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アストンマーティン、V8ツインターボ搭載のPHEV「ヴァルハラ」日本初公開 価格1億円オーバー&馬力1000PSオーバーのハイパーカー
2022年11月23日 09:20
- 2022年11月22日 発表
アストンマーティン・ジャパンは11月22日、4.0リッターV8ツインターボエンジンを搭載するPHEV(プラグインハイブリッド)モデルのハイパーカー「ヴァルハラ(Valhalla)」を、東京・青山の「アストンマーティン青山ハウス」で日本初公開した。
発表会では日本/韓国のリージョナルプレジデントであるグレッグ・アダムス氏が「本日はようやくアストンマーティンの“美女と野獣”ともいうべきヴァルハラを発表できました。このクルマは見ればお分かりのように綺麗で品のあるデザインを持つとともに、1000馬力以上のパワーを発揮します。つまり強烈なデザインと強烈なパワーがミックスされているのです」とあいさつした。
ヴァルハラは、F1からの知見を取り入れるとともに、内燃エンジンからハイブリッド、さらにフル電動化へと移行を進めるアストンマーティンの変革の最先端に立つモデルで、わずか999台のみが限定生産されるPHEVモデル。自然吸気の6.5リッター V型12気筒エンジンとハイブリッドシステムから1160PSを発生するパワートレーンを搭載していた同社のハイパーカープロジェクト第1弾「ヴァルキリー(Valkyrie)」がさらに進化し、卓越したパフォーマンスを完璧にバランスさせた第2弾として登場したのがヴァルハラだ。
ちなみに、ヴァルハラとは北欧神話に出てくる主神オーディンの宮殿の名前で、半神半人のワルキューレによって選別された戦士の魂が集められる場所のこと。ワルキューレの英語表現がヴァルキリーで、「V」のイニシャルを使うというのが共通項。両者の関係がよくわかる。
パワートレーンは4.0リッターのV8ツインターボとPHEVシステムの組み合わせ
ヴァルハラの心臓部には、リアにミッドマウントされた専用のV型8気筒 4.0リッターツインターボエンジンを搭載する新開発のプラグインハイブリッドシステムを組み合わせたパワートレーンを採用。このV8エンジンは、これまでアストンマーティンに搭載されたエンジンの中で最も先進的でレスポンスが鋭く、最高のパフォーマンスを発揮するというもので、最高回転数7200rpm、800PSを越す出力を発揮。さらに前後アクスルに搭載した3基の電気モーターによる150kW(204PS)/400Vのバッテリー・ハイブリッドシステムによって増強され、トータルで1012PSものシステム出力を実現している。
トランスミッションは新開発のパドルシフト付き8速デュアルクラッチ式で、そのパフォーマンスは0-100km/h加速2.5秒、最高速349km/hを公称。またEVモードでの最高速は130km/h、航続距離は15kmだ。
ボディ構造は、最大剛性と最小重量のためにフルカーボンファイバー製タブを中心に構築され、モノコックの重量は100kg未満。乾燥重量目標は1550kg未満となっている。F1参戦で得た知見を取り入れ、レーシングカーと同じスタイルのプッシュロッド・フロントサスペンション、インボードスプリング、ダンパーなどを採用することで、バネ下重量を削減。最も効率のよいパッケージングを実現している。ストッピングパワーに関しては、高性能カーボンセラミック・マトリックスブレーキを採用しており、専用開発されたミシュラン「パイロットスポーツカップ」タイヤが制動力をさらに高めるという。
大胆で未来的な内外装
エクステリアは低く幅広く、筋肉質で滑らか。そこに機能が加わるというフォルムを構築した。目を惹くルーフスクープはV8エンジンのインテークに直接エアを送り込み、一方フロントスプリッターとヴェーンドグリルはエアロダイナミクス機能を果たすと同時にアストンマーティンのデザインDNAを反映。また印象的な可変リアウィングは、より強いダウンフォースが必要な時には持ち上がって角度を変え、造形されたカーボンファイバー製ディフューザーと同時に働くことで、このスーパーカーを路面に強力に押し付ける仕組み。その数値は240km/hで最大600kgを発生する。
デュヘドラルドアを上方に上げて現れるコックピットは、ほぼ全域にわたって使用されているカーボンのブラックに黄緑のアクセントをあしらったシンプルな構成で、ドライバーは車体の中心線近くの低い位置に座り、ヒップポイントよりペダル位置が高くなるというF1マシン由来のドライビングポジションとなるような設計。これによって究極のコントロールが提供できる完璧なドライバー中心のエルゴノミクスで、座っているだけでワクワクするという。
英国ケイドンのアストンマーティン本社でハンドメイドされるのは999台まで。価格は1億円をオーバーするけれども、日本ではすでに30台ほどがオーダーされており、100台近くまで行くのでは、との予想もある。
上級副社長でチーフクリエイティブオフィサーのマレック・ライヒマン氏はヴァルハラの発表にあたり、「ヴァルハラのコンセプトを策定するにあたって、アストンマーティン ヴァルキリーのレガシーを強調することを望んでいました。 このコンセプトは現在でも変わっていませんが、このまったく新しい車を生産に移すために、その中身は大幅に進化を遂げています。ヴァルキリーを受け継いでいることは明白ですが、ヴァルハラはより成熟したデザインに身を包んでいます。ヴァルハラは、F1に参戦するブランドに期待される優れたエアロダイナミクス、アストンマーティンならではの美しいフォルム、印象的なプロポーション、見事なディテールを組み合わせています」とコメントしている。