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ボッシュとマイクロソフトが提携、生成AIを活用し自動車の安全レベル向上を加速

2024年2月28日(現地時間) 発表

ボッシュとマイクロソフトは生成AIを活用して自動車の安全レベル向上を加速させるための提携を発表した

 ボッシュは2月28日(現地時間)、自動運転機能のさらなる向上を目指し、生成AIの活用をより推進させるため、マイクロソフトとの協業を発表した。

 現在の運転支援システムでは、人や動物、物体や車両は検出できているが、例えば前方の路上にある物体がビニール袋なのか? 破損した車両部品なのか? 人間なら状況に応じた判断をできるが、現在の運転支援システムや自動運転システムではさらなる学習が必要という。

 そこで生成AIを活用すれば、膨大な量のデータを利用して自動運転向けのシステムに学習させ、そのデータからよりよい結論を導き出すことが可能になり、警告表示などでドライバーへ直接伝えたり、ハザードランプを点灯させながらブレーキをかけたりするなど、適切な運転操作の実行に活用できるほか、事故につながる可能性があるかどうかの判断にも役立つという。

 ただし、これを実現するためには、ボッシュの車両に関する包括的なデータと、自動車固有のAIの専門知識、さらに生成AIに提供するための車両センサーデータへのアクセスも重要になる。

 ボッシュはマイクロソフトに加え、AWS、Googleなど、すでに複数のパートナー企業と協力し、多くの分野で生成AIが活用しているほか、マイクロソフトとは、すでに自動車とクラウドをシームレスに接続するためのユニバーサルソフトウェア プラットフォームの開発で提携。さらにボッシュ・グループのベンチャー キャピタル部門であるBosch Venturesが2023年、AI企業のアレフ・アルファ(Aleph Alpha)への投資を決定し、すでに共同で高級自動車メーカー向けのAIベースの音声認識を発表している。

 ボッシュのAIエキスパートは現在、この新しいAIモデルを活用して、ソフトウェアプログラムコードの生成や、技術者をサポートしたり消費者と対話したりするための高機能チャットボットやボイスボットといった、120を超える具体的なアプリケーション開発に取り組んでいるという。

 ボッシュ取締役会会長のシュテファン・ハルトゥング氏は、ベルリンで開催されたボッシュの産業カンファレンス「Bosch Connected World (BCW)」にて、「ボッシュは、自動車に新次元のAIアプリケーションを活用しようとしています。生成AIによって車両が状況を判断し、それに応じた反応ができるようになることで、道路利用者の安全がさらに高まることが期待されています。テクノロジーとAIをテーマとしたボッシュの世界的調査であるBosch Tech Compassでも、回答者の60%が道路の安全性向上を望んでいることが明らかとなりました」と述べている。

ボッシュ取締役会会長 シュテファン・ハルトゥング氏

 ボッシュの取締役会メンバー兼チーフデジタルオフィサーのタニア・リュッカート氏は、「生成AIはイノベーションを促進します。コンピューターの発明と同様に、産業を一変させる可能性があります。これは2024年の調査Bosch Tech Compassでも証明されており、回答者の64%がAIは将来的に最も重要なテクノロジーであると考えていることが分かりました。1年前では41%に過ぎませんでした」と述べている。

ボッシュ取締役会メンバー兼チーフデジタルオフィサー タニア・リュッカート氏