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フォルクスワーゲン、新型バッテリEV「ID.4」日本導入 後輪駆動を採用して価格は499万円から

2022年11月22日 発売

499万円~636万5000円

新型「ID.4」を日本導入

ID.4取り扱い店舗158拠点に90kW以上の急速充電器を順次設置

 フォルクスワーゲン ジャパンは11月22日、SUVスタイルの新型BEV(バッテリ電気自動車)「ID.4」を発売した。価格は「ID.4 Lite Launch Edition」が499万円、「ID.4 Pro Launch Edition」が636万5000円。

 このLaunch Editionではフォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェの3ブランドによる独自の充電ネットワーク「プレミアムチャージングアライアンス(PCA)」の年会費およびフォルクスワーゲン販売店での充電をひと月あたり60分まで1年間無料で利用できる会員特典や、家庭に設置する普通充電器の設置費用10万円分サポート、買取価格保証型の残価設定ローン「フォルクスワーゲン ソリューションズ」の特別残価設定といった特典が提供される。

 また、全国246拠点のフォルクスワーゲン正規販売店のうち、ID.4取り扱い店舗として158拠点に90kW以上の急速充電器を順次設置することも発表。フォルクスワーゲンのBEV専用の充電ネットワークとして原則24時間・365日利用できるという。さらに、ID.4の新車購入時にはe-Mobility Powerが提供する日本全国の充電ネットワークで利用できるVolkswagen充電カードの年会費および毎月90分までの急速充電器の利用料金を、1年間無償で提供することもアナウンスしている。

 なお、同社では航続可能距離や充電環境、メンテナンスコストなどについて気軽に相談できる環境づくりが重要とし、ID.4の導入にあたって通常のお客様相談窓口とは別にBEVについての質問に特化した24時間365日対応の問い合わせ窓口「ID.コンシェルジュ サービス」を設置する。

 合わせてBEV関連知識のスペシャリストである「ID.ジーニアス」資格認定制度を導入。ID.ジーニアスはID.4に関する商品知識をはじめ、BEV全般、家庭用ならびに公共の充電器、または政府や地方自治体における補助金などに関する知識を身に着けたスペシャリストで、フォルクスワーゲン正規販売店の各拠点に1名が配置される予定。

2種類のバッテリ容量とそれぞれ異なるモーター出力を採用

ID.4は後輪駆動とすることでダイナミックなドライビング性能を発揮

 フォルクスワーゲンの電気自動車ラインアップ「ID.ファミリー」は、BEV専用の新しいプラットフォーム「MEB(モジュラー エレクトリック ドライブ マトリックス)」をベースに作り上げたモデルで、欧州などではハッチバックの「ID.3」、SUVクーペの「ID.5」、ミニバンの「ID.Buzz(バズ)」などを用意。さらにID.4やID.5にはパフォーマンスブランドに位置付けられる「GTX」も展開する。

 ID.4はID.ファミリーに属するフォルクスワーゲン初のフル電動SUVとして2020年に登場。欧州での生産開始・発売に続き、現在、北米や中国でも生産・販売されている世界戦略モデルとして2021年に全世界で約12万台が販売され、2021年のワールド・カー・オブ・ザ・イヤーも受賞している。

 MEBアーキテクチャーは大容量のバッテリを前後アクスル間のアンダーボディに搭載することで、長い航続距離を実現するとともに、ロングホイールベース・ショートオーバーハング化によってボディサイズに対して1クラス上のモデルに匹敵する室内空間を備えることが特徴。重量のあるバッテリを前後アクスル間のアンダーボディに格納することで、車両の低重心化と最適な前後重量バランスを実現するとともに、駆動用モーターの大トルクを余すことなくトラクションに変換する後輪駆動とすることでダイナミックなドライビング性能を発揮する。

 日本仕様のID.4では2種類のバッテリ容量とそれぞれ異なるモーター出力(型式は共通のEBJ型)を組み合わせており、Lite Launch Editionでは52kWhのバッテリに最高出力125kW(170PS)/3851-15311rpm、最大トルク310Nm(31.6kgfm)/0-3851rpmのモーターを搭載し、最大航続距離は388km(WLTCモード)。Pro Launch Editionでは77kWhのバッテリに最高出力150kW(204PS)/4621-8000rpm、最大トルク310Nm(31.6kgfm)/0-4621rpmのモーターを搭載し、最大航続距離は561km(WLTCモード)。0-100km/h加速は8.5秒(欧州発表値)とした。いずれのモデルも最高速は電子的に160km/hに制限される。

 いずれも堅牢なアルミニウム製ハウジングに搭載され、重大な事故の際にはバッテリの電源が切れるような保護回路が組み込まれる。フロアプレートに組み込まれた冷却水経路によって、あらゆる状況でバッテリを理想的な温度範囲に保つ熱管理システムにより安定した高出力、急速充電時の充電時間の短縮とバッテリの長寿命化を実現。8年間または走行距離16万km走行(どちらか先に到達した方)後もオリジナルの充電容量の70%を維持することを保証するという。

タイヤサイズは、Lite Launch Editionが前後235/60R18、Pro Launch Editionが前235/50R20、後255/45R20

 充電については、普通充電(200V)と急速充電(CHAdeMO規格)の2種類の充電機能を搭載。充電状況は充電ポート横のインジケーター、ドライバーインフォメーションディスプレイなどで表示され、車両を解錠しなくても確認できるようになっている。充電時間は家庭用充電設備などにある普通充電6kWの充電器を使用した場合、Lite Launch Editionではバッテリー残量0%から満充電まで約9時間、Pro Launch Editionでは約13時間。また、90kWのCHAdeMo急速充電器を利用した場合、バッテリ警告灯が点灯してから80%までの充電時間はLite Launch Edition、Pro Launch Editionともに約40分(自社計測値)としている。

充電は普通充電(200V)と急速充電(CHAdeMO規格)に対応

SUVとして優れた空気抵抗値を達成

ID.4のボディサイズは4585×1850×1640mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2770mm。「ティグアン」と比べて全長が65mm長く、ホイールベースは95mm長い。車両重量はLite Launch Editionが1950kg、Pro Launch Editionが2140kg。最小回転半径はいずれも5.4m

 エクステリアではID.ファミリーに共通するクリーンで流れるような力強いスタイルをSUVにあてはめ、緩やかでやわらかな変化とシャープでクリーンなエッジが交互に現れる、風によって形作られたようなデザインを採用。リアに向かってシャープなラインを描く流れるようなボディ形状に加え、リアのエアフローを効果的に断ち切るため大型ルーフスポイラー、立体的な造形のテールランプクラスター、ほぼフラットなアンダーボディのリアエンドに設置したディフューザーといったアイテムを組み合わせることで、Cd値0.28というSUVとしては優れた空気抵抗値を達成している。

 ライトユニットは前後ともに全車LEDを採用。Pro Launch EditionではマトリックスLEDを採用したIQ. Lightを標準装備し、フロントカメラが前走車や対向車などの周囲の状況を検知して常に最適な配光をコントロールする。同じくPro Launch Editionのリアコンビネーションランプは複数のLEDストリップを立体的に配置した新しいレイアウトを採用することで、新型ID.4のリアビューを個性的なものに仕上げた。

 ボディカラーはPro Launch Edition専用色となるグレイシアホワイトメタリックとストーンウォッシュドブルーメタリックとともに、ブルーダスクメタリック、ムーンストーングレーの全4色を展開する。Lite Launch Editionではルーフカラーがボディ同色となり、Pro Launch Editionではルーフカラーがブラックになる2トーンカラーを用いる。

Pro Launch EditionではマトリックスLEDを用いたIQ. Light、複数のLEDストリップを立体的に配置した新しいレイアウトとするリアコンビネーションランプを採用

 インテリアでは従来のシフトノブに代わるドライブモードセレクターと統合された5.3インチのメーターディスプレイ、大型のセンターディスプレイ(Lite Launch Editionは10インチ、Pro Launch Editionは12インチ)を採用し、近未来的なインパネデザインを演出。ブラウン色のレザレット(人造皮革)をダッシュボード上部、ドアパネル、シートサイドにデザインし、シルバーのデコラティブパネルをアクセントとして配置したほか、アクセルペダルには再生マーク、ブレーキペダルに一時停止マークをモチーフとしたアルミ調ペダルクラスターを全車標準装備するなど遊び心のあるデザインも採用。さらにフロントウィンドウの下に設置されたライトストリップでドライバーを直感的にサポートする「ID. Light」システムを標準装備しており、さまざまな光パルスを使用して運転準備の完了、充電中のバッテリレベルなどのステータスをアナウンスしてくれる。

 また、MEBアーキテクチャーを採用したID.4では乗員を最優先に考え、従来のSUVカテゴリーにおいて1つ上のクラスに相当する広い室内スペースを実現。クラストップレベルとなるラゲッジコンパートメント容量は、リアシートの背もたれを折りたたむことによって543Lから1575Lに拡大することが可能。

インテリアではブラウン色のレザレット(人造皮革)をダッシュボード上部、ドアパネル、シートサイドにデザインし、シルバーのデコラティブパネルをアクセントとして配置。アクセルペダルには再生マーク、ブレーキペダルに一時停止マークをモチーフとしたアルミ調ペダルクラスターを全車に標準装備
ラゲッジ容量は543Lから1575Lに拡大可能

 そのほか先進運転支援システムについては、車両が意図せずに車線を逸脱するとシステムがステアリングに介入するレーンキープアシストシステム“Lane Assist”を標準装備。プリクラッシュブレーキシステム“Front Assist”は車両前方の領域を監視し、警告およびブレーキへの介入でドライバーをサポートしつつ、他のクルマや歩行者、サイクリストとの差し迫った衝突を警告する。レーンチェンジアシストシステム“Side Assist”はID.4の前後の交通状況を監視し、危険な状況でドライバーが車線を変更しようとすると警告が発せられる。

 Pro Launch Editionではこれらに加え、同一車線内全車速運転支援システム“Travel Assist”を標準装備。これは前後方向と横方向の車両コントロールシステムを組み合わせたもので、ステアリングホイールのボタンを操作して作動させることが可能。この機能はシステムの制限内でアクセル操作とブレーキ操作の大部分を実行し、穏やかなステアリング介入を行なって車両が車線の中央に留まるようにドライバーをサポートする。また、同じく標準装備の緊急時停車支援システム“Emergency Assist”は、突然の体調不良などによる緊急事態でドライバーが車両を操作できなくなった場合に、同一車線内で車両を安全に停止させる。