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アカザーの「国際福祉機器展H.C.R.2023」で気になった最新の車いす 車いすユーザー歴23年目の車いす選び

2023年9月27日〜29日 開催

 2000年にスノーボード中の事故で脊髄を損傷(Th12-L1)して以来、車いすユーザーになって23年になるアカザーっす。毎年秋になると、最新福祉機器が集まる日本最大の展示会こと「国際福祉機器展」に通っています。

 オレと「国際福祉機器展」との出会いは、けがをして手術後ベッドの上で絶望感にさいなまれているオレをみかねた家族が、“何か前向きに生きられる方法や機器がないか?”と情報収集に行ってくれたのが始まりです。

 その後、車いすユーザーになったあとも、ほぼ毎年のように情報収集がてら通うようになりました。実は福祉機器の進化ってすごいんですよ! 毎年通っているオレでも毎回いくつもの驚きがあります。

 というワケで、今年で50回目を迎えた「国際福祉機器展H.C.R.2023」で、オレの注目する最新の車いすをいくつか紹介します!基本的にオレが脊髄損傷(Th12-L1)の車いすユーザーなので、その目線での自走式車いすのチョイスです。

車いすユーザーになって23年になるアカザーっす。これまで4台ほどの車いすをオーダーして使ってきました

国枝選手も愛用する車いすの新型が登場!驚きの重量は7.5kg!

 毎回最初に立ち寄るのがオレが車いすユーザーになって以来、23年以上愛用している車いすのメーカーOXエンジニアリング。

 創業社長の石井重之氏自身が車いすユーザーだったこともあり、ユーザー視点に立ったカッコイイ車いすを作り、ダサくて重い病院用車いすがスタンダードだった車いす業界に新風を巻き起こしたメーカーです。それ以降、業界に“車いすはカッコイイもの”というイメージを広めてきました。カッコよさは正義! オレが車いすになったころに、OXエンジニアリングの車いすがなければと思うとゾッとします。もしかしたら引きこもりになっていたかもな~……。

OXエンジニアリングのブースには老若男女問わず、自分で車いすをこいで移動したいという考えのアクティブな車いすユーザーが多く訪れる

 OXエンジニアリング製の車いすは、革新的なデザイン以外にも性能も一級品。その性能を裏付けるのが、パラリンピックなどで勝つための競技用車いすの技術開発で得たものを、市販車へフィードバックするという開発手法です。

 東京オリンピックで金メダルに輝いた、車いすテニスプレーヤー国枝慎吾選手の脚となり、国枝選手の数々の偉業を支えたのはOXのテニス用車いす「TRZ」なんです。

世界的な車いすテニスプレーヤーだった国枝慎吾選手は、車いすテニスを始めたころからOX製の車いすを使用

 そんなOXエンジニアリングブース今年の推し新製品は、フレームにマグネシウムを使用した新型「XR」です。

OXエンジニアリング製固定式車いすのハイエンドモデル「XR」。左が従来のアルミフレームのもので、右がマグネシウムフレーム。外観にさほど差異は見られないが……

 このXRはアスリートの国枝選手も日常の脚として使っているほどの、軽量・高剛性がウリの固定式車いすのハイエンドモデルで、メインフレームにはアルミニウムを使用し、その重量は8.75kg。

ホンダのイベントで、日常用車いす「XR」からテニス用車いす「TRZ」に乗り換える国枝選手

 ちなみに10年以上愛用しているオレの愛車「RC」(折りたたみ式車いすのハイエンドモデル)も、作った当時はけっこう軽いほうだと自負していたのですが……12.5kgっていう。車いすの進化は残酷だわ~。

オレの愛車は10年以上ノントラブルで使っている、折りたたみ式車いすのハイエンドモデル「RC」。その重量は12.5㎏

 国枝選手の乗る現行XRでもかなり軽いのに、新型XRは、フレーム素材をアルミニウムからマグネシウムに置き換えて7.5kgまでの軽量化を実現! って7.5kgはもはややり過ぎなレベル(笑)。オレの車いすのほぼ半分かよ! ていうか会場で持ち上げさせてもらったのですが、片手でも楽々持ち上げられるくらい軽かったです! コレが車いすの重さかよ!

新型XRの重量はそのフレームの太さからは想像できない7.5kgという超軽量! 現行モデルよりも約1kgの軽量化を実現し、片腕でも難なく持ち上げられるほど

 最近オレのまわりの車いすユーザーが、折りたたみ式車いすから、固定式車いすに乗り換えてるんすよね~。固定式は剛性が高くて軽いので、一度乗ったらその乗り心地のよさから、折りたたみ式には戻れないみたいです。

 でも、剛性が高い固定式車いすって走行性能はめっちゃいいんですが、クルマへの積み下ろし時がかなり手間なんですヨ!

 いちいち車いすのタイヤを外して、シャーシと別々に車内に積み込む感じなので、愛車の車内(内装)がボコボコになるんすよ~。昔、石井社長の愛車で見たような助手席の裏に車いすを固定できるラック(試作品)みたいなものを、OXさんが出してくれないかな~。そしたらXRの使い勝手がよくなって、選択肢に入るんだけどな~。

マルチマテリアル構成が男心をくすぐる車いす!

 オレのようにほぼ毎日、車いすをクルマに積んで通勤や通学をするような人には、コチラの折りたたみ式車いすのハイエンドモデル「ZZR」がオススメです。

折りたたみ式車いすのハイエンドモデル「ZZR」の第4世代モデル。石井重行社長も亡くなる直前まで「ZZR」シリーズを愛用していました(いつも試作パーツが付いていました)。そのシリーズの最新作だけあって最新モデルも気合いが入りまくりです
ZZRを見るとオレは創業社長の石井重行氏のことをいつも思い出します。石井さんの車いすには見ただけでワクワクするような変な試作パーツが山盛りでした(笑)

 2003年の発売以来、この新型モデルで第4世代となるZZR。最初はアルミフレームだったものが、上部シートフレームがマグネシウム、下部フレームにカーボンを使ったハイブリッドな構成に進化! これにより、剛性がアップし乗り心地と軽さ(9.4kg~)を両立することに成功! さらに来期のモデルから採用される新開発のクロスメンバーも、素材をマグネシウムに変更し、さらなる剛性感と軽量化(約250g)を実現するとのこと。

素材をマグネシウムに変更した新型クロスメンバー。軽さもさることながら形状変更により交差部の剛性もアップ
また、背もたれ裏の小物入れポケットも新しいデザインに変更。これらシートバック背面の小物入れがめちゃくちゃ便利なんですよ! 超オススメ!
シークレットポケット的なかなり薄いデザインのものも開発中とのこと
フレームカラーには3色のミラーペイントも追加。ちなみにこのスペシャル塗装の色を出すにはなんと5回の塗装が必要らしいです。めっちゃ手間がかかってる!

OXの技術を支える競技用車いす!

 そしてそれら日常用の車いすの技術開発の礎となる、競技用車いすの進化もすさまじい感じです!

 来季のアルミフレーム陸上用車いす「GPX R24」は、アルミのメインフレームの形状をRのついた形状に変更。こうすることで前面投影面積を下げて空力をアップ。さらにシート形状の自由度もアップしたとのコト。

アルミフレーム製陸上用車いすのハイエンド「GPX R24」。アルミのしなる特性が汎用性の高いセッティングを産む

 陸上用車いすのカーボンフレームモデル「CARBON GPX」は、鈴木朋樹選手(トヨタ自動車)と共同開発。最近の陸上用車いすのリアデザインは、後続車にスリップストリームを使わせないようにと、空気の流れを車体の真後ろでカットする形状。陸上用車いすの開発も空力とは切っても切れない関係のようです。

カーボンフレームモデル「CARBON GPX」。車いす陸上の世界でもハイエンドモデルはカーボン製。しかし人車一体となって初めてパフォーマンスを発揮できる車いす陸上の世界では、オールカーボンのモデルはセッティングを詰めるのに時間もコストもかかるので、使用できるのはトップの一握りの選手に限られる
車いすマラソンの世界では特にスリップストリームにつかれると不利になることから、最近のハイエンドモデルでは空力を車体の後方直下で切り、ドラッグに入られない空力セッテイングが施されている
バスケ用車いす「BWZ」の最新モデルはフレームをBOX形状に変更することで軽量化と剛性アップを実現。またバンパーも溶接式とすることでフレームとの一体感をアップ
テニス用車いす「TRZ」(参考出品)も、約20年ぶりにメインフレームをBOX形状に変更。剛性感と軽さを両立したとのこと

車いす業界の躍進の影にはライバルメーカーの台頭が!

 OXエンジニアリングのライバル的なメーカーとして、互いに切磋琢磨しているな~と感じるのが、松永製作所の作る車いす。

近年OXエンジニアリングに並ぶユーザー人気を獲得している松永製作所

 なかでもオレがここ最近熱い視線を送っているモデルが「C-MAX」という固定式車いすです。重量は8.5kg~とアルミフレーム仕様のOXエンジニアリング製固定式とほぼ同等。しかしながら、メーカー希望小売価格が35万2000円~! この価格はOXのハイエンド固定式に比べるとほぼ半額と、激安なんですよ!

松永の固定式車いす「C-MAX」。軽快なデザインも◎

 さらにフレームデザインは欧米での流行をいちはやく取り入れた、サイドアームレスデザインを採用。オレも最近知ったのですが、欧米では状態がよい車いすユーザーはみんなサイドアームレスのものに乗っており、サイドアーム付きに乗っていると「お前はそんなに身体の状態がわるいのか?」などと聞かれたりするそうです。

 とはいえ、「サイドアームがあったほうがプッシュアップするときに便利じゃないですか?」との疑問を担当の方に投げかけたところ、「ホイールカバーが弾力のあるカーボンで作ってあるので、この部分でプッシュアップが可能です」とのこと。

プッシュアップは弾力のあるホイールカバーを上から押して行なう

 オレもやってみたのですが、確かに弾力性のあるカーボンで、体重をのせても折れたりする感じがしない!

 またフットレストまわりのデザインも足下を絞り込んだ、最近のトレンドをいちはやく採用。さらにキャスターのディメンションも、ギリギリ旋回時に邪魔にならない範囲で前方・左右に出して安定感をアップしている。

足下に向かってグッと絞り込まれたフレームデザイン。パラアスリートをはじめアクティブな車いすユーザーのなかでトレンドになっているデザインをいちはやく採用

 そして車いすをクルマに積み込む運用が多いオレが、一番グッと来たポイントがこのフットレスト! “ビートルフットサポート”と名付けられた特徴的なデザインのこのフットレスト、オレが唸ったのはこのフットレストの隠された機能なんです!

 なんとこのフットレストを使うことで、車いすを90度縦置きにできるんですよ!

 え? それの何がすごいのって?

 この機能って、クルマへの積み込み時のことを考えて作られた機能なんです。通常、固定式車いすはクルマへの積み込み時に折り畳めないので、左右のタイヤ(一方、もしくは両方)を外して車内に積み込むのですが、その際に多くのユーザーは、車いすをクルマのドアなどに立てかけるよう縦置きにして、タイヤの付け外しをするんです。

C-MAXは車いすを90度縦置きに自立させることができるので、クルマへの積み下ろしの際に非常に重宝する!

 固定式車いすを使っている友人たちを見てもだいたい皆そんな感じ。つまり、1度のクルマへの乗り降りで2回ほどドアに車いすを立てかけるので、ドアの内側がどうしても痛むんです。そういうユーザーの悩みを解消するのが、この“ビートルフットサポート”! この“ビートルフットサポート”が付いたC-MAXなら、クルマのドアにもたれかけさせずに、縦置き自立ができるんですヨ!

 ともすれば、走行性能や軽さに目がいきがちな車いす開発なのですが、こういったユーザー目線に立っての機能開発が本当に素晴らしいと思います! オレはそれまで松永製作所の車いすはOXの廉価版(失礼)という先入観があったのですが、コレを見た瞬間にその考えを改めました。今まですいませんでした!

 ちなみに松永製作所は競技用車いすにも力を入れており、バスケ用車いす「B-MAX」は東京パラリンピックで銀メダルに輝いた日本チームの選手の多くが使用しています。

【マツナガのものづくり】車いすバスケ車ができるまで【松永製作所】

車いすユーザーのQOLを爆上げする次世代車いすの最右翼!

 次に紹介するのは、試乗してみたらオレの次期家用車いすの最右翼に躍り出ちゃった「NOVA_RiseActive」です! “マルチポジショニング ウィールチェア”と銘打たれたこの車いすは、通常の座位ポジションだけでなく、立位ポジションがとれる車いす!

座っているだけじゃなく、さまざまなポジションがとれる車いす「NOVA_RiseActive」

 これまでも海外製のもので立位ポジションをとれる車いすはあったのですが、価格は約100万円前後と高価なうえ、車体も大きく狭い日本家屋で使うにはあまり実用的とはいえないものでした。

 このNOVA_RiseActiveが発表されたのは、1年前の国際福祉機器展だったのですが、日本家屋での使用感はどうなのか? などが気になり、この1年の間にSNSなどでいろいろと情報を集めていました。

NOVA_RiseActiveで一番高いスタンディングポジションがこれ。少し斜めになることで重心位置を後方寄りにして前への転倒を防止する。

 会場でミキFORCE事業部の芝崎泰造氏から開発秘話などを聞くにつけ、NOVA_RiseActiveが立てるだけの車いすではなく、これまでの車いす生活では得られなかったさまざまな体験を与えてくれる車いすであることに気付きました!

NOVA_RiseActiveの開発者であるミキFORCE事業部の芝崎泰造氏。芝崎氏が自宅で多用するのはこの中間位置のポジションとのこと

 芝崎氏は「僕がコレを作った一番の理由は、お通じです(笑)。立位ポジションだと股関節に重力がかかり腸が動くので、お通じがよくなるんですよ! でも実際に使ってみたところ、中間ポジションでの活用が非常に便利だったんです。実は、一番上まで上げるコトってそうはないんですよ。高いところのものを取るときくらいなので、日常生活のなかではあまり使いません。私が一番使うのは中間ポジションなんです。“中間ポジションで移動ができる”というのがこの車いすの一番の利点です。例えば、料理をするときに車いすだと油はねとか怖いじゃないですが。それを目線を上げることで回避しつつ、そのまま移動して冷蔵庫の上の棚からものを出すなんて使い方ができるんです」。

「また私はPC作業もこの中間ポジションでやるのですが、肩こりが減りました。あとはやはり目線です! 高い目線のまま移動できるということが、遠くまで見渡しながら移動できるということが、車いすユーザーにとっては非常に価値のあることだと、使ってみて気付いたんです」と話してくれました。

 お話をうかがったあと、実際にNOVA_RiseActiveに少し乗って、芝崎社長オススメの中間ポジションでの移動をしてみたところ……。

 まさに青天の霹靂!

 いつもより高い目線で動けることから感じるフリーダム(笑)! なんか思わず笑顔が漏れる感じなんですよ!

ポジション変更はシート下に取り付けられた2本のガススプリングで行なう。電源などは一切使っておらす、軽いプッシュアップができるなら自力でポジションの変更が可能
MultiPositioningWheelChair『NOVA RiseActive』

 NOVA_RiseActiveは、これまでの車いすユーザーの生活スタイルを根底から変えていくくらい、大きなポテンシャルを秘めている車いすだと感じました。この車いすの中間ポジションを使って、美容師に復活したという車いすユーザーの方も居るらしいです。中間ポジションで移動できるコトがこれからの車いすユーザーの可能性を大きく広げていく気がします!

 こういった画期的な発明品って、いきなりポンとできたりするものは少なく、既存のものをかけあわせてできるケースが多いらしいのですが、このNOVA_RiseActiveも使いやすい車いす×立てる車いすの2つを、それぞれの利点を活かしつつ絶妙なバランスで融合したら、中間ポジションで動けるめちゃくちゃ便利な車いすができちゃった! みたいなケースなのではないでしょうか(笑)。

 というワケでがぜん興味が湧いたオレは、さっそく試乗車のレンタルをお願いしました!自宅で使ってみて不具合が出なければ、次期家用車いすとしてゲットする予定です!

さまざまな場所での使用が可能な多用途クッション

 最後に紹介するのは車いす用のクッションです。車いすユーザーやその関係者以外にはあまり知られていないコトなのですが、車いすとクッションは切っても切れない関係なんです。

 というのも、車いすに直接座ってしまうと数時間でお尻の坐骨あたりが圧迫されて、褥瘡(床ずれ)になり血流が滞った部位の皮膚や組織が壊死するのです。それを回避するために車いすのシートにはクッションを敷いて使用します。

オレの車いすのシートには、厚さ10cmの「ロホクッション」をセットして使用

 しかし、このクッションが千差万別。あるものは厚くクッション性が強いが、アクティブに動く際には身体がフワフワしてしまう。かといってホールド性が高い薄く硬いクッションを使うと、半日でお尻が痛くなったり、皮膚が赤味を帯びたりしてしまうケースも。

 こればかりは使用者の障害度合いや車いすの使用用途などによるところが大きいので、それにあわせて選択できるようにと、クッションも多種多様なラインアップがあるワケです。

 でも自分にあったしっくりくるものを見つけるのは至難の業。オレはずっと空気セル式のロホクッションを使っているのですが、その理由はコレを使っていてこれまで入院が必要なほどの重度な褥瘡になったコトがないからという安易なもの。でもそれが一番重要な点ではあるんですが。

 昔は家用車いすにはウレタンとジェルパッドというハイブリッド構成な「JAY J2クッション」を使っていて、これもロホにはないよさがありました。しかし、数年でジェル部分が硬くなり除圧力がわるくなるんです。逆にロホクッションはゴムの劣化により、数年に1度のペースでパンクするといった弱点があります。

 ちょっと車いす用クッションのウンチクが過ぎました。話を戻します。

 そんな車いすとは切っても切れない関係のクッションなので、当然国際福祉機器展でもいろいろなメーカーが出展しています。そのなかでもここ数年オレが気になっていたのが「EXGEL OWL ACTIVE(エクスジェル アウル アクティブ)」です。

車いす用クッション「EXGEL OWL ACTIVE」

 EXGELは、加地が発売している、モータースポーツ用シートクッションやプロテクターなどのシリーズだったんですが、そのEXGELのクッション性に注目した、元F3レーシングドライバーで車いすユーザーの長屋宏和氏が、車いすユーザー向けにとチューニング。長屋さん自身が使いたいと思える製品にしたものがEXGEL OWL ACTIVEというワケです。

アウルアクティブはアウルパッド、ベース、カバーの3つのパーツで構成される車いす用クッション

 クッションの上面のアウルパッドにはエクスジェルと呼ばれる粘度の高いジェルが充填され、一番褥瘡になる確率が高い坐骨まわりの圧力を吸収・分散する仕組み。ベースはウレタン素材の表明に撥水加工を施し、空気式クッションに比べて体幹を安定させやすい感じ。このジェルクッションとウレタンクッションの2層構造は「JAY J2クッション」と同じ感じ。

 オレがロホ以外で一番長く(10年ほど)使っていたJAY J2クッションと同じ構成なので、JAY J2クッション同様に2~3年でジェルの劣化が進みお尻が痛くなるのでは? と、このEXGEL OWL ACTIVEにも二の足を踏んでいたんです。

 しかし、今回ブースを通りかかったところ、開発者の長屋さんの姿を発見。先日「Lenovo All Players Challenge」の取材でお会いしたこともあり、気付けば話しかけていろいろ気になるコトを質問していました。

「EXGEL OWL ACTIVE」の開発者で現eスポーツレーシングドライバーでもある長屋宏和氏

 そしてそこで、開発者・ユーザーでもある長屋さんから聞いた話でがぜんEXGEL OWL ACTIVEに興味が湧きました!

 実は、長屋さんも以前はJAY J2クッションを使っており、オレと同様にジェルが数年で劣化するのを不満に思っていたとのこと。その不満の解消を前提にEXGEL OWL ACTIVEを開発したので、当然ジェルは何年使っても硬くならないものにしているとおっしゃってました。

 これだけでもかなりグッときたのですが、さらにジェルクッション部分を取り外して使えるので、長屋さんは自動車を運転するときはもちろん、飛行機などに乗る際にも取り外して使用しているとのこと。この汎用性が高い使用法にヤラれました!

 そうなんですよ! 飛行機のシートとかだと、空気式の厚いロホクッションは使えないんですよ! あとたまーに居酒屋とかに行くと、掘りごたつ式のところやボックス席のところでは、車いすから乗り移るコトがあるんですが、飲み会とかが楽し過ぎるとケツが痛くなるんですよ!(つい先日もそうなったばかり)

 でも、そんなシチュエーションでもEXGEL OWL ACTIVEなら厚みが2cmほどのアウルパッド部分だけを取り外し、クッションとして使える!

ジェルクッション部のアウルパッドだけもこれだけの工夫が

 さらに長屋さんは、腕の力が弱いのでプッシュアップする頻度が低いというか、ほぼしない感じらしいのですがEXGEL OWL ACTIVEを使ってからは、お尻が痛くなったり褥瘡ができたコトはないとのコト。つまり除圧性能もかなり高い!

 これだけ条件がそろえば試さない手はないですよね! というワケで、「EXGEL OWL ACTIVE」も次期車いす用クッションとして採用決定です!

 やはり展示会はただ見て回るだけじゃなく、担当者さんたちに積極的に質問を投げかけたりすると、さらに多くの発見がありますね! いや~今年の福祉機器展は大豊作でした!

【お詫びと訂正】記事初出時、鈴木朋樹選手のお名前を誤って佐藤友祈選手と記載しておりました。お詫びして訂正させていただきます。