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KDDIとトヨタ、つながるモビリティ社会に向け共同で研究開発

2024年2月20日 発表

KDDIとトヨタによる「つながるモビリティ社会に向けた取り組み」の全体像

安全・安心なモビリティ社会の実現に向けて早期の社会実装を目指す

 KDDIは2月20日、トヨタ自動車と連携し、安全・安心なモビリティ社会の実現に向けた取り組みとして、人流および車両のビッグデータと、過去の事故情報などのオープンデータをAI分析し危険地点を見える化するソリューション(以下、危険地点スコアリング)を2024年春から提供開始すると発表した。

 両社は2020年10月30日から、街・家・人・クルマの全てがつながる社会を見据えて、「通信技術およびコネクティッドカー技術」「人々の生活を豊かにするサービス」の共同開発をスタート。

 今後のモビリティを取り巻く環境を踏まえ、「安全・安心なモビリティ社会の実現」「グリーンなモビリティ社会の実現」「モビリティ体験価値の拡張」をテーマに掲げ、社会実装に向けた取り組みを進めるとしている。

「安全・安心なモビリティ社会の実現」をテーマとして掲げた背景にあるのは、2022年の交通事故発生数は約30万件で、その中でも見通しの悪さに起因する事故が約4割を占め、車載センサーによる警報・被害軽減ブレーキだけでは防ぐことが難しい交通事故の回避が求められていることが要因。また、2035年にはコネクティッドカーの台数が2023年比で2倍になると予測され、システムの複雑化に対するセキュリティ強化も求められているという。

 2024年春に提供予定の「危険地点スコアリング」は、「安全・安心なモビリティ社会の実現」のテーマに属した内容で、ほかにも「クルマと自転車の位置情報を活用した接近通知『Vehicle to Bike』」「つながる みまもりセンター」なども開発している。

危険地点スコアリングの概要

 KDDIが保有する最小50m単位・最短数分間隔で収集される位置情報とスマートフォン契約時の本人確認情報に基づく属性情報(性別・年代)、トヨタが保有するプローブデータと車載ネットワークデータ(CANデータ)、道路特性や交通事故発生数などのオープンデータをAI分析し、危険地点をスコアリングして可視化。約10m四方単位で危険度合いを可視化するほか、高齢歩行者・高齢自転車利用者の割合やクルマの急ブレーキ発生率など、各地点における危険要因が確認可能とし、データに基づいた効果的な対策(道路標識の新設など)を始め、さまざまな交通安全業務に活用できるという。

 活用するデータは、KDDIからは歩行者数、自転車数、年代など、トヨタからは車両数、平均車速、急減速発生件数、一時停止率、右左折率など、オープンデータは道路特性、交通事故発生件数などとなっている。

危険地点スコアリングのイメージ

クルマと自転車の位置情報を活用した接近通知「Vehicle to Bike」の概要

 クルマとさまざまなモノとのやり取りや連携を行なう技術「Vehicle to X」の取り組みの1つで、まずは自動車・二輪車の位置情報を基に、危険な交差点に複数車両が同時接近した際に運転手へ事前通知する技術を現在開発中という。スマホ通知音・バイブレーション・警告画面を通じて、車載センサーによる警報・被害軽減ブレーキだけでは防ぐことが難しい、見通しの悪い交差点での交通安全に寄与することを目指すとしている。

 このサービスでは、余裕を持った減速が可能なタイミングでの通知が可能なため、検索処理の軽量化と同時接近判定ロジックの高速化により低遅延化を実現。また、危険地点スコアリングと組み合わせることで、危険な交差点でのみ通知を発生させわずらわしさを軽減するほか、危険な交差点との距離に応じて位置情報の更新頻度を増減しスマホの電池の持ちも向上したという。

クルマと自転車の位置情報を活用した接近通知のイメージ

 なお、2023年2月1日~2023年2月28日まで、東京都板橋区の公道にて実証実験を実施したところ、交差点への進入速度が平均で10.1km/h減速する効果があったことが確認されている。

つながる みまもりセンターの概要

 KDDIのネットワーク情報とトヨタの車両情報・サーバー情報など、コネクティッドカーに関する運用情報を横断的につなげ、個車単位の状況を把握することで、通信機能を持った車両で提供されるコネクティッドサービスに対する影響の範囲を特定し、安全・安心なコネクティッドサービスの実現を目指す取り組み。

 この取り組みにより、管理サーバー経由の攻撃や車両を踏み台にした攻撃など、通常と異なる通信パターンを検知することで、従来では把握することができなかった個車影響軽減・回避対策を実現するとしていて、今後は実運用を見据えた検証を実施して、グローバル通信プラットフォームへの適用を目指すとしている。

つながる みまもりセンターのイメージ