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フォルクスワーゲン、厚木市のパチンコ店での火災事故に関するリコールについて声明 「不具合に起因している可能性を排除できない」

2023年12月25日 発表

 フォルクスワーゲン グループ ジャパンは12月25日、神奈川県厚木市にあるパチンコ店の駐車場で発生した火災事故に関するリコールについて声明を発表。その声明の中で、調査によって製品の欠陥を一切特定できなかったものの、遮熱マットの取り付け位置の不備に起因している可能性を排除できないことが判明したとした。

 厚木市の火災事故は8月20日に発生。火災事故直後にフォルクスワーゲン グループ ジャパンはドイツ本社の専門家とともに、関係当局との調査に全面的に協力し、駐車中に焼損したゴルフ TDIを詳細に調査・分析。その結果、製品の欠陥を一切特定できなかったものの、関係当局の当時の見解ではエキゾーストマニホールド(排気管の一部)に付着したエンジンオイルが出火の原因であると推定されたとのこと。この見解を含め、同社グループ内で継続して原因究明のための調査を行なった結果、遮熱マットの取り付け位置の不備に起因している可能性を排除できないことが判明した。

 これにともない、フォルクスワーゲン グループ ジャパンは、12月22日に国土交通省にリコールを届け出た。今後の対応として「フォルクスワーゲンとして、お客さまの安全と安心を最優先に、今回のリコールの対象となっている車両のお客さまへの迅速なご連絡に努めてまいります」としており、不安や質問がある場合は、フォルクスワーゲン カスタマーセンターに問い合わせするよう呼びかけている。

 リコールの対象車種はゴルフ GTI 2.0、ゴルフ R 2.0、ゴルフ R ヴァリアント 2.0、ゴルフ TDI、ゴルフ ヴァリアント TDI、パサートセダン TDI、パサート ヴァリアント TDI、パサート オールトラック TDI、アルテオンの計9車種で、輸入期間の全体の範囲は2021年2月13日~2023年11月27日。不具合の部位は制動装置(遮熱マット)としている。

 不具合は、ブレーキ液のリザーバータンクにおいて、生産工場での組み付け作業が不適切であったため、遮熱マットが正しく取り付けられていないものがあるため、エンジン高負荷時などの熱により、リザーバータンクの端部が溶損することがあるとのこと。最悪の場合、ブレーキ液が漏れ、高温の排気系部品に触れると火災となる恐れがあるというもの。

 改善内容として、全車両遮熱マットの組み付け状態を点検し、正しく取り付けられていない場合は修正をする。また、リザーバータンクの端部に溶損が認められた場合はブレーキ液リザーバータンク付きマスターシリンダーを新品に交換する。また、全車両リザーバータンクの端部に新たな遮熱フォイルを取り付ける。

 なお、リコールの届け出の中で事故の有無として「火災1件」と表記されているが、これは調査の結果、製品の欠陥を一切特定できなかったものの、リコールとして届け出た不具合に起因している可能性を排除できないことが判明したため記載するものとしている。