見つけ出したもので、エミーラはアラビア語で「姫」を意味する言葉です。高貴でリーダーシップを発揮するといったイメージですね。
――世界的に多くの自動車メーカーが半導体不足で生産に影響を受けていますが、ロータスの場合はいかがでしょうか。
バルマー氏:おっしゃるとおりでいろいろなものが足りません。ほかの自動車メーカーでも問題になっているように、ロータスも同じような部品を使っているので、エミーラも本来なら半年前に生産して販売されているはずの車両が、まだ1台もお客さまの手元にお届けできていません。ただ、少しずつ状況は好転していて、日本向けのエミーラも9月から生産がスタートして、ちょうど10日前に日本向けとなる最初の1台がラインオフしました。完成した車両はヘセル(英国)の工場にあり、来週には最初の2台が船に乗ります。
――AMG製エンジンを採用する直列4気筒ターボエンジンモデルも同じように影響を受けるのですか?
バルマー氏:実はI4(直列4気筒)モデルは現時点でも生産可能なのですが、それ以前に受注しているV6モデルの受注残がまだまだ山ほど残ってしまっている状況です。工場の生産キャパシティにはリミットがあり、先にオーダーをいただいた車両から生産しなければならないのです。I4モデルの生産開始は2023年の夏ごろになってしまう見通しです。
――エミーラにはV6と直4の2つのエンジンが用意されていますが、それぞれ異なるキャラクターが与えられているのでしょうか。
バルマー氏:私はバニラ味のアイスクリームもチョコレート味のアイスクリームもどちらも好きです。どちらも同じようにアイスクリームであることに変わりはありませんからね。それと同じく、どちらも同じエミーラです。ただ、V6モデルはマニュアルギヤボックスを備えた3ペダル式で、背後から聞こえるスーパーチャージャーのサウンドもロマンティックな気分を楽しめます。そんな雰囲気を大切にするお客さまもいるでしょう。一方、I4はより軽量でシフトチェンジも俊敏。もっと高度なエンジン、もっと高度なトランスミッションと追い求めるお客さまもいるのです。V6とI4を求める人ははっきりと分かれていて、どちらにしようか悩む人とはまだ出会っていません。
ただ、V6は405PSでI4は365PSなので、今いる富士スピードウェイのような直線が長いサーキットではV6の方がより速いと思いますが、コーナーが入り組んだショートコースになればI4が勝つのではないでしょうか。
――ロータスにとって日本はどのような市場なのでしょうか。
バルマー氏:私は中東からニュージーランドまで幅広いエリアを担当していますが、その中で日本は一番大きな市場になっています。そして日本は今までも、おそらくこれからも、とくにスポーツカーという面で重要な市場だと考えています。
――日本市場にはどのような特徴があると考えていますか?
バルマー氏:世界は広いですが、なぜか日本と英国は似ています。私が担当しているエリアで最も英国に近い市場は日本ですね。日本人ドライバーは走る楽しさを非常に大切にしています。エンジンスペックだけではなく、日ごろからの運転で楽しめるハンドリング性能などを重視している点が英国と日本で共通していて、だからこそ日本ではロータスのクルマがたくさん売れて、このイベントに来てくれているように多くのロータスファンがいます。
――私は「エリーゼ」や「エキシージ」だけを扱う本を作っていますが、そこで知り合うエリーゼやエキシージのオーナーは、正直なところエミーラを求めてはいません。一方でエミーラは新しい顧客を開拓するモデルになると思いますが、エリーゼやエキシージのオーナーはこの先置き去りにされてしまうのですか?
バルマー氏:ロータスが創設70周年で発表した「ビジョン80」ですが、当時の生産規模は1500台/年未満でした。スタッフは1500人以上いて、これだとスタッフ1人を車両1台の生産で養わなければならないということで採算が合いません。ロータスは“趣味のクルマ”を作っていましたが、“趣味のクルマだけ”を作っているのでは会社は生き延びていけません。
なので、今後は電動化を視野に入れて製品計画を立てていますが、(2021年8月に公表したEV導入計画のイメージ画像を使い)これとこれに続くコイツ(右端に置かれた背の低いモデル)は何でしょうか? 遠くにあるから小さく見える? 違いますね、われわれは忘れていないのです。(エリーゼやエキシージに乗っている)その人たちを忘れていません。まずはEVのSUVや4ドア車を出して、でも、こうした軽い、楽しいクルマも控えていますから、心配せずにしばらく待っていてください。
われわれとしても、ロータス車のオーナーがそれだけに乗っているわけではないことを知っています。ほかにもファミリーカーとしてSUVなどをエリーゼやエキシージと同時に所有しているわけで、これはブランド戦略で考えればもったいないことです。もう1台(のファミリーカー)もロータスにしてもらって、2台をガレージに置いてくださいというのがこれからの経営戦略です。
【お詫びと訂正】記事初出時、グループインタビューの参加者氏名が一部間違っておりました。お詫びして訂正させていただきます。