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グレード1サーキットのインサイドエリアに常設される世界初のキャンプ場「RECAMP 富士スピードウェイ」9月20日オープン

2024年9月20日 オープン

富士スピードウェイの「100R」インサイドエリアに常設される「エアストリーム sovereign」を利用したアウトドア宿泊施設。100Rを立ち上がっていくマシンを間近に体感できる

 静岡県駿東郡の富士スピードウェイに、アウトドア宿泊施設「RECAMP 富士スピードウェイ」が9月20日にオープンする。

 RECAMP 富士スピードウェイは、FIA(国際自動車連盟)がF1なども開催できる「グレード1」として公認するサーキットのインサイドエリアに常設される世界初のサーキット一体型キャンプ場。富士スピードウェイ・国際レーシングコースのセクター2にある「100R」イン側スペースに、グランピングを楽しめるトレーラーハウスや電源付きオートキャンプサイトなど全36サイトを設定。さらに管理棟、シャワー棟、コインランドリー、炊事棟、焚火台、炭・灰捨て場なども用意されている。

 また、事前予約すれば、カット食材とレシピをセットにした「ミールキット」やバーベキュー食材などを現地に用意してもらえるサービスも実施。手ぶらで行っても気軽にキャンプ飯やバーベキューを楽しめるようになっている。

「RECAMP 富士スピードウェイ」概要

名称:RECAMP 富士スピードウェイ(RECAMP FUJI SPEEDWAY)
所在地:静岡県駿東郡小山町中日向694(富士スピードウェイ 敷地内)
開業日:2024年9月20日
敷地面積:約2万m 2
サイト数:36サイト(全サイト駐車スペース付き)

宿泊施設タイプ別一覧

施設タイプ室数サイトの広さ定員数料金
ヴィンテージトレーラーコテージ1約200m24人3万9000円~
トレーラーヴィラ2約220m24人3万7000円~
キャンピングガレージハウス1約140m24人3万7000円~
トレーラーコテージ3約130m24人2万7000円~
ドッグ・トレーラーコテージ2約250m24人2万7000円~
ルーフデッキ付きドッグ・オートキャンプサイト2約250m26人1万2800円~
ドッグ・オートキャンプサイト3約200m26人7800円~
オートキャンプサイト22約100m26人4300円~

 利用の予約はPCやスマートフォンからキャンプ場検索・予約サイト「なっぷ」に用意されている「RECAMP 富士スピードウェイページ」を表示して、利用したいサイトや日程を選んで申し込む。

利用者が最初に足を運ぶ受付エリア
管理棟では宿泊利用の受け付けに加え、物品販売なども行なう
受付用の駐車スペースと並んで共有トイレと自販機コーナーを用意
シャワー棟は受付エリアの近く(写真左)とキャンピングガレージハウス近く(写真右)の2か所に設置。キャンピングガレージハウス近くのシャワー棟は共有トイレも併設する
シャワー棟の内部
コインランドリーには洗濯機と乾燥機を各2台設置する
受付エリアの近くのシャワー棟と並んで建っている炊事棟
両サイドに各3か所で計6か所のシンクは温水も利用可能
オートキャンプサイトの中央に、利用者同士でたき火を囲んで談笑できる共有の焚火台も設置
焚火台の下には富士スピードウェイのコース図も描かれている

ヴィンテージトレーラーコテージ

1か所限定の「ヴィンテージトレーラーコテージ」

 敷地内の100R後半からADVANコーナーにさしかかるエリアに設定され、ADVANコーナー側に富士山の眺望も楽しめる「ヴィンテージトレーラーコテージ」は、アメリカから輸入した1970年製のキャンピングトレーラー「エアストリーム sovereign」の内装をフルリノベーションして宿泊施設として利用する1か所限定のサイト。

宿泊施設として用意された1970年製のキャンピングトレーラー「エアストリーム sovereign」。生産当時の美しさを蘇らせるべく、アルミ製のボディパネルにバフ掛けを行なっているが、側面や後方に刻まれたへこみなどは車両の歴史としてそのままにしている、また、ブレーキランプやウインカーなども修理して、夜間に点灯させて楽しめるようにした
コース側から見たヴィンテージトレーラーコテージ
展望デッキからADVANコーナーに続いていく100R後半部分や、天気がよければ富士山も一望できる
展望デッキの下に専用のキッチンスペースを設置。かたまり肉も調理可能なガスバーベキューグリルも利用できる
大型の焚火台とウッドチェアも設置されている

 磨き上げられたアルミボディが輝くエアストリームの車内では、生産当時のインテリアを生かしつつ、快適な寝心地を実現するダブルベッドやエアコンによる冷暖房、キッチン、オーバーヘッドシャワー、ウォシュレット完備のトイレといった最新設備を備え、充実したグランピングが楽しめる。また、サイト内には視点の高い展望デッキも設置され、コースを駆け抜ける車両の走りやサウンドをしっかり体感できる。

車両後方側のメインベッドルーム
車内の至るところにAC100Vのコンセントを設置している
特徴的な外観を車内でも感じてもらえるよう、ベッドルームの天井部分にアルミパネルを設置している
車両前方側のリビングスペース。4人就寝時には中央のテーブルを下げ、簡易ベッドを展開する
窓も多数設置されており、エアコンの効いた車内からコース走行を眺めることも可能
車内装備では残念ながら不動となっている部分もあるが、当時の雰囲気を伝えるオブジェとしてそのまま残している
ウォシュレット完備のトイレ。キッチンや洗面台では温水も利用可能
車内にオーバーヘッドシャワーも備える

トレーラーヴィラ

100Rに面する宿泊施設の「トレーラーヴィラ」

 ヴィンテージトレーラーコテージの南側に2サイト並ぶ「トレーラーヴィラ」では、スタイリッシュな外観の近未来型トレーラーハウス「パークラウンド」を設置。ダブルベッド2台を設置したホテルライクな室内空間にはトイレやシャワーも備え、長期滞在も快適に過ごせる宿泊施設となっている。また、コースを望む側面は、雨などに濡れることなくコースでの走行を観戦できるオープンエアデッキとなっている。

トレーラーヴィラでは2台のトレーラーハウスを組み合わせ、快適な空間を生み出している
細長い車内スペースの前後にそれぞれダブルベッドを設置。中央にトイレやシャワーを配置している
オープンエアデッキにはハンモックも設置する
大型の焚火台とウッドチェアを屋外に配置
オープンエアデッキに専用キッチンとガスバーベキューグリルを備える
コースにも近い位置取りで、オープンエアデッキから100Rの様子がよく見える

ドッグ・オートキャンプサイト/ドッグ・トレーラーコテージ

「ドッグ・オートキャンプサイト」

 コース脇スペースの南側には、四方を高さ1500mmのフェンスで取り囲み、愛犬といっしょにオートキャンプを楽しめるようにしたサイトも多彩に設定。

 通常のテント用スペースを用意する「ドッグ・オートキャンプサイト」3か所に加え、サイト内に屋外シンクや家具、AC100V電源、犬の足洗い場などを完備する「ルーフデッキ付きドッグ・オートキャンプサイト」2か所もラインアップ。さらにルーフデッキを備え、テントなどを設営する必要のない「ドッグ・トレーラーコテージ」2か所も用意されている。

 車両が走行する排気音で犬がパニックになることも想定して、オープンから一定期間は様子を探るため、中型犬までの利用に制限。利用者がサイトに到着してしばらくのあいだは、犬が状況に慣れるまでリードを付けたまま過ごしてもらう方針とのことだ。

上の写真は利用シーンが分かりやすいようテントが設営されているが、通常はこの状態で、利用者が自分でテントなどを持ち込んで設営し、就寝することになる
高さ1500mmのフェンスで四方を取り囲み、ドッグランにいるような状況で愛犬と一緒にキャンプを楽しめる
サイト内に温水も利用できるキッチンを設置している
こちらは「ルーフデッキ付きドッグ・オートキャンプサイト」
ルーフデッキには専用キッチンやバーベキューグリルを設置
日差しや雨を避けられるウッドデッキで、愛犬と一緒に100Rの走行を楽しめる
テントなどを設営する必要のない「ドッグ・トレーラーコテージ」
ロフトスペースを備えるトレーラーコテージ内に犬用のケージも設置
テント設営が不要なので、より広々としたスペースを愛犬が走りまわれる

キャンピングガレージハウス

「キャンピングガレージハウス」

「クルマ好きのガレージ」をコンセプトに設計された「キャンピングガレージハウス」は、冷暖房完備の屋内スペースで愛車と並んで宿泊できるガレージ型宿泊施設。ガレージの外階段から上がっていける展望デッキは高さがあり、100Rを一望できるようになっている。

「ビルトインガレージ」のように広々としたスペースで愛車と並んで宿泊できるサイト
屋上の展望デッキからは100Rが一望できる
クルマ好きのイメージを強調するため、サイト内にはフジツボ製の焚火台も置かれていた

トレーラーコテージ

BESS製のトレーラーハウス「IMAGO X」を宿泊施設として利用する「トレーラーコテージ」

 キャンピングガレージハウスの西側に3サイト設定される「トレーラーコテージ」では、冷暖房完備のトレーラーハウス内に遊び心をくすぐるロフトスペースを設置。サイトスペース内にはたき火やバーベキューが楽しめるアウトドアリビングがあり、専用シンクを備えるキッチンの上は展望デッキとなっていて、キャンピングガレージハウス同様に100Rを一望できる。

雨が降ったときはガレージとしても利用可能なキッチンの上は展望デッキとなっている
キッチンにはイタリア製の大型バーベキューグリルも置かれている
100Rを望む展望デッキ
トレーラーハウス内にはロフトスペースやエアコンを備える

オートキャンプサイト

「オートキャンプサイト」の利用イメージ

 自然との一体感も味わえる芝生敷きの林間エリアにある「オートキャンプサイト」は、全22サイトでAC100Vの電源コンセントポールを完備。ホットプレートやコーヒーメーカーといった調理器具、扇風機や電気毛布などを使って快適なキャンプを楽しめる。

オートキャンプサイトでも、テントや調理器具などの必要なキャンプ用品は利用者が持ち込んで使うスタイルになる
各オートキャンプサイトに設置されている電源コンセントポール。AC100Vのコンセント2口を備える
オートキャンプサイトのF10、F11、F13の3サイトは100Rに面しているが、水平に整地した関係で外縁部分より低くなっていることもあり、サイトからコースを直接眺めることは難しい。現状では各観戦スタンドを利用することになるが、将来的にはキャンプサイトの利用者向けのスタンドを設置する計画もあるとのこと
RECAMP 富士スピードウェイの入口は、場内の「Moty'sトンネル」を通過してAパドックに続く坂道の途中にある
受付エリアに続く車道にはレーシングイメージをアピールするペイントが施されている
電動アシスト付きのシェアサイクル乗り場も受付エリアに設置
RECAMP 富士スピードウェイの構内路では、赤白のゼブラゾーンや立て札でレーシングイメージを表現
敷地内の樹木はすべて従来からここに立っていたものをそのまま利用している

「富士モーターフォレストの別の場所にもキャンプ場を開設したい」

富士スピードウェイ株式会社 プロジェクト統括部 部長 尾崎重昭氏

 オープンに先がけて実施された報道関係者向けの施設内覧会では、開発を手がけた富士スピードウェイ プロジェクト統括部 部長 尾崎重昭氏、Recamp キャンプ場開発 部長 田中篤也氏の両氏から概要説明が行なわれた。

 まず尾崎氏は、RECAMP 富士スピードウェイを開設することになったきっかけを紹介。2002年にSUPER GTを観戦するための来場者が増加したことにより、レース当日の入場待ちをするクルマの待機列が一般道まで長く延びてしまったことで近隣住民に迷惑を掛けてしまう事態になったことから、待機列の緩和案として富士スピードウェイの構内に宿泊してもらう取り組みをスタート。

 24時間レースの開催なども契機となって、レース観戦しながらキャンプを楽しむことも富士スピードウェイの魅力の1つとして定着していき、そこから「もっと気軽にキャンプを楽しみたい」「キャンプ場所を事前にキープしたい」という要望が寄せられるようになったことで、2016年からRecampに協力を要請して、ニーズをどのような形で実現していくべきか試行錯誤するようになったと説明。

 2017年からは大規模レースに合わせてレース観戦とテントなどのキャンプ用品をセット販売する「キャンプヴィレッジ」という取り組みを開始。あらかじめ割り当てスペースにテントが設営され、レース終了後はテントをたたんで持ち帰ることができるというテストマーケティングも行なってきた。

 RECAMP 富士スピードウェイの開設に向けた活動は2022年に始まり、2023年に発表された「富士モーターフォレスト・プロジェクト」ともリンクして、サーキットに足を運ぶレースの観客にとどまらず、モビリティに興味がある人、自然が好きな人など、さまざまな人が集まる場所の中核としてキャンプ場を位置付けていると紹介した。

 また、今後の展望として、今回は初の施設として、富士スピードウェイ内でも象徴的な場所である100Rに「RECAMP 富士スピードウェイ AREA/100R」を開設することになったが、富士モーターフォレスト・プロジェクトの別の場所にもキャンプ場を開設したいと考えており、AREA/100Rでの取り組みをつうじてグランピングやキャンピングカーサイトといった新たなニーズを探って、さらなる発展を模索していきたいと意気込みを語った。

株式会社Recamp キャンプ場開発 部長 田中篤也氏

 続いて説明した田中氏は、尾崎氏からサーキット内でのキャンプについて相談を受け、自分でも実際に富士スピードウェイで行なわれた24時間レースの現場でキャンプを行なったが、「こりゃ凄まじい環境だぞ」「こんな場所でキャンプなんて本当にできるのか?」と衝撃を受けた。しかし、その一方で周囲でテントを張ってキャンプとレース観戦を同時に楽しんでいる人が多くいたことから、レースとキャンプの親和性は高いとの確信を得てプロジェクトをスタートさせることになったと述べた。

 富士スピードウェイにキャンプ場を作るにあたり、まずはもともとキャンプを楽しんでいるファンが利用しても納得できる環境を整えることは必須であり、それに加えてこれまでキャンプをしたことがないモータースポーツファンが、キャンプ用品を持っていなくても楽しめるようにする施設にする必要があると考え、この対策として各種トレーラーハウスを用意して、さまざまなスタイルでキャンプを楽しめる施設にしていると紹介。

 モータースポーツファンとキャンパーが、それぞれのカルチャーに触れることによって異なる分野を体験するきっかけになる施設になってほしいという願いをRECAMP 富士スピードウェイに込め、開設に向けた活動に取り組んだと説明した。

 9月20日のオープンに先がけて利用予約の受け付けもスタートしており、現状では一般的なキャンプ場と同様の傾向で、土曜日については先の日程まで予約が集まっているという。逆にこれからは、スケジュールに余裕のある平日の利用をサーキットで体験走行などを行なうモータースポーツファンに訴求して、ほかのキャンプ場とは異なる稼働率の実現を目指していきたいと語った。