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ル・マン24時間100周年に挑むトヨタのスペシャルカラーは、「豊田章男社長最後の一日」で紹介された日本代表の桜と、小林可夢偉チーム代表

公開車検に登場したTOYOTA GAZOO RacingのGR010 Hybrid。桜のイラストが描かれたスペシャルカラー

桜のイラストが描かれたTOYOTA GAZOO RacingのGR010 Hybrid

 6月3日(現地時間)、ル・マン24時間レース公開車検の2日目が行なわれた。2日目には、ポルシェ、フェラーリ、キャデラック、TOYOTA GAZOO Racingなどル・マン24時間レースの総合優勝を狙うハイパーカークラスの参戦マシンが続々と登場した。

 いずれのマシンもきらびやかで、公開車検を見ようとル・マン市内に訪れた観客を盛り上げる。1台のマシンをおよそ1時間近く見られ、ドライバーのトークショーを楽しめ、サインなどをもらうこともできる、ル・マン24時間という100周年を迎える特別なレースを存分に味わっていた。

桜は満開ではなく、つぼみなどが描かれている
桜は車体各部に描かれる
ファンとのサインや撮影など、積極的にふれあっていた小林可夢偉氏

 そんな100周年のル・マン24時間に登場したTOYOTA GAZOO RacingのGR010 Hybridは、ボディ各所に桜のイラストが描かれていた。インタビュー用のミックスゾーンに現われた7号車のドライバーであり、TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表でもある小林可夢偉選手に桜の絵柄の由来を聞いてみた。

 可夢偉選手は、「このスタートは、(豊田章男)会長の豊田章男社長最後の一日というトヨタイムズを見てです。桜って日本代表だよねという部分があって、すごくそうだよねと。桜って日本代表だよねと。100周年は日本代表として勝ちに行くという思いで入れさせてもらえないですか?ということから始まりました」と、トヨタイムズの番組がきっかけだったと語る。

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あえて描いた、満開前の桜

桜のデザインについては、豊田章男会長、佐藤恒治社長とディスカッションして方向性を決めた

 ただ、デザインについては、豊田会長と佐藤社長とディスカッションしているときに意見をいただいたという。「桜のデザインを、会長と佐藤社長とディスカッションしているときに、最初は桜は速度で飛び散るイメージかなと思ったのですが、『散ったらだめだ、咲かさないといけない』と。その咲かすというのは、このWECでハイブリッドを持ち込んできたときとか、今(トヨタは)水素を発表して、種を植えて咲かせるときなんです。だから咲かす」といい、桜が咲くようなデザインになっているという。

 桜の花の色についても、白っぽいのはこれから散るイメージなので、なるべくピンク色の濃いものとし、満開ではなく、これから満開なるような表現にしているという。

 確かに桜をよくみると、つぼみがいくつかあるなど、これからの未来を想像させるものがある。

 豊田章男会長は、トヨタイムズの最後の一日という番組の中で、「逃げない、正直に語る、ごまかさない」という自身のビジネスモデルができた経緯と、14年間の社長時代について「自分にしかできないトヨタらしさを取り戻す戦い」「満身創痍で孤軍奮闘の戦い」と振り返っている。

 小林可夢偉チーム代表は、そうしたさまざまな思いを桜のイラストに込め、桜を背負って100周年のル・マン24時間に挑んでいく。

 車検場でのサインの終わり際に小林可夢偉チーム代表へ、桜スペシャルカラーバージョンのカラーリング名を聞いたところ「まだないです、でも思いは伝えましたよ。伝えてください」と、気持ちを託された。

 GR010 Hybridに描かれた桜を見るたびに、小林可夢偉チーム代表の思い、豊田章男氏の社長最後の日の思い、そしてこのクルマを作り上げたTOYOTA GAZOO Racingチームの思いを感じ取っていただきたい。

 ル・マン24時間レースの決勝は6月10日16時(現地時間、日本時間は10日23時)にスタートする。24時間後に桜のつぼみが花開くことを願って、TOYOTA GAZOO Racingの戦いを応援していこう。

最後に、スペシャルカラー名について「まだないです、でも思いは伝えましたよ。伝えてください」と語り、立ち去っていった小林可夢偉チーム代表