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日産、戦中戦後に使用された東京消防庁保管の「ニッサン180型消防ポンプ自動車」を再生

2023年4月27日 発表

東京消防庁が保管する「ニッサン180型消防ポンプ自動車」を走行可能な状態に再生

 日産自動車は4月27日、東京消防庁が保管してきた「ニッサン180型消防ポンプ自動車」を走行可能な状態にする再生を行なったと発表した。同車両は6月15日~18日に東京ビックサイトで開催される「東京国際消防防災展 2023」で展示を行ない、イベント初日には最後の仕上げ作業となる「ホーン取り付け」と合わせてお披露目を行なうという。

「ニッサン180型消防ポンプ自動車」は1941年に東京都大田区の蒲田消防署に配置され、戦時中は空襲火災の消火活動で大きな力を発揮。その後、1945年5月に高輪消防署(二本榎出張所の前身)に配置され、東京オリンピックが開催された1964年10月まで使用した後、高輪消防署二本榎出張所で広報車両の1台として展示されてきた。

 今回の再生は、日産の社内活動で歴代の日産車の再生に取り組む「日産名車再生クラブ」に所属する4名のエンジニアが担当。東京消防庁企画調整部広報課からの「走行ができなくなっている『ニッサン180型消防ポンプ自動車』を再び走らせることができないか」という相談を受けて検討を開始した。再生に携わった「日産名車再生クラブ」の有志4名は当時の塗装や凹みなどは活かしつつ、走行を実現するために約2年にわたって作業を行ない、同モデルの再生を完了。当初の再生目標としていた、走る、曲がる、止まるというクルマの基本性能のみならず、動かなくなっていた方向指示器やワイパー、点灯しなくなっていた赤色灯など車両全体の電気系統の再生も行なったという。

 なお、再生を完了した「ニッサン180型消防ポンプ自動車」は「東京国際消防防災展 2023」での展示後、東京消防庁の広報車両として保管され、今後、同庁が実施するさまざまなイベントなどで活用される予定とのこと。

ニッサン180型消防ポンプ自動車

 今回の発表について、東京消防庁 企画調整部広報課 消防司令の松村龍也氏は「2023年は1923年9月に発生した関東大震災から100年目を迎える節目の年です。この年に歴史ある車両が再び走り出せるようになったことを大変うれしく思います。多くの皆さまに愛される車両としてさまざまなところで活用し、都民の防災意識の向上に貢献することを願っています」とコメント。

 また、再生の取り組みリーダーを務めた日産自動車 エンジニアの河合俊明氏は「社内においても戦前の日産車に触れる機会が少ない中で、戦火の中で活躍し、戦後も地域の安全を守ってきた歴史的な車両の再生を行なう今回の取り組みは大変貴重な体験でした。このクルマに再び息吹を与えるべく、社内に残っていた整備要領書を参考にしつつ、現場で現車と向き合いながら、当時の活躍に想いを馳せつつ、メンバーとも楽しみながら再生作業に取り組みました」と述べている。

再び走れ!戦中戦後の火災に奔走した消防車(6分55秒)

「ニッサン180型消防ポンプ自動車」お披露目イベント

日時:2023年6月15日 12時~12時30分
場所:東京国際消防防災展 2023 屋外展示会場(東京ビックサイト、東京都江東区有明3-11-1)
タイムスケジュール:
12時:東京消防庁あいさつ
12時5分:日産エンジニアによるホーン取り付け
12時10分:エンジン始動
12時15分:走行シーン上映
12時20分:フォトセッション
12時25:Q&A
12時30分:終了