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三菱自動車、新型軽商用EV「ミニキャブ EV」説明会 モーター、バッテリなど新たに一充電走行距離は180kmに
2023年11月24日 21:45
- 2023年11月24日 開催
ミニキャブ MiEVの名を受け継がなかったワケとは?
三菱自動車工業は11月24日、12月21日から販売を開始する軽商用EV(電気自動車)「ミニキャブ EV」の説明会を都内で開催した。新型ミニキャブ EVでは「CD 20.0kWh」の1グレードが用意され、価格は2シーターモデルが243万1000円、4シーターモデルが248万6000円。
これまで同社の軽商用EVとしては「ミニキャブ MiEV(ミーブ)」を展開していたが、今回のミニキャブ EVはその後継モデルに位置付けられ、車名・型式はミニキャブ MiEVの「三菱・ZAB-U68V」から「三菱・ZAB-U69V」となった。プラットフォームは「i-MiEV」と共通のものとなり、生産は水島製作所で行なわれる。
車名をそのままミニキャブ MiEVで受け継がなかった理由としては、従来のMiEVがEVを示していることが分かりにくかったこと、また「eKクロス EV」の登場に合わせて車名にEVとストレートに示すこととなったという。
ミニキャブEVのバッテリは従来の16kWhから20kWhに容量を増加し、一充電走行距離はWLTCモードで133kmから180kmへと進化。AC200V(15A)での普通充電では約7.5時間で満充電となり、オプション設定の急速充電を使えば約42分(急速充電器の最大出力電流が60A以上の場合)で80%までの充電が可能という。急速充電がオプション設定されたのは、商用での活用の場合、多くが夜間に事業所で普通充電でまかなうケースが多く、それほどニーズがないためと説明する。
また、新型モーター・インバーターを採用するとともに一体化構造とすることで、先代モデルよりさらに高い静粛性を実現。モーターの最高出力は31kW(42PS)、最大トルクは195Nm(20.0kgfm)とした。
安全機能では、衝突被害軽減ブレーキシステム[FCM]や車線逸脱警報システム[LDW]、オートマチックハイビーム[AHB]、誤発進抑制機能(前進時)[UMS]などの予防安全技術「三菱 e-Assist」を採用し、サポカーSワイドに対応。さらに急な坂道で発進時の後退を防止するヒルスタートアシスト[HSA]を追加したのもトピックとなっている。
バッテリ容量が66%を下まわった場合、無償で修理、交換を実施
説明会ではCPS(チーフ・プロダクト・スペシャリスト)の藤井康輔氏が商品説明を行なうとともに、国内商品戦略部 担当部長の高木聡氏がミニキャブEVの販売について解説を行なった。
藤井氏はまず軽商用EVを取り巻く市場環境について説明。2024年度以降に急速に伸長し、2030年には軽商用バン全需に対するEV比率が約4割になる見込みであるといい、「予測の背景として、政府から発表あった2050年のカーボンニュートラル宣言、またグリーン成長戦略の影響が大きいと考えております。自動車に関する分野では、乗用車は新車で2035年までに電動車100%、商用車は小型新車で2030年に20~30%が電動車、2040年までに電動車が脱炭素燃料車100%を目指すといったものです。その中でも軽商用バンについては、昨今、非常に需要が高まっているラストワンマイルニーズで各企業さまのEV購入の動きと非常に相性が良く、今後、急速にEV化が進んでいくものと思われます」と解説。
また、充電インフラの動向については各事業者の動きが活発化しており、商業施設、集合住宅、高速道路などへの設置を大幅に増やしていく目標を各社公表していること、今後は集合住宅にも充電普及促進の動きが加速し、特に東京都では2022年度末のマンションEV充電器の設置数が現状では899基となっているが、2030年までに6万基まで増やす取り組みも開始されているという。
一方、ミニキャブEVの説明の前に、その前身であるミニキャブ MiEVについて触れ、2011年12月に発売して以降、国内メーカー唯一の軽商用EVとして2023年10月までに累計約1万3000台を販売したことを報告。支持された理由については「世界初の量産電気自動車を発売した三菱自動車ならではの信頼性」「走行中のCO2排出量はゼロ」「住宅街や狭い路地の運転も安心の軽規格サイズ」といった点を挙げた。
そしてミニキャブEVについては「昨今の世界的な脱炭素化への関心の高まり、市場のEVシフトに向けた動きの活性化を受け、三菱用車らしいEVとしてさらに多くのお客さまに当社のミニキャブEVを活用していただきたいと考え、今回の新型モデルではお客さまのニーズの高い航続距離、先進安全装備の追加などの商品強化を実施しました」と述べるとともに、将来ASEANへの展開も計画していることを明かした。
また、藤井氏はミニキャブEVの特徴について「スムーズな加速と快適な乗り心地」「自宅や事業所で充電」「動く蓄電池として活躍」「十分な積載量」「実務に耐えうる航続距離」「安心・安全な業務遂行」の6点を挙げ、「スムーズな加速と快適な乗り心地」については「特に音や排出ガスが気になるシーンなどで魅力を発揮いたします。ミニキャブEVはモーター駆動のため、走り出しから最大トルクが得られ、力強い走りと変速ショックがなくスムーズに加速することができます。特にデリケートな荷物の運搬などに重宝されております。さらに新型ではモーターやインバーターの新型化、ショックアブソーバーの改良により、静粛性だけでなく乗り心地も向上し、またヒルスタートアシストを新たに設定しておりますので、坂道が多い道で停車してからでも楽に走行することができます」と語る。
充電については夜間などクルマを使用していない時に事業所などで充電できるので、ガソリンスタンドに手間をなくすことができると述べ、さらに蓄電池としても活用でき、2シーターモデルにメーカーオプションで1500Wまで対応するアクセサリーコンセントを用意しており、車内で電化製品の利用が可能なことをアピールした。
そして積載量については、EV専用のコンポーネントを搭載しながらガソリン車同等の積載量を確保したとし、「特に長さ方向では2名乗車時には1830mmを確保しております。これはベニヤ板やコンクリート、型枠など規格がおおむね1800mm前後ですので、このような長尺物にも十分対応できるサイズとしております。また、脚立などさらに長尺物を積載する場合には、助手席を前に倒すことで2685mmの荷室長の確保も可能となっております。さらに新型モデルでは、従来は荷室に搭載していたスペアタイヤを廃止することで室内の使い勝手を向上させております」と説明している。
そのほか駆動用バッテリの保証についての説明も実施され、ミニキャブEVではバッテリ容量が66%を下まわった場合や、製造上の不具合などで故障が発生した場合、無償で修理、交換を実施する。いずれも保証期間は初度登録後8年以内、かつ走行距離が16万km以内の場合に適用になるという。