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アストンマーティン、PHEVのミッドシップスーパーカー「ヴァルハラ」プロトタイプ公開 日本での販売予定価格は1億200万円

2021年11月1日 公開

PHEVのミッドシップスーパーカー「ヴァルハラ」プロトタイプを公開

2024年に日本へ導入予定

 アストンマーティン・ジャパンは11月1日、PHEV(プラグインハイブリッド)のミッドシップスーパーカー「ヴァルハラ」のプロトタイプを東京 青山にあるグローバル・ブランドセンター「The House of Aston Martin Aoyama」(アストンマーティン青山ハウス)で公開した。

 ヴァルハラは2023年に本国で発売、2024年に日本へ導入される予定のミッドシップスーパーカーで、生産台数は最大999台とされる。日本での販売予定価格は1億200万円としており、これに輸送費やオプションなどの価格が別途上乗せされることになる。

 北欧神話で「戦士の楽園」を意味するネーミングが与えられたヴァルハラは、2019年にコンセプトモデルがデビュー。当初はパワートレーンにV型6気筒ガソリンターボエンジンとバッテリー駆動式のハイブリッドシステムを組み合わせるとアナウンスしていたが、エンジンは最高出力750PS/7200rpmを発生するV型8気筒4.0リッターツインターボにスイッチ。

 また、V8エンジンは2基の電気モーターを備えた150kW/400Vのバッテリー・ハイブリッドシステムによって補完。電気モーターはフロントアクスルとリアアクスルにそれぞれ1基ずつ搭載され、システム全体で950PSの出力を誇るという。

パワートレーンはバッテリー駆動式のハイブリッドシステムとV型8気筒4.0リッターツインターボエンジンの組み合わせ

 トランスミッションは新開発の8速DCTを組み合わせ、e-リバース(PHEVの電気モーターを利用し、従来のリバースギアの必要性をなくすことで重量を削減)を備えたトランスミッションは、リア・アクスルにエレクトロニック・リミテッドスリップ・デファレンシャル(e-デフ)を備え、最大のトラクションと俊敏なハンドリングを実現する。電気モーターのパワーは低速走行時のコントロールとレスポンスを強化し、後退時にも使用する。

 EV専用モードで走行する場合の最高速は130km/hで、航続距離は15km。予測されるCO2排出量(WLTP)は200g/km未満とした。0-100km/h加速は2.5秒で、最高速は330km/hに達する。また、ニュルブルクリンク ノルドシュライフェ(北コース)のラップタイム目標は6分30秒に設定されているという。

 ボディまわりでは最小の重量で最大の剛性を実現するという新しいカーボンファイバー製コンポーネントを採用するとともに、フォーミュラ1スタイルのプッシュロッド・フロントサスペンションを搭載しており、インボードに取り付けられたスプリングとダンパーがバネ下重量を減らし、優れたパッケージングを実現したという。

エクステリアではカーボンファイバー製コンポーネントを随所に採用。ホイールはフロント20インチ、リア21インチでタイヤはミシュラン「パイロット スポーツ カップ2」をセット

 なお、今回のプロトタイプではインテリアは公開されなかったが、左ハンドルと右ハンドルの両方の仕様が用意されるとのこと。また、アストンマーティンHMIシステムでは中央にタッチスクリーンディスプレイを備え、Apple CarPlayとAndroid Autoに対応する。

2023年後半から2年をかけて最大999台を生産

アストンマーティン・ジャパン オペレーションズ ディレクターの寺嶋正一氏

 今回のプロトタイプ公開にあたり、発表会ではアストンマーティン・ジャパン オペレーションズ ディレクターの寺嶋正一氏があいさつを行なうとともに、ビデオレターで英アストンマーティン CEO(最高経営責任者)のトビアス・ムアース氏、チーフ・クリエイティブ・オフィサーのマレック・ライヒマン氏が概要を紹介した。

 はじめに寺嶋氏はミッドエンジンのヴァルハラは2024年、2025年に年間1万台の販売を実現するためのキーとなるとし、「希少性、個性、お客さまとの積極的なつながり、特別な体験の提供などがブランドとしての重要な道のりになります。そしてスポーツカー、SUV、ミッドエンジンモデルのフルラインアップが競合他社との直接的な戦いを可能にしています。本日はアストンマーティンとして2番目のミッドエンジンスーパーカーをご覧いただきますが、心臓部にはPHEVと特別開発のV8エンジンを採用しています。そして2つの電気モーターによって合計950PSを発揮し、アストンマーティン初の8速DCTを組み合わせました」と特徴について紹介するとともに、2023年後半から2年をかけて最大999台を生産する予定であることが語られた。

英アストンマーティン CEO(最高経営責任者)のトビアス・ムアース氏

 また、ムアースCEOは「昨年アストンマーティンに入社した際、私のもっとも高い優先順位の1つがヴァルハラの旅を徹底的に再検証することでした。私が直接指揮にあたり、世界クラスのエンジニアリングチームとこのプロジェクトの主要技術パートナーと共に推進してきました。そして、本日ここで皆さまにヴァルハラを発表させていただくことを嬉しく思います。われわれが創作しているものはエキサイティングです。エンジニアとしてはもちろんですが、それよりもドライバーおよびレーサーとしてです。ヴァルハラは真のドライバーカ―として出来上がりつつあります。そして、われわれの新機種の中でももっとも重要なクルマになる可能性を秘めています。全ての側面において当初のコンセプトをはるかに超えるものです。全てはドライバーのために設計され、高度なコントロールを可能とすることでこのクルマの真の限界を試し、ハイパーカーとしての完璧なバランス、動的性能およびアストンマーティンならではの洗練されたデザインを味わうことができます。ヴァルハラはビスポークなハイブリッドV8エンジンを搭載し、電動化を広範囲に適用したアストンマーティン独特の高次元にチューニングされたレーサーカーであり、われわれの内燃エンジンからハイブリッド、そして電動機関へと遷移するジャーニーの重要なクルマなのです。このクルマはわれわれの胸を高鳴らせています。きっと皆さまの腕も高鳴ることでしょう。ヴァルハラは新世代のアストンマーティンです。ドライバーとドライビング体験の新たな定義を提案します。クルマを支配すること、まさに類を見ないラグジュアリーの頂点に到達したイギリスのスーパーカーです」とコメント。

英アストンマーティン チーフ・クリエイティブ・オフィサーのマレック・ライヒマン氏

 一方、ライヒマン氏は今回ヴァルハラの試作車が完成したこととともに、その試作車が市販車の95%の完成レベルになることを報告。また、デザインや空力性能についても紹介を行ない、フロントでは一体型6本バーのグリルを採用することやアダプティブ・レーダーを装着すること、フロントのボンネットフードから抜けたエアーが車上のバッテリシステムの冷却に寄与することを紹介。また、サイドにボディ一体型のサイドストレークが設けられ、これによりフロントホイールおよびフロントホイールアーチから高圧のエアを逃がすことに加え、リアのサイドまわりの形状がミッドマウントのV8エンジンの冷却の大半を担うこと、テールランプを筆頭とするデザインはF1やヴァルキリーの要素を採用していることなどが紹介された。