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ヴァレオ、CES2024で最新LiDAR「SCALA3」が2025年に1000ドル以下の見通し クレマン LiDAR CTOがマーケットの方式を公開
2024年1月11日 03:18
世界で初めて自動車に実用的に搭載可能なLiDAR(ライダー)を開発したサプライヤーとして知られるヴァレオは、米国ネバダ州ラスベガスで開催されている技術見本市「CES2024」において次世代LiDARである「SCALA3」に関する説明会を開催した。
この説明会においてヴァレオ LiDAR CTO クレマン・ヌヴェル(Clement Nouvel)は、真に実用的なLiDARを提供可能なメーカーはヴァレオであると説明するとともに、2025年にはLiDARの価格が1000ドル以下になるであろうという見通しを示した。
ヴァレオが提供してきたLiDAR
LiDARを搭載した車両としては世界で初めてレベル3自動運転可能なクルマとして発売されたアウディ A8、世界で初めてレベル3自動運転を実現したホンダ レジェンドが知られているが、この2車はいずれもヴァレオのLiDARを採用している。アウディ A8の場合は法整備の関連などがありレベル3自動運転が公道で使用されることはなかったが、日本では法整備が進んだことによってレジェンドが世界初のレベル3自動運転車となった。
この2台にはいずれもヴァレオ製のLiDARが搭載されており、アウディ A8には1台、レジェンドには5台搭載されている。また、メルセデス・ベンツでもSクラスでレベル3自動運転に対応しているが、こちらは第2世代の「SCALA2」。つまり主要なレベル3自動運転車で実績のあるのが、ヴァレオの強みになる。
クレマン氏によると、現在ヴァレオが取り組んでいるのがODD(運行設計領域:Operational Design Domain)の拡大で、自動運転可能な領域を増やしていくことで、さまざまなシチュエーションに対応しようとしている。ちなみに、レベル3の限定的なというのは、このODDで規定された領域のことを示し、各国での法律の下でクルマが自動運転で道路走るためには、この規定が必要になる。
自動車メーカーの実用に耐えうるLiDARを提供してきたヴァレオの最新製品が「SCALA3シリーズ」。SCALA3では、屋根上の取り付けを想定した高性能な「SCALA3 SATELLITE」と、グリルなどに設置可能なコンパクトな「SCALA3 SMART」が用意された。
コンパクトなSCALA3 SMARTでも、前世代のSCALA2の解像度が26万であったのに対し260万と10倍に。SCALA3 SATELLITEは1250万と、大幅に解像度が向上している。
LiDARはレーザーを照射することで点群データを得るが、その点群を細かく得ることができ、オブジェクト(対象物)の判別も容易になる。さらにSCALA3では、AIを使用したオブジェクト認識も行なっており、利用も容易になっている。
このSCALA3は、2024年後半に登場するストランティス車にSCALA3 SMARTの採用が決まっており、2025年のQ4ではSCALA3 SATELLITE搭載車も登場するという。
クレマン氏はCESの直前に手書きで描いたLiDARマーケットサイズ増大式を示し、ODDが拡大すれば拡大するほど、価格が下がれば下がるほどLiDARマーケットは増大するという。さらにそこにLIDARの機能が上がれば(テクニカルチャレンジが起きれば)乗数でマーケットは拡大。LiDARのマーケット拡大に自信を見せる。
クレマン氏は、これまで語ってこなかったLiDARのコストに初めて言及。「(SCALA3は)2025年には1000ドルを切る」という。高度な自動運転に必須と言われるLiDARが、コスト競争力も手に入れ始めている。