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ハーレーダビッドソン、新型「CVO ストリートグライド」「CVO ロードグライド」日本初公開 「2輪業界の新しいベンチマーク」と代表取締役 野田一夫氏
2023年6月17日 09:45
- 2023年6月16日 開催
ハーレーダビッドソン ジャパンは6月16日、限定生産のプレミアムモデルシリーズ CVO(Custom Vehicle Operations)の新型車「CVO ストリートグライド」「CVO ロードグライド」の2モデルを日本初公開した。
両モデルで同社のツーリングモデルで最大となる1977ccの排気量を持つ新型の「Milwaukee-Eight VVT 121」エンジン、標準ライドモード3種類、カスタムライドモード2種類を設定して、動力伝達、エンジンブレーキ、コーナリングABS(C-ABS)、コーナリングトラクションコントロールシステム(C-TCS)といった性能特性や安全技術の介入レベルを自在に組み合わせて使い分けできる「ライドモード」、ナビゲーションやインフォテインメントなどを指先で操作できる「12.3インチ TFTディスプレイ」、容量22.7Lの「ティアドロップフューエルタンク」などを共通要素として採用。CVO ストリートグライドでは「バットウィングフェアリング」、CVO ロードグライドでは「シャークノーズフェアリング」をフロントマスクに採用してそれぞれの個性を表現している。
車両価格はどちらも549万7800円~となり、ボディカラーにはそれぞれで「ダークプラチナ/ピンストライプ」を標準設定。さらに「ウイスキーニート/レイブンメタリック」を71万5000円高のカラーオプションとして設定している。
CVO ストリートグライド
CVO ストリートグライド主要諸元
全長:2410mm、ホイールベース:1625mm、シート高(非積載時):715mm、最低地上高:140mm、車両重量:380kg、フロントタイヤ:130/60B19 M/C 61H、リアタイヤ:180/55B18 M/C 80H
CVO ロードグライド
CVO ロードグライド主要諸元
全長:2410mm、ホイールベース:1625mm、シート高(非積載時):720mm、最低地上高:145mm、車両重量:393kg、フロントタイヤ:130/60B19 M/C 61H、リアタイヤ:180/55B18 M/C 80H
新型CVOの2モデルは「2輪業界の新しいベンチマーク」と野田氏
発表会で新しいCVOの2モデルについて解説したハーレーダビッドソン ジャパン 代表取締役 野田一夫氏は、1999年にデビューした「FXR2」から始まったCVOシリーズは、通常ラインアップモデルからさらにレベルの高い魅力を持った少量生産のプレミアムモデルになっていると説明。
新たに販売予約の受注を始めた新型CVOの2モデルを「2輪業界の新しいベンチマークとして、基準を1段、2段と上げる最高の1台だと考えている」とアピールし、商品性のメインとなる大きな変更点について「ビジュアル」「ダイナミックパフォーマンス」「テクノロジー」の3項目に分けて説明した。
「ビジュアル」では、まったく新しいモデルになっていることをひと目で感じさせる目新しさを持つ一方で、ハーレーが築いてきた120年に渡る歴史、さらにCVOモデルのプレミアム感といった要素をリスペクトしたバランスの取れたデザインになっていると説明。エンジニアリングの目線では、すべてのラインがつながってきれいに空気が流れていくエアロダイナミズムを備え、静止した状態でも車両が走っているように感じさせるダイナミックさを大きな特徴として挙げた。
また、フルLEDによるライティングが目を引くフロントマスクでは、CVO ロードグライドは先代まで2つのライトを横に並べた2灯式ヘッドライトをオマージュした「オメガシェイプ」と呼ぶLEDシグネチャーライトを採用する。一方のCVO ストリートグライドでは、ハーレーダビッドソンのシンボルであるイーグル(鷲)が羽を広げたようなLEDシグネチャーライトで力強さを演出した。
「ダイナミックパフォーマンス」における大きな進化の源泉となるのは、先代モデルから排気量を拡大して可変バルブタイミング機構のVVTを採用したMilwaukee-Eight VVT 121エンジン。2022年にプロトタイプ車両を運転しているという野田氏は、日ごろは自身で117型エンジン搭載モデルを運転していて低速トルクや高速走行にまったく不満がないと思っていたが、新型ではMilwaukee-Eightエンジンのキャラクターを生かしつつ、とくに低速トルク、アクセル操作に対するリニアリティが大きく向上。発進加速やコーナー進入時の減速から再加速といったシーンでの印象が1段、2段とレベルが高まっていると述べ、すでに競合するライバルに対して高いレベルにあったエンジン性能がさらにアップして、これによって「新しいベンチマークを築くモデル」に位置付けていると解説した。
出力向上で懸念される発熱についての対策として、車体の下側前方に設置したラジエータで排熱する新しいクーリングシステムを採用。循環用のパイプ類は乗員から離れた位置にレイアウトしており、夏場の渋滞時といったシーンでの快適性、エンジンパフォーマンス、耐久性やサービス性などを向上させている。
このほか、すべての改良に置いて軽量化を徹底追求。先代モデルから20kgの軽量化を実現し、車両の引き起こしといったシーンで軽くなったことを体感してもらえるようになっており、「ソフテイル」と同程度で「スポーツスター」などのモデルからのステップアップも視野に入るとの考えを示した。
「テクノロジー」ではフルデジタルメーターとなる「12.3インチ TFTディスプレイ」を紹介。反射を防ぐ表面処理とハイコントラストの実現で視認性を確保しており、「SKYLINE OS」の採用で目的ごとに多彩な表示内容を切り替え可能。オーソドックスな速度計&回転計のほか、ナビゲーション情報、車両設定の変更などに利用でき、ハンドルに設置されたスイッチ類のほか、タッチ操作、ボイスコマンドにも対応して使い勝手も高めているとアピール。「Apple CarPlay」のワイヤレス接続にも対応するという。
また、549万7800円からという価格設定について野田氏は、「手前みそですが、われわれとしては非常に戦略的な価格にできたと思っています。実際にティザー映像を見たお客さまから『600万円を超えるかと思っていた』という声も寄せられています。それだけに、自信を持ってたくさんの人にお届けしたいということでこの価格設定としています」と説明している。
「X350の日本でのローンチを検討している」とツァイツ氏
発表会では車両の紹介のほか、米ハーレーダビッドソン CEO ヨッヘン・ツァイツ氏による日本事業の戦略について説明するプレゼンテーションも行なわれた。
ツァイツ氏は、ハーレーダビッドソンでは現在、5か年計画である「THE HARDWIRE」を進めており、この戦略は6本の柱で構成されていると説明。
「収益性重視」では、従来からの強みである「クルーザー」「ツーリング」といったモデルを強化していき、「選択的に拡大し、カテゴリーを再定義する」では、魅力的な製品で勝ち続けていき、パートナーシップによってグローバルで販売を拡大。3つめの柱となる「電動化をリードする」は重要な要素で、新たな電動化モデルの市場投入で実現すると説明。「バイク事業の先に進む」ため、基幹となるバイクは重視しつつもそれにとらわれず、アパレル製品のライセンス、カスタマイズ向けのパーツやアクセサリーなども充実させていく。
「インテグレートされたカスタマーエクスペリエンス」では、既存の顧客や新たにバイクに乗り始める人に加え、バイクには乗らないノンライダーにも楽しんでもらえるようにしていくという。「ステークホルダーマネジメント」の面では、金銭的な利益を追求するだけではなく、環境にとって、そして社会にとっていいものかを重視する考えになるという。
「選択的に拡大し、カテゴリーを再定義する」という点についてはさらに細かく説明を行ない、2021年に初のアドベンチャーツーリングモデルとして発売した「パン アメリカ 1250」について解説。このような未舗装路を走らせることに特化したツーリングモデルはそれまでなく、ここには大きな成長の機会があると考えて市場投入し、実際に大きな成功につながっているという。
アドベンチャーツーリング以外でも、「X350」「X500」といったアジャイル(すばやい、俊敏)なモデルを新たにローンチ。“ハーレーらしい”デザインを備えつつ、都市型でより若い年齢層のユーザーにアピールする乗りやすいラインアップとなっており、走る楽しさや個性を重視するアーバンコミューターであるX350は「日本でのローンチを検討していますので、ぜひ皆さんの意見をお聞きしたい」とツァイツ氏は述べた。
このほか、日本初公開した新しいCVOの2モデルについてツァイツ氏は「グランドアメリカンツーリングをさらに1歩先に進めていくモデルであり、最新鋭のテクノロジー、ダイナミックなパフォーマンスを兼ね備えています。この導入により、ハーレーダビッドソンの最もアイコニックなモーターサイクル2種が完全に再構築され、この過程でCVOの境界を再定義しています。この2モデルを根本から見直すことにより、イノベーション、デザイン、エンジニアリング、テクノロジーの新時代を切り拓き、ハーレーダビッドソン CVOの定義を広げてグランドアメリカンツーリングの体験をさらにレベルアップさせていきます」と説明した。