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マツダ「CX-60」にジェイテクトの「FRベース4WD車両向け 電子制御カップリング」「軽量・コンパクト 電動チルト・テレスコ付きステアリングコラム」採用

2022年10月11日 発表

マツダ「CX-60」

 ジェイテクトは10月11日、「FRベース4WD車両向け 電子制御カップリング(ITCC)」と、同社グループである富士機工とともに「軽量・コンパクト 電動チルト・テレスコ付きステアリングコラム」を新たに開発したと発表した。両製品はマツダの新型クロスオーバーSUV「CX-60」に採用されている。

 今回開発したITCCはマツダから「開発技術優秀賞」を受賞。電動チルト・テレスコ付きステアリングコラムは、運転手を認証し最適なドライビングポジションに調整をする「ドライバー・パーソナライゼーション・システム」に貢献しているとのこと。

FRベース4WD車両向け 電子制御カップリング(ITCC)
軽量・コンパクト 電動チルト・テレスコ付きステアリングコラム

 FRベース4WD車両向け 電子制御カップリング(ITCC)は、電子制御によって前後輪の駆動力を路面状況や車速に応じて連続的に変化させ伝達することで、車両の優れた運動性能と高い燃費性能の両立に貢献するITCCを、マツダが提唱する「人馬一体」の走りに応えるべく、FRベース4WD車両向けのITCCを新たに開発。

 従来のFFベース車両への搭載を前提としたITCC構造から、トランスミッション・リアプロペラシャフト間を直結する貫通シャフト構造を採用したことでFRベース車両へのITCC搭載を可能にさせると同時に、トランスファー内レイアウトに合わせた小径化により、省スペース化と従来比約10%の軽量化を実現。これにより、燃費効率向上に貢献している。

 また、温度センサーにより走行中のトランスファー内の温度変化に応じた電流制御を可能とし、トルク精度向上に貢献。燃費・耐久性に優れた摩耗材を有するクラッチをITCCユニット内に採用。これらの機能により、燃費効率向上と4WDとしての走りの両立を実現した。

従来品と開発品のITCC搭載位置比較
従来品と開発品のITCC構造比較

 軽量・コンパクト 電動チルト・テレスコ付きステアリングコラムは、ドライバーが快適に運転できるようにハンドル位置を上下(チルト)・前後(テレスコ)にスイッチ1つで調整できるもので、燃費向上や膝下スペース確保といった市場ニーズに応えるべく、軽量・コンパクトをコンセプトに開発。

ステアリングコラム搭載位置

 ステアリングコラムには、事故の際にドライバーへの衝撃を吸収し、傷害を軽減させるための衝撃エネルギー吸収構造(EA構造)をもたせており、従来はコラム全体を車両前方に移動させるとともに、ステアリングコラムの収縮可能な2体チューブ部分を収縮させることで適応していたが、今回の開発品ではコラム収縮のみで完結することに成功。これにより、部品点数を削減でき、コラム全体の質量は従来品比30%低減を達成した。さらに、アルミ部分の肉厚を薄くし、シャフトの中空化による部品形状の最適化で、高剛性と軽量化を両立した。

従来品と開発品のEA構造の比較

 また、ハンドルを上下方向に動かすためのチルト構造を、従来のステアリングコラム下側にモーターを配置した直動式からリンク式に変更。従来品の直動式ではナットの上下にスクリューを配置し、その下にモーターを配置していたため、ステアリングコラム下側スペースに部品が積み上がる構造となっていた。今回、リンク式のチルト構造を採用することで、ステアリングコラム直下にナットを配置する必要がなくなり、直動式と比較してステアリングコラム下方寸法(高さ)を30%低減でき、省スペース化を達成した。さらに、ステアリングコラム下側スペースを確保することで二次衝突時における膝の安全性向上に貢献している。

チルト構造の比較